暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

全てのものは表裏一体【よこがお】感想

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95点

 

 

 『淵に立つ』でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門を受賞した深田晃司監督最新作。私が深田監督の作品と出会ったのは3年前の『淵に立つ』が最初でした。何となく観た作品だったのですが、あまりの救いの無さに、鑑賞後は深い絶望を感じたことを覚えています。「もうこの監督の作品は観ないな」と思っていたのですが、本作はやっぱり面白そう。ほぼ同じ時期に(おそらく)バカ映画である『ワイルド・スピードスーパーコンボ』も始まることだし、それを観て中和すればいいかと覚悟を決め、鑑賞しました。

 

 覚悟を決めて良かったと思いました。深田晃司監督、やはりかなりきつく、観ていて辛くなる映画を送り出してきました。ただ、不条理さで言えば『淵に立つ』と同じくらいなのですけど、本作の場合はまだ少しだけ未来に光明がある分、鑑賞後に絶望はしませんでした。しかし、1人の女性に降りかかる悲劇を描き、タイトルの「よこがお」に代表されているような、一筋縄にはいかない人間の複雑さを描いた作品で、個人的には今年ベスト級の1作でした。後、どうでもいいですが、初めて映画監督からサインもらいました。

 

淵に立つ(豪華版)[Blu-ray]

淵に立つ(豪華版)[Blu-ray]

 

 

 本作のMVPは、何といっても筒井真理子さん。『淵に立つ』でも見事すぎる演技をされていましたが、本作は深田監督の意向もあり、『淵に立つ』以上に彼女の独壇場になっています。よく分かりませんが、今年の女優賞は総なめではないでしょうか。

 

 本作は、「リサ」という名の女性が美容院で働いている和道(池上壮亮)という男に会いに来るところから始まります。この、美容院に入る手前で、リサは鮮烈な赤色の服を着て(『淵に立つ』でも「赤」は重要な色)、少し印象的な動きをします。この時点で、本作は「彼女の映画である」と宣言をしているのです。

 

 そこから、現在の「リサ」と過去の「市子」の時系列を交互に描き、何故、市子がリサになったのかを観客に見せ、最後にまとめ的な第3章を以て、映画は終わります。

 

 本作には、幾度となく登場人物の「よこがお」が映し出されます。素晴らしいショットの連続と、逆光や撮り方の関係で、彼ら彼女らの表情が本当の意味で「一面的に」しか読み取れず、それが後半の悲劇における周囲の反応の変化を印象付けている気がします。

 

 劇中、最も分かりやすい「二面性」は市子とリサで表されていると思うのですが、同じくらい二面性、というか多様な側面を持っているのが基子(市川実日子)。表面上は市子の友人なのですが、彼女を陥れる存在でもあり、その理由は意外なものです。和道という恋人がいるものの、実は別に好きな人がいるのです(観ているとそれが誰かはすぐに分かる)。

 

よこがお

よこがお

 

 

 このように、人間の内面的な多様さを描いている作品ですが、それと同時に、本作は「他人から見た自分」という多様さも描いています。映画内では何回か意図的に視点を切り返したり、入れ替えたりする箇所が出てきます。「他人から見た自分」の変化が劇中の現象として色濃く出てくるのがマスコミ。彼らの影響力というのは非常に大きく、本作でもそれが遺憾なく発揮されています。それにより、「誠実なヘルパーさん」という市子の印象が「犯罪者」と同じ印象にまで貶められてしまうのです。それが個人レベルまで引き下げられたのが市子と基子の関係。「リサ」にとっては基子は絶対に許せない存在ですが、「市子」にとっては良き友人。翻って、基子にとっては、市子は憧れの存在なのです。だからこそ、あのような裏切りをしてしまうのです。

 

 基子への復讐に燃えるリサ。しかし、それは裏を返せば、ちょっとしたことから市子を追い込んだ基子と同じ行為だと言えなくもないわけで、それを自覚したからこその、終盤のビンタだったのかなと思います。「あんたも同じじゃん」という。ニーチェの言葉の、「おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。」を思い出しました。だから、ラストの「慟哭」があったのではないかなと思います。そこでも視点が切り替わっていて、「市子視点」と「基子視点」が映されます。

 

 こうした複雑な多面性を見せつけ、且つ市子にラストの慟哭でそれを受け入れさせた本作。受け入れた市子の「よこがお」が非常に印象的でした。人間の複雑さ、深淵を真正面から描いた本作は、素晴らしい作品だったと思います。感想があまり纏めきれておらず、すみません。

 

 

人間の多面性を描いた作品。

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 同じく、厭な映画。

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日常の下にある意識をあぶりだす【ドゥ・ザ・ライト・シング】感想

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91点

 

 

 スパイク・リー監督の代表的な作品。監督はこれでアカデミー賞脚本賞にノミネートされたそうです。作品は有名なので、私も以前よりずっと観たかったのですが、例によって暇がなくずっと後回しにしていました。しかし、今年の3月、スパイク・リー監督の最新監督作『ブラック・クランズマン』が公開。ようやく観る時がやってきたかと思い、遂に鑑賞した次第です。

 

 冒頭、プエルトリコ系の女性がパブリック・エネミーズの「Fight Power」に乗せ、激しく踊り、拳を高く突き上げるという鮮烈なオープニングから、一気に映画に引き込まれます。拳を高く突き上げるというのは、『ブラック・クランズマン』でもやっていたような、ブラック・パワーの象徴のようなものだと思っています。そんな仕草を「Fight Power(権力と戦え)」に乗せてやるということに、現在の『ブラック・クランズマン』まで続くスパイク・リーの姿勢が感じられます。

 

 しかし、そんな鮮烈かつ強烈なメッセージのこもったオープニングとは裏腹に、映画で映されるのは、ムーキー(スパイク・リー)のボンクラな日常。子供もいる若者なのに、ピザ屋でサル(ダニー・アイエロ)に雇われ、文句を言いながら日銭を稼いでいます。

 

 ムーキーが住んでいるのはニューヨークのブルックリン。多種多様な人種が共生しているこの街では、個性豊かな面々が暮らしています。奥さんに愛想を尽かされたダメダメな爺さん、徒党を組むチンピラ、アジア系の店主、いつも「Fight Power」を大音量で流している男etc,etc・・・。序盤はこいつらの非常に楽しそうな、生き生きとした描写が続きます。

 

 個性豊かな面々と、ボンクラな主人公。これだけ聞けば、本作は何てことない作品かと思うかもしれません。ですが、大切なのはオープニングです。これを思い出してほしい。「Fight Power」=権力と戦え。しかも監督はスパイク・リーなのです。彼は『ブラック・クランズマン』において、「差別」というものに対し、銃口を向けた男なのです。何てことないわけがない。

 

Fight The Power

 

 

 そう思って観ていくと、このブルックリンの街には、「火種」が燻っていることが分かります。それは互いへの不信感です。映画を観ていると、黒人とサルの一家に徐々に徐々に入る亀裂を感じ、緊張感がヒリヒリと上がっていくのを感じます。そして、そのギリギリの線が切れ、状況は一気に最悪な展開へと進んでいきます。お互いにアメリカに流れてきた者同士のはずなのに、ちょっとした不信感から取り返しのつかない事態になる。本作は、これを着実に不安を積み上げていって見せていきます。

 

 この脚本の流れも見事ですが、それ以上に本作を素晴らしいと感じたのは、ラストの展開です。眠っていたムーキーを、ラブ・ダディ(サミュエル・L・ジャクソン)が叩き起こします。Wake Up!と。これまでボンクラでしかなかったムーキーが、黒人として「目覚めた」ところで、本作は日常に戻り、終わります。

 

 ここで、もう一度、冒頭を思い出しましょう。「Fight Power」です。ここでいう「権力」とは何かを考えてみたいと思います。終盤で、互いの不信感から、街は取り返しのつかない事態に陥ります。しかし、この不信感を醸成したのは一体どこの誰なのでしょう。それは多分、これまでの歴史なのではないかなと思います。これまでの歴史で、黒人は酷い目に遭ってきた。その積み重ねが不信感を生み、新たな事件へとつながっていったのではないかと思えます。そしてそれをやってきたのは誰か。白人もそうですが、国家ぐるみで差別をしていました。差別は不信感を生み、新たな悲劇を生む。だからこそ、それがたとえ権力であっても、目覚め、差別そのものと戦っていかなくてはならない。そんなことを考えた映画でした。

 

 

inosuken.hatenablog.com

 

 こちらも、「ちょっとしたことがとんでもないことになる」系の映画。

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 私の感想はこちら

(推定)12歳の少年の告発【存在のない子供たち】感想

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95点

 

 

 レバノン映画。同じ国の作品としては、昨年は『判決 二つの希望』という素晴らしい映画が公開されました。2年連続でこのような作品が日本で公開されているという点で、ひょっとしなくてもレバノン映画は今キテいるのではないか?と考えざるを得ません。

 

 『判決 二つの希望』はレバノンの複雑な歴史を背景にして、移民との相互理解を描いた社会派作品でした。本作も同じく社会派作品ですが、『判決 二つの希望』とは違い、社会構造そのものを「告発」した作品で、衝撃度で言えば今年イチの作品でした。

 

判決、ふたつの希望(字幕版)
 

 

 冒頭から衝撃的です。主人公の(推定)12歳の少年、ゼインが両親を法廷で告発しているシーンから始まります。罪状は「自分を生んだ罪」。映画はそこから、彼が何故こうなってしまったかを見せていきます。そこで描かれるのは、ゼインの劣悪な生活環境。告発された両親は、ゼインを始めとする自分の子供たちに非合法の自家製麻薬の製造と運搬に関わらせており、生後間もない赤ん坊を(おそらくどこにも行かないように)足を紐でつなぎ、まだ11歳の娘を自分たちの生活のためにロリコンの雑貨屋に嫁がせようとしている。考えうる限り最悪の状況です。そんな中でも妹のためにと頑張っていたゼインですが、彼女が強制的に結婚させられ、家を飛び出してしまいます。

 

 映画はゼインの回想パートと、現在の法廷パートを往復しつつ進んでいきます。映画はこの往復を上手く使って、我々の認識を変化させ、社会の構造的な問題を浮き彫りにします。映画が進むにつれて事情が分かってくるので、我々には両親が控えめに言ってもクズであると思えてきます。あまつさえコイツらは「何で懸命に生きている私たちを告発するの?」とか、「俺だって、上手くいってりゃこんなになってない!」とか、「裕福なあなたには分からないでしょうね」などと自己弁護を始める始末。最初こそ「どうしようもねぇなコイツら」と思うのですが、映画が進むにつれて、この点こそが本作の最大の問題点だということが分かります。

 

 ゼインは途中、とある母子と出会います。彼女も不法移民らしく、まだ赤ん坊の息子を育てるために極貧ながらも生活しています。ゼインはその家族の下で暮らすのですが、母親が連行されてしまったことから事態は一変。『火垂るの墓』よろしく12歳と赤ん坊だけで生きることになってしまうのです。街の人間は、自分たちを虫けらのように見つめる。当然合法的には生きられるはずもなく、ゼインはここで非合法な手段に手を染めます。それは、自分の両親がやっていた自家製麻薬の製造と販売なのです。しかし、お金はあっても家賃は払えずに路頭に迷っていたとき、ゼインは赤ん坊を(どこへも行かないように)足を紐で柱に繋ごうとし、赤ん坊を狙っていた男に渡してしまいます。そう、ゼインは意図せず、自分の両親と同じことをしてしまったのです。

 

火垂るの墓 [Blu-ray]

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 では何故、このようなことをしてしまったのか。それは2つあります。1つは、ゼインはそれ以外に生き方を知らないということ、そして2つ目はそこまで追い込んだ社会構造です。戸籍も無く、「存在のない」彼にはまともな職業に就くことはできない。なぜ生まれてきたのかと言えば、両親の労働力になるためか、「生まれてしまった」から。両親はどうしようもない人間ですが、ここまで観れば、ひょっとしたら彼らもゼインのように最初は純粋な人間だったのかもしれません。しかし、社会構造のせいで悪循環から抜け出せず、あんな人間になってしまったのかもしれません。だからって許されることじゃないけど。終盤でゼインが犯した罪は、このどうしようもない社会に対しての怒りの表明だったのかもしれないと思いました。

 

 本作は、ゼインがこの劣悪な社会を告発する作品でした。ただ、こういうことって、レバノンだけではなくて、形を変えてどこの国でも起こっている事だと思います。本作を観て「日本に生まれてよかった」と思った方は、是非『誰も知らない』と『万引き家族』を観てほしいですね。

 

 

結構似ている構造の作品。

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 同じ構造の映画その2。

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 同じくレバノン映画。

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人生肯定映画。自分も最後はこうありたいなぁ【さらば愛しきアウトロー】感想

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75点

 

 

 ロバート・レッドフォードには、直撃世代ではないためかそこまで思い入れはなく、観たのは『明日に向かって撃て!』とか『スティング』とか『大統領の陰謀』とか『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』といった最近の作品か、超有名作品のみ。そんな私ですが、映画史にその名を刻んだ名優の引退作と言われたからには鑑賞しないわけにはいかず、今回、鑑賞しました。

 

 彼が俳優引退作として選んだのは、実在の銀行強盗犯、フォレスト・タッカーの実話。1920年に生まれ、15歳で初めての犯罪を犯してから65年もの間、強盗、逮捕、脱獄(何と16回!)を繰り返してきた生粋のアウトローです。本作はそんな彼の晩年、74歳の頃を中心に描きます。

 

 

 強盗犯である彼ですが、その手口は実に「紳士的」。誰も傷つけず、金だけを盗み出す。被害に遭った人々は口を揃えて彼を「紳士だった」と称賛し、女すらも虜にする。そんな「漫画!?」と思わざるを得ないような人物ですが、本当にいたのだから仕方がない。

 

 そんなタッカーの姿は、レッドフォード自身と重なる部分がかなり多い。レッドフォードは時代性もあるのでしょうが、ブレイクしたのは『明日に向かって撃て!』や『スティング』のようなアウトロー役がきっかけでした。そして、映画の中では、多くの女優とのロマンスを見せてきました。タッカーは、そんなレッドフォードそのものと言える存在として描かれています。

 

 また、レッドフォード引退作ということで、彼の出演作へのオマージュも相当ある模様。そもそも本作自体が西部劇であり、レッドフォードのブレイクのきっかけとなったのが『明日に向かって撃て!』だったことを考えると、最後の出演作として、これほど適したジャンルはありません。まぁ、オマージュについては私は上述のように鑑賞本数が少ないので『スティング』くらいしか分かりませんでしたが、パンフレットを読むともっと多くのオマージュがあるそうです。このように、主演から何からレッドフォード一色なのが、本作なのです。

 

さらば愛しきアウトロー

さらば愛しきアウトロー

 

 

 また、本作には、「若手代表」みたいな感じでケイシー・アフレックが出てくるのですが、彼は仕事に疲れている時、自由に生きているタッカーを見て魅了され、彼を追い詰めていきます。その過程は、さながらレッドフォード自身が若手に対して道筋を示している姿にも重なります(実際、彼はサンダンス映画祭というインディペンデント作品を表彰する映画祭を開いている)。

 

 ラスト、逮捕されたレッドフォードは刑期を終え、安住の地を得ます。終盤で映される、レッドフォードの過去作からの引用を含んだこれまでの「脱獄」のモンタージュにより、これまで彼がしてきたことを一気に見せられ、それがレッドフォードのこれまでのキャリアと重なって映ります。これもあり、安住の地を得るのは、「引退」ということを考えれば、とてもいい幕引きです。『運び屋』でもイーストウッドはフッといなくなっていましたし。しかし、だからこそ、最後の最後の行動で、グッとくるわけです。地平線の向こう側を見つめ、もう一度、強盗をする。タッカーもそうしたそうです。「まだまだ俺はやるぜ」そう、レッドフォードが宣言している気がして、鑑賞後は私も彼のことが好きになってしまっていました。さすがですよ。

 

 

同じく、「高齢の犯罪者」の実話。

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 このブログでレッドフォード主演作はこれだけ。

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ブログを開設して2年が経ったという話

  皆様、こんばんは。いーちゃんです。いつも当ブログ、「暇人の感想日記」を読んでくださり、ありがとうございます。おかげさまで、当ブログも解説してから2年が経ち、3年目を迎えることができました。ここまでブログを更新できたのは、いつも読んでくださる皆様のおかげでございます。いつもスターをつけてくださるのは、ブログ更新の励みになります。ありがとうございます。さて、今回の記事では、2年目の記事で印象的な記事を挙げていき、当ブログの2年目を振り返りたいと思います。

 

 

『ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間』2018.9.16

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  ポノックの短編集作品。地味にアクセスを稼いでくれる作品。・・・と思ったら、つい先日の『千と千尋の神隠し』で放送された『透明人間』のおかげで、空前絶後、驚異的なアクセスがありました。

 

 『若おかみは小学生!』2018.10.5

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  こちらはSNSでちょっとだけヒットした記事。やっぱり、支持者が多い作品はSNSで地味に伸びるんだなと実感しました。

 

 『2001年 宇宙の旅(IMAX2D字幕)』2018.11.3

inosuken.hatenablog.com

  これはブログ的にはそこまでなのですが、往年の上映形態を模した上映を体験できたという意味で、個人的に感慨深かった作品。

 

 『DEVILMAN cry baby』2018.12.1

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  これもSNSで地味にヒットした記事。個人的に、原作と「激マン」を読んで感想書いたので、比較的にまともな記事になったのか?と思ってます。

 

 『SSSS.GRIDMAN』2019.1.2

inosuken.hatenablog.com

  ブックマーク数を見てください。この記事だけ段違いに数が多いです。本作で初めて「はてブトルネード」を経験しました。アクセス数が驚異的な数字になりました。はてブって凄いな。

 

 『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』2018.1.5

inosuken.hatenablog.com

  この記事は、地味に検索エンジンからのアクセスがある記事。映画が公開されたときも地味にアクセス数を稼いでくれました。

 

 『TVドラマ『相棒』のメイン脚本家の変遷をまとめてみた』2019.1.26

inosuken.hatenablog.com

  2年目で重要な記事。長らく温めていた、「相棒の脚本家の記事」を遂に形にしたもの。SNSで読んでもらえるようにしたおかげか、今では検索エンジンからのアクセス数No.1の記事です。

 

『 初めてはてなブログのお題に参加したという話 お題:万全の体調管理を』2019.1.30
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 初めてはてなブログのお題に参加した記事。自分の考えを書けて、結構楽しかったです。

 

 『2018年新作アニメベスト10』2019.2.9

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  初めて書いたアニメランキング記事。選定が大変でした。

 

 『コードギアス 復活のルルーシュ』2019.2.23

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  劇場版『コードギアス』の記事。何故か一瞬だけ検索エンジンに引っ掛かり、アクセス数を稼いだ記事。

 

 『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』2019.2.24

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  こちらもSNSでヒット。それと、「シティーハンター評論家騒動」に言及したツイートがバズりまくり、その時固定していたこの記事のツイートからの流入がありました。

 

 『やがて君になる』2019.3.3

inosuken.hatenablog.com

  この記事は、今の「日曜の17時に記事をアップする」というきっかけになった記事。アニメ関係は何故かこの時間にアップすると反応がいいというジンクスが分かったので、以降この時間で記事をアップするようになりました。

 

 『ブギーポップは笑わない』2019.3.31

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  本記事は、初めて最初から最後までスマホで書いた記事です。その甲斐もあってか、検索エンジンに引っ掛かり、アクセス数を稼いでくれています。

 

 『アベンジャーズ/エンドゲームも観たことだし、個人的MCU作品ランキングを作ってみた』2019.5.6

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  ずっとやりたかったMCUランキング記事。GW中にアップできたためか、ここから経由して他のMCU作品の記事へと飛んでくれたようです。思えば、このころからブログのアクセス数が一段上に行った気がします。

 

 『インターステラー』2019.6.25

inosuken.hatenablog.com

  人気作だし、まぁアップしとくか、くらいの軽い気持ちでアップしたら、本作へのアクセス数が急増。今まで見たことないアクセス数を稼ぎ出しました。

 

 まぁ、実はこれにはオチがありまして。アクセス解析で、以下の検索ワードが載っていたのです。「人類の皆様へ感謝」と。そして調べてみると、この記事を公開してからすぐにこのゲームが発売されたことが分かりました。

 

じんるいのみなさまへ - PS4

じんるいのみなさまへ - PS4

 

 

 この記事には、「人類」というワードが入っています。何故かこのワードが引っ掛かり、アクセス数が急激に伸びたのです。言っておきますが、狙ってません。完全な偶然です。

 

 『どろろ』2019.7.14

inosuken.hatenablog.com

  個人的な考察を目一杯書けた記事。思い入れということで。

 

 『トイ・ストーリー4』2019.7.20

inosuken.hatenablog.com

  同じく考察を書けた記事。アクセス数もかなり伸びました。この辺から、新しく書いた記事が注目記事ランキングに載るようになりました。

 

 『天気の子』2019.7.28

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  旬ということもあり、ずっとアクセス数を稼いでくれている記事。感謝。

 

 

 以上です。1年目の記事では、「多い時でアクセス数は1000」と書きました。あれから1年を経て、今では平均してアクセス数が3000行くようになりました。まぁ同じ時期に始めてもうアクセス数10000いってる人もいる中でこの数字が多いのか少ないのか分かりませんが、成長は成長ということで、前向きに受け止めたいなと思います。記事の内容ももう少しよくしていきたいなと思っております。これからも書いていきますので、何卒、よろしくお願いいたします。

2人のハゲが、世界を救う【ワイルド・スピード/スーパーコンボ】感想

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80点

 

 私はそもそも、『ワイルドスピード』シリーズには何の思い入れもありませんでした。なので当然、これまで過去作を観ることはありませんでした。そんな私が、何故ファンが楽しむことを前提としたスピン・オフを観る気になったのか。それは本作の監督にあります。デヴィット・リーチ。盟友・チャド・スタエルスキと共に87イレヴンというアクション・コーディネートのスタジオを設立し、あの『ジョン・ウィック』シリーズや、『デッドプール2』、そして女性アクションの革命的作品『アトミック・ブロンド』を制作した男なのです。そんなアクションの名手が今をときめくアクション・スター、ドウェイン・ジョンソンジェイソン・ステイサムを主演にして映画を撮る。これを聞いたら俄然観たくなってきたので、予習として2人が出てくる『ワイルドスピード SKY MISSION』だけ観て鑑賞してきました。

 

 

 鑑賞してみると、ホブス(ドウェイン・ジョンソン)とショウ(ジェイソン・ステイサム)のハゲ2人がひたすらいがみ合いという名のイチャコラを延々繰り返しながら並み居る敵をバッタバッタとなぎ倒していく、頭を一切使わないバカアクション映画でした。

 

 まず本作、やはりアクションが素晴らしい。2人のアクションの違いがしっかり描かれています。ホブスは相手を殴る、投げる、タックルするという体を使ったザ・ロックな戦い方を見せてくれます。対してショウは手数で勝負。身の回りにあるものを何でも武器に使うというジェイソン・ボーン戦法を見せてくれます。最初のボトルを使ったアクションは白眉。また、本作初登場のショウの妹、ハッティのアクションも素晴らしかった。基本的には『アトミック・ブロンド』のシャーリーズ・セロンで、身の回りの物を使いまくって他の男どもと互角の戦いを繰り広げています。

 

 本作は一応、バディ・ムービーなのかなと思うのですが、この2人、最初から最後までとにかくいがみ合っている、というか、もう何か、一周回って本当に仲が良いとしか思えない。それは映画の中でも意図的にやられている気がして、冒頭に出ています。画面を2分割して、2人の朝を映すというアレです。ここでもう、番い感が凄い。しかも2人は正反対であるとかも描いているし。そんな2人なのでアクション中もずっといがみ合っていて、それが子どもレベルなので、ギャグでしかない。

 


映画『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』海外版予告編

 

 そんな最強のハゲ2人と対峙するのはイドリス・エルバ演じるブリグストン。素のままでは勝負にならないと思ったのか、サイボーグ化してチート能力をつけて力を盛りまくっています。本作はそんな最先端テクノロジーを駆使した敵に対し、最後はサモアの住人と共に原始的な戦法のみで戦いを挑みます。ちなみにその御膳立ても適当。敵のスーツの性能も結構適当。

 

 しかし、一応それが本作におけるテーマっぽい点に繋がっていはいるのです。要するに本作のテーマとは、「人間の力を信じる」ことです。敵の選民思想や、それに基づく最先端テクノロジーを、己の肉体(=人間の力)のみで打ち破るという「少年マンガか!」と言いたくなるような展開を以て、それを描いているのです。後、ヴィン・ディーゼルが関わってないのにやっぱり家族の物語になっているあたりはさすがだなと。

 

 このように、本作は期待していた通りのバカアクション映画でした。しかし、アクションはやはり見るべき点が多く、その大味感も期待通りでした。

 

 

同じくデヴィッド・リーチ監督作。こっちのシャーリーズ・セロンは神がかっていた。

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 盟友・チャド・スタエルスキ監督作。『パラベラム』も楽しみ。

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20周年にふさわしい「お祭り映画」【劇場版ONE PIECE STAMPEDE】感想

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80点

 

 

 現在、週刊少年ジャンプにて連載中の国民的海賊漫画「ONE PIECE」。原作は2019年現在、連載22年目に突入し、TVアニメも今年で20年目になります。私はTVアニメはエニエスロビー編で見るのを止めてしまったのですが、原作は相変わらず買ってますし、映画だって新作をやれば観ていますよ、そりゃ。そんな私なので、TVアニメ20周年にあたる記念的な作品である本作を観ない理由はないということで鑑賞しました。

 

 最初に書いてしまうと、本作は良くも悪くも「お祭り映画」です。内容は非常に単純です。強大な敵が出てきて、それをルフィがブッ飛ばすというものです。しかし、その中身は20周年にふさわしいものです。新キャラクターの数こそ少ないものの、その代わりにこれまでに出てきたキャラクターが総登場しています。また、劇中で歴代の印象的なBGMも多く使われており、これまでのTVアニメ20年分の歴史が詰まっているような内容です。

 

ONE PIECE Log Collection “EAST BLUE” [DVD]

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 多くのキャラがいながらも、その多くがきちんと活躍しているのはさすがだなと。麦わら一味はもちろんですが、目立つところではバギーは相も変わらずの道化っぷりだし、ハンコックの暴走感とか、バルトロメオの安定感、噛ませが多かったスモーカーの久々の強キャラ感、サボ、ローの安定したカッコよさ、ラストの「あのキャラ」、そして脇に出てくる懐かしすぎるキャラ(ワポルとフォクシーが台詞ありで出るとは思わなかった)など、書き切れないレベルで多彩なキャラが出て、それなりの見せ場があります。このキャラが多いわちゃわちゃ感は新世界以後の原作の雰囲気に近いです。監督は『プリキュア』のオールスター映画を作った方なので、この交通整理力が買われたのでしょうね。

 

 また、多くのキャラが登場しているため、それまで実現していなかった対決や、対面があるのもポイント。クロコダイルとロビンはアラバスタ編以後は初対面だろうし(ミス・オールサンデーは久しぶりに聞いた)、サンジとスモーカー、ルッチ、そしてゾロと藤虎といったファンが見たい組み合わせが連続して出てきます。ここらへんは完全なファン・サービスです。

 

 そして、この20年分の歴史を以て迎え撃つ敵・バレットも、「ロジャー海賊団の元クルー」というこれ以上ない肩書を持つ強敵です。その強さは他を寄せ付けない圧倒的なもので、能力者ですが、悪魔の実の力を使わずとも覇気と体術だけで「最悪の世代」を圧倒する力を持っています。悪魔の実の力に頼りきりな敵キャラがいる中、己の力だけでここまで戦えるキャラというのは大変貴重で、魅力的です(だからゼットも好き)。

 

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 しかし、本作はキャラが出ていて、わちゃわちゃしてるだけではなく、その中身までしっかりと「ONE PIECE」な作品でした。

 

 「ONE PIECE」で重要なのは、「仲間」という要素です。本作では、ここをルフィとバレットという相反するキャラクターを通して描き出します。

 

 本作におけるバレットとは、その生い立ちから、1人で強くなることこそ重要であると考えているキャラです。その思想が前面に出ているのが彼の能力「ガシャガシャの実」。全ての力を自分に集中させ、己だけの力にするという能力です。この能力の前には、自分の力になれない者は、必要なく、必要なのは強者のみです。

 

 対して、ルフィはご存知の通り、「仲間」至上主義者であるため、それと真っ向から対立します。ここで重要になるのがウソップの存在。最初に予告でやられているシーンを観たときは「ゾロとかサンジの方が危機感あるのにな」と思っていたのですが、鑑賞してみると、なるほどと思いました。ウソップの「弱さ」が本作では重要な要素になっているのです。

 

 ウソップというキャラは、ご存知の通り麦わら一味の中では最弱の部類に入ります。そもそも彼は化け物じみた奴らばかり出てくる本作で、エニエスロビーまでずっとパチンコと頓智と口八丁と生命力で戦ってきた男なのです。そんな彼はルフィにとっては大切な仲間ですが、バレットの信念に沿えば、ウソップは「いらない」人間で、真っ先に切り捨てられます。

 

 

 しかし、ルフィは見捨てない。単純な「強さ」では相手を推し量らず、誰でも受け入れる。そしてその差が、最後で逆転をもたらすのです。

 

 そしてルフィは、そのカリスマ性を以て、最後に互いに相反する勢力を味方につけ、彼らの力を借りることでバレットに勝利を収めます。これは、上述のバレットの信念、能力とは正反対の考えであり、それ故に、この考えを持ったルフィたちが勝利を収めることは、「仲間」の大切さを訴えてきた「ONE PIECE」という作品そのものと言え、記念作としてふさわしい内容だと思います。

 

 全体的には満足だったのですけど、実は不満点が1つ。バトルシーンです。本作は昨年公開された同じく東映アニメーション制作の『ドラゴンボール超 ブロリー』よろしく半分以上がバトルです。これ事態は良いです。しかし、『ブロリー』と比べてしまうとバトルシーンがやや平凡な感じがしてしまいました。あれと比べるのが酷だというのは分かるのですが、70分バトルをやるなら、あれくらいエクストリームなものが観たかったなぁと思う次第です。

 

 ただ、私は本作を「ONE PIECE」TVアニメ20周年記念のお祭り映画として、そして「ONE PIECE」の映画として、楽しめました。

 

 

同じく東映アニメーション作品。こっちのバトルシーンは群を抜いて素晴らしかった。

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 同じくジャンプ映画。こっちもお祭り感ありました。

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