暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2023年新作映画部門別ランキング

 皆様。こんにちは。いーちゃんです。先日、2023年に見た新作映画のベスト10を発表しました。続いて、今回は部門別のベストです。「日本映画部門」「外国映画部門」「アニメーション映画部門」「ワースト部門」に加え、今回から「旧作部門」を発表したいと思います。では、いってみよう。

 

【日本映画部門】

2位『窓ぎわのトットちゃん』
3位『北極百貨店のコンシェルジュさん』
4位『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
5位『怪物』
6位『ほつれる』
7位『福田村事件』
8位『響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』
9位『市子』
10位『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
 
 以下、簡単に選考理由を書きます。1位はベスト記事を読んでください。
 2位はトットちゃんという少女から見た戦前の日本の物語で、如何に戦争が子どもたちから教育と正気を奪っていくのか、を描いた傑作。
 3位はアニメーションの動きの楽しさに満ちている快楽アニメ。しかし、愚直なまでに他者のために奮闘する主人公の姿に涙を禁じえませんでした。
 4位は、「ゲゲゲの鬼太郎」という作品を借りて、現在まで形を変えて続いてしまっているこの国の搾取構造を克明に描き出し、尚且つ「鬼太郎」というヒーローの誕生譚に仕上げた手腕が見事。
 5位は、この社会が、如何にマイノリティを無意識のうちに傷つけているのかを描いた佳作。
 6位は、話こそは何てことはないけれど、撮影と編集で見せてしまうその実力に感服した。
 7位は製作されたことに意義がある映画であるが、問題的に終わらず、正気を保てなくなった人間の恐怖を描いた映画として良かった。
 8位は、あの事件の後、再び動き出したシリーズだが、部長として奮闘する久美子と、前に進む部員全員の姿に泣いた。
 9位は、とても力強い映画だと思った。杉咲花が圧倒的。今の日本映画界でも、このような作品が作れるのか、と改めて希望を抱いた。
 10位は、現実ならば、ともすれば「弱い」と切って捨てられそうな若者を描いた作品。こういう若者(というか年齢問わず)はいるはずであり、ようやくこういう映画が出てきたか、という喜びがあった。
 

【外国映画部門】

1位『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
2位『スパイダーマン/アクロス・ザ・スパイダーバース』
3位『ザ・キラー』
4位『TAR/ター』
5位『ベネデッタ』
8位『フェイブルマンズ』
9位『SHE SAID その名を暴け』
10位『レッドロケット』
 
 正直、総合ベスト10とほとんど変わりません。ただ、10位だけ変わっています。1~9位は先日挙げたベスト10の記事を読んでください。
 10位は、クズな主人公を描いているだけなのに、映画は妙に面白い。こんな奴にはなりたくないと思うし、こんな奴を安全圏から見て反面教師にできるのも映画の良いところだなぁと思います。
 

【アニメーション部門】

1位『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』

2位『君たちはどう生きるか

3位『窓際のトットちゃん』

4位『北極百貨店のコンシェルジュさん』

5位『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

6位『ミュータントタートルズ ミュータント・パニック』

7位『響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』

8位『アリスとテレスのまぼろし工場』

9位『マイ・エレメント』

10位『BLUE GIANT


 以上になります。1、2位は先日のベスト10記事を、3~5,7位は上述の部門を読んでください。以下、6位、8~10位の感想です。

 6位は、アニメーション新次元。10代の落書きのような自由闊達な筆致のキャラと背景で、それが作品のテーマともきちんと合致している。『スパイダーバース』と合わせて、アニメーションの自由さをもう一度思い出させてくれる。

 8位は、岡田磨里が200%の出力で放つ渾身の映画。岡田磨里的モチーフがふんだんに盛り込まれているだけではなく、それを以て彼女の作家性がさらに爆発している異形の映画。その強烈さに8位。

 9位は、ファンタジー的な見た目と相反し、社会派と順当なロマコメを両立させたピクサー映画。その完成度の高さにピクサーの矜持を見る。久々にヒットしたみたいで何より。「ディズニー」はどうでもいいが、ピクサーが潰れるのはごめんなので、頑張ってほしい。

 10位は、とにかく演奏の熱が半端ない本作がランクイン。CGの使い方に難があれど、「聴いてもらえばわかる」を実践してみせた魂の音楽映画。ラストの演奏には感動した。


【旧作映画部門】

1位『空の大怪獣ラドン

2位『ミツバチのささやき

3位『暗殺の森

4位『悪魔のいけにえ

5位『ツィゴイネルワイゼン

 2023年は劇場、配信、ソフト合わせて、旧作を32本見ました。宮崎駿とヴァーホーベンの新作に合わせ、両監督の過去作を一気に鑑賞したりしました。その中で、特に印象に残ったベスト5を紹介します。ちなみに、ヴァーホーベンの映画はどれも良かったのですが、個人的には、特に『スターシップ・トゥルーパーズ』が良かったです。宮崎駿作品は、『風立ちぬ』の良さを確認できたことが良かったかな。

 

 1位は、「午前十時の映画祭」で鑑賞。4Kとなった映像は驚くほどに鮮明になっており、まずはここに衝撃を受けた。前半と後半で別の話になっているなど瑕疵も多いけれど、クリアになった映像、そして、やっぱり最後のラドンの姿に泣いちゃったので1位です。仕方ない。

 2位は、初のビクトル・エリセ。午前十時の映画祭で鑑賞。その映像表現に圧倒されました。この監督の新作を2024年は見られるのかと思うと、夢のようです。

 3位は、ベルトルッチの傑作。午前十時の映画祭で鑑賞。台詞ではなく、「映像で語る」ことを見せつけられた映画。色彩、立ち位置、光と影・・・。全てが映画のメッセージを雄弁に語る作りに酔いしれる。

 4位は、トビー・フーパーのもはや古典と言っていいホラー映画。配信で鑑賞。映画から熱量を感じることはあるけれど、本作ほどの熱を感じることはない。その迫力にただ圧倒される。レザーフェイスが少し可愛く見えたことも印象深かった。

 5位は、初の鈴木清順リバイバル上映で見ました。終始、口あんぐり、困惑しつつ観ていました。私が知っている「映画」のそれと全く違う時間の使い方、編集の仕方や、観念的なショットの連続なモンタージュなど、こちらの生理を逆撫でしてくる作りが異様で、初めての映画体験でした。

 

【ワースト部門】

 2023年のワースト映画です。ある年と無い年があるのですが、今年は3本あります。こちらは、ベスト部門と被るところもないので、3位から順に発表したいと思います。では、行ってみよう。

3位『BAD LANDS』

 原田眞人の新作がワースト3位。ここ数年、ほぼ毎年映画を公開している原田監督ですが、だんだん仕事が適当になっている気がしていて、本作はその極みみたいな感じだった。原田監督のせっかちな編集や早口の台詞回しが全部悪い方に作用している気がした。脚本もどうかと思うし。『検察側の罪人』はまぐれだったのか?

2位『リボルバー・リリー』

 東映のアクション大作で、実はちょっと期待していた。しかし、あまりに酷くて愕然とした映画。アクションにもたいしたフレッシュさは無いし、脚本もあまりに杜撰。美術は頑張っているなと思うのですけど、肝心のアクションがダメなのはマイナス点です。

1位『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦~とべとべ手巻き寿司~』 

 『クレしん』映画がワースト。とにかくメッセージが酷いなと思った。後、アニメーションとして、3DCGが『クレしん』や内容とマッチしていないように思えた。作り手が今の社会状況に対して、的確なメッセージを出せないのか・・・と残念に思った映画でした。特に『クレしん』シリーズは、『花の天カス学園』が傑作だったのに、この内容を出してくる、という残念さもあったな。

 他にも、『バビロン』『オクス駅お化け』『ハロウィン THE END』あたりがワースト級だったのですが、まぁ怒ったり途中で話に興味が無くなったりしたわけではないので(『バビロン』は結構はてなだった)、ワーストからは外しました。以上です。

 以上が、2023年の部門別のランキングでした。2024年は、年明けから悲惨な状況になってしまいました。被災地の方のご無事をお祈りしております。このような状況でこんなこと言うのも何ですが、良い映画と出会えることを願って。それでは。