89点
『キャプテン・アメリカ』シリーズ2作目。評価が非常に高い作品で、ずっと観たかった作品です。ようやく時系列的に観られるようになったので鑑賞しました。
非常に面白かったです。評価が高い理由も納得の1本でした。というのも、本作はアメコミヒーロー映画、エンタメ映画、アメリカ社会派映画という3つのジャンルが見事に融合して、且つそのどの分野の作品としても申し分のない作品だったからです。
本作の核の部分としては、アメコミヒーローものの2の鉄板「ヒーローの存在意義」だと思います。しかし、本作で問われるのはキャップの正義だけではなく、アメリカという大国の体制も問われます。
『キャプテン・アメリカ』というヒーローはご存知な通り、最初は国威高揚を目的として作られたヒーローでした。なので、キャップ自身はアメリカの当時の理想である「自由を守る」ことを頑なに守ろうとします。しかし、本作でS.H.E.L.Dは「テロ防止」を目的として、全世界の人間を監視し、危険分子と断定すれば直ちに殲滅できるヘリキャリアーを開発しています。ちなみに選ぶのはS.H.E.L.D。完全に恐怖による統治。これは記憶に新しいところでは「スノーデン事件」や、オバマ大統領の無人攻撃機を彷彿とさせますし、過去を辿れば「ウォーターゲート事件」など、似たような事例はいくらでもあります。「ウォーターゲート事件」について考えると、ロバート・レッドフォードが出ているのは意味深に感じます。
これはキャップの正義とは違います。つまり、アメリカの本来の理想とも違います。このように、キャップが国との相克に悩むことで、本作はアメリカの正義を問う社会派作品にもなっているのです。しかも背後にはヒドラという組織がいるのも興味深いですね。
本作は上記の事件をもとにした作品のようなポリティカル・アクションの様相も呈しています。冒頭の不穏な雰囲気から一気に状況が変化し、そこから怒涛の展開に突入し、謎を1つ1つ解いていくストーリーはとても面白く、グイグイ引き付けられます。
更に素晴らしいことに、本作はアクションも素晴らしい。特にキャップの盾アクション。盾1つで実に多彩なバリエーションを見せてくれます。また、アクションだけではなく、本来の用途や、落下するときの緩衝材としても使うなど、観ていて何度感心したか分かりません。しかも体術や、道路での銃撃戦も非常に工夫されています。
見せ場があるのはキャップだけではありません。他のキャラにもきちんと見せ場があります。特にブラック・ウィドウですね。本作では彼女の話も展開され、1つの区切りを迎えます。後はバッキーですね。彼が次作でどうなるのか。非常に気になるところ。
このように、本作はアメコミヒーローものの2の鉄板、「ヒーローの存在意義」を、アメリカの問題と絡めて描くという、正に『キャプテン・アメリカ』シリーズだからこそ描けることを、非常に良くできた娯楽作品として成立させた至高の1作だと思います。
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