暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2018-01-01から1年間の記事一覧

「YELLOW」は美しい色【クレイジー・リッチ!】感想

80点 ハリウッド初のキャストが全てアジア系である本作。これまで、ハリウッドの中でのアジア人とは、ごく一部の例外を除き、型通りの存在としてしか描かれてきませんでした。 しかし、時代は変わりました。人種差別、性差別的な風潮は律されるようになり…

大画面で観るべき、体感する傑作映画【2001年宇宙の旅(IMAX2D字幕版)】感想

95点 スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークが1968年に制作した不朽の名作にして、映画史上最も難解と言われる作品。私も昔DVDで観たのですが、御多分に漏れずさっぱり理解できず、当時の感想ノートにも、「訳分からん」と書かれています…

ポップカルチャーにまみれた煉獄【アンダー・ザ・シルバーレイク】感想

77点 インディーズ映画『アメリカン・スリープオーバー』で注目され、『イット・フォローズ』の大ヒットにより、一躍ヒットメーカー的な存在となったデビット・ロバート・ミッチェル。順調にホップ・ステップをし、今最も注目されている監督である彼がジャ…

『オルタナ』よりも「劣化版」感が強い【フリクリ プログレ】感想

45点 『フリクリ』の続篇2部作の2作目。前作『オルタナ』は『フリクリ』である意味がない、と書きましたが、本作は『オルタナ』と比べれば、前作と直接つながっているだけあって、まだ『フリクリ』らしさがある作品でした。ただ、それだけに、前作とは違…

『フリクリ』である意味がない。【フリクリ オルタナ】感想

47点 はじめに 「もう、ギンギンじゃんかよ」 「もう」というか、20年くらい前に発表された前作からして「ギンギン」だった『フリクリ』。私はリアルタイムで見たわけではないですが、アニメに興味を持ち始めたときにレンタルで見ました。初めて前作を見…

2018年春アニメ感想⑧【ルパン三世 PART5】感想

国民的な人気を誇るTVアニメシリーズ『ルパン三世』。そのTVアニメとしては5作目となる作品。これまで4度TVアニメ化されていますが、2シリーズ続けてジャケットの色が同じなのは初。 前作PART4は、ストーリーは1本の軸がありながらも、基本はバリエーシ…

ゲーム版『トイ・ストーリー』【シュガー・ラッシュ】感想

82点 12月に続篇が公開されるということで、予習として鑑賞。観終わってすぐは「いやぁ、良いもん観たなぁ」という幸福感に包まれているのですが、しばらく経ってよくよく考えてみると、おかしな点や、納得がいかない点も多くあった作品でした。 監督は…

マッコールを批評的に描いた最高の続篇【イコライザー2】感想

87点 世の不正を正し、世界を均衡化(equalize)させる男、ロバート・マッコール。人は彼を、「イコライザー」と呼ぶーーー。 本作は、彼の活躍を描いた2014年の作品『イコライザー』の続篇となります。前作は「ナメてた相手が殺人マシーンでした」も…

2018年夏アニメ感想⑤【銀魂 銀ノ魂篇(2期)】

「最終章」と銘打っておきながら、中々終わらない漫画(そしてアニメ)「銀魂」。アニメはクールの終わり毎に「終わる終わる詐欺」をするのが定番になってきていますが、遂には原作もいつまでも「最終章」を銘打っても中々終わらないという状況になっていま…

差別主義者への鉄槌【KAMIKAZE TAXI(インターナショナル・バージョン)】感想

95点 現在、『検察側の罪人』が公開されている原田眞人監督の出世作。悪徳政治家、土門のせいでヤクザに恋人を殺されたチンピラ、達男。彼は土門の家から金を盗む計画を立て、実行しますが、土門の手下である亜仁丸率いるヤクザに追い詰められ、達男以外皆…

邪魔する奴らは皆殺し。最高のガン・アクション映画【ジョン・ウィック】感想

83点 遂に観ました。ずっと観たかった本作。キアヌ・リーヴス演じる凄腕の殺し屋ジョン・ウィックが愛犬を殺したマフィアの息子を狙って、送られてくる刺客を殺して殺して殺しまくります。このアクションもバリエーション豊かで、観ていて飽きませんし、「…

2018年夏アニメ感想④【あそびあそばせ】

2018年の6月、夏クールに視聴するアニメを探していた時のことです。私はアキバ総研の新作アニメ一覧を参照して視聴するアニメを決めているのですが、そこで本作を知りました。貼られている画像は可愛らしい女の子が3人。そして作品紹介文には、「3人…

善悪の境界なき戦場【ボーダーライン】感想

90点 今、乗りにのっている映画監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴ。そして、同じく今乗りにのっている脚本家、テイラー・シェリダン。彼らが2015年に制作した作品です。前から観たいと思っていたのですが、例によってズルズルと先延ばしにしていました。しか…

2018年春アニメ感想⑦【シュタインズ・ゲート ゼロ】 ※ネタバレあり

前作『STEINS;GATE(以降、無印)』は、驚異的な完成度を誇るアニメでした。前半のキャラクター紹介を兼ねた周到な伏線張り、そしてその日常が崩壊し、物語が一気にドライブしだす中盤。そしてそこから続く、容赦なく残酷な結末を突きつけてくる世界への抗い…

2018年夏アニメ感想③【ぐらんぶる】

世の中には、バカアニメというものがあります。それは大きく2つあると思っていて、1つはストーリーは荒唐無稽でどうしようもないのですが、映画の中でそれを大真面目にやっているもの。そして2つはストーリーも登場人物もバカというもの。本作は明らかに…

権力と戦った人々の話【1987、ある闘いの真実】感想

87点 最近、韓国映画で多く見られる過去の民主化運動を扱った作品。今年にも、光州事件を描いた『タクシー運転手 約束は国境を越えて』が4月に公開されました。本作はこの作品のすぐ後に起こった、警察が1人の青年を拷問死させたことに端を発する大規模…

人生で大切なことを教えてくれる映画【若おかみは小学生!】感想

89点 原作未読、TVアニメも未視聴。絵柄も所謂「児童向け」アニメ。これだけ材料が揃えば普段は観ないのですが、何故観たのかというと、監督が高坂希太郎さんだからです。彼はスタジオジブリ出身のアニメーターで、『千と千尋の神隠し』や『風立ちぬ』で作…

2018年夏アニメ感想②【はたらく細胞】

夏アニメ2本目。原作が人気なので気になって視聴。「発想の勝利」とは、この作品のためにあるのだと思いました。確かに面白かったです。そして、同時にとても勉強になるアニメだと思いました。 本作は、最近流行りの擬人化ものです。これまでも戦艦とか城と…

青春時代の関係って、本当に不誠実だよね【きみの鳥はうたえる】感想

86点 予告は観ていましたが、最初は完全にノーマークで、観る気はありませんでした。しかし、『寝ても覚めても』を観ようと思ったとき、カンヌに出品された『寝ても覚めても』を観て、同じく小規模公開である本作を観ないのは何か違うのではないか?という…

2018年夏アニメ感想①【深夜!天才バカボン】

過去に4回TVアニメ化されている、赤塚不二夫の代表作にして、日本ギャグマンガの金字塔『天才バカボン』。その5度目のアニメ化作品。原作の時点でかなり危ない下ネタや、常軌を逸したナンセンスなギャグが繰り広げられるスラップスティックな作品でしたが…

2018年秋アニメ視聴予定一覧

まだ夏アニメも全て見ていないのですが、もう10月に入りますよ。今年も後3カ月です。つまり、秋アニメが始まるのです。夏アニメは個人的に地味な印象だったのですが、『あそびあそばせ』とか個人的にドツボな作品もあったりして楽しめました。今期はどう…

現実か夢か【寝ても覚めても】感想

86点 『万引き家族』とともにカンヌ国際映画祭に出品されたものの、話題は完全にパルム・ドールを受賞した『万引き家族』に持ってかれた感がある本作。ですが、曲がりなりにもカンヌに出品された作品。観たくなるのは人情というものです。なので、『きみの…

時代に抗えという監督の熱が伝わってくる作品【菊とギロチン】感想

90点 『64-ロクヨンー』『有罪』など、近年、大規模公開作品でスマッシュ・ヒットを連発している瀬々敬久監督。彼が構想30年を費やし、クラウドファンディングなどを駆使してようやく制作までこぎつけた本作。最初はそこまで観る気が無かったのですが…

『I.W』の後に丁度いいライトな作品【アントマン&ワスプ】感想

78点 MCUの前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(以後、『I.W』)』は大変な作品でした。見事な交通整理力によって、膨大な数のヒーローが出ているにも関わらず、その全員に見せ場がある理想的なお祭り映画なのもそうですが、やはりラストシーン…

地獄巡りで外した人の道【野火】感想

98点 感想を挙げるのは9月になりましたが、鑑賞したのは8月15日です。鑑賞理由はこの月日から察せられるように、終戦の日だからです。去年は岡本喜八監督の名作『日本のいちばん長い日』を鑑賞しました。あちらは、昭和天皇と鈴木貫太郎内閣が御前会議…

『透明人間』は素晴らしい!でもポノックはこのままでいいのかな?【ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間】感想

60点 スタジオジブリから独立した西村義明Pと米林宏昌監督が設立したスタジオポノック。2作目の公開作品。前作『メアリと魔女の花』は「魔法」をジブリに例え、「魔法なんていらない!」と言ってジブリからの決別を図った内容になっていたと思います。し…

チーム全員最高にカッコいい【オーシャンズ8】感想

72点 ジョージ・クルーニー主演の『オーシャンズ』シリーズ最新作。前作は男性役者オールスターでしたが、本作はようやく出てきた女性オールスター。私自身は『オーシャンズ』シリーズは1作目しか観たことがないニワカなので、本作を観ようか迷っていたの…

2018年冬アニメ感想①【ダーリン・イン・ザ・フランキス】

トリガーとA-1Pictures共同制作の作品。監督は『THE IDOLM@STER』の錦織敦史さん。『THE IDOLM@STER』において、見事な群像劇を見せてくれた錦織さんですが、そんな彼が今度はガイナックスの系譜をひくロボットアニメを監督する。この組み合わせがどのような…

フェミニズムを盛り込んだ娯楽時代劇【駆込み女と駆出し男】感想

81点 原田眞人監督作品。『検察側の罪人』に合わせて、監督の作品をいくつか観ておこうと思い、評判のいい本作を鑑賞しました。井上ひさしの『東慶寺花だより』を原案に、縁切寺に駆け込んだ女性たちと、医者になったばかりで、戯作者にも憧れている「駆け…

過去は消せない。【手紙は憶えている】感想

90点 ずっと観たかった本作。劇場公開時は時間の関係で観逃がしていたので、Netflixに登録されたことを機に鑑賞しました。ナチスに家族を殺された老人の悲しい復讐を描きます。 本作で復讐を実行するのは2人。車椅子で動けないながらも、頭はハッキリして…