暇人の感想日記

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『オルタナ』よりも「劣化版」感が強い【フリクリ プログレ】感想

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45点

 

 

 『フリクリ』の続篇2部作の2作目。前作『オルタナ』は『フリクリ』である意味がない、と書きましたが、本作は『オルタナ』と比べれば、前作と直接つながっているだけあって、まだ『フリクリ』らしさがある作品でした。ただ、それだけに、前作とは違った意味で残念な出来になってしまったことも事実です。

 

 というのは、似ているだけに前作との制作陣の力量とセンスの差がはっきりと出てしまい、『オルタナ』よりも前作の劣化版な感じが際立ってしまっていることです。

 

 本作はハル子が分裂した存在、ジンユとラハルが、ヒドミの「当たり前」の日常を破壊していく様を描きます。本作では、『オルタナ』と違い、ラハルとジンユには明確に目的があり、ラハルは同じくアトムスクと会うこと、そしてジンユはそんなラハルを止めることです。この相反する2人は元の存在であるハル子の相反する面であり、序盤こそ、私はこうすることで、ハル子というキャラをもう一度客観的に捉え直そうとしているのかな、と思いました。しかし、全編観てみるとそんなことはなく、2人は争っているだけです。この要素に代表されるように、本作には使えそうでありながらも、それらが全く活かされないままになっている設定が数多く存在します。他には例えば、井出の貧民設定や、アイコと吾郎の関係などです。勢いの上出したのかもしれませんが、前作は勢いはありながらも、こういう設定は必要最小限だったと思います。

 

 作画は、各回によって担当者が変わったためか、それぞれに若干の個性が見えたりしてまだ面白かったです。また、多くの方が指摘しているように、第5話の作画は素晴らしかったです。どの話とも異なる質感を持った絵で、観ていて唯一惹きつけられました。

 

 ただ、良かったのはこれくらいで、後は『オルタナ』と同じく、前作の持ち味を徹底して薄めただけの演出が続きます。本当になんとかしてくれと思ったのはやはりThe Pillowsの使い方。やっぱりSEで聞き取れません。しかも同じく垂れ流しだし。また、ハチャメチャな展開もやはり「形だけ」で、表面上でそれっぽいアクションをしているだけです。

 

 さらに、前作との「繋がり」の面でも、形だけの中途半端なものになっていました。分裂した状態なら分かるのですが、何故戻ってもハル子の声は林原めぐみさんのままなのか。これでラハルを新谷さんと全く違う演技をしていたら違いが出たかもしれませんが、林原さんは新谷さんの演技を完コピしているのですよね。それなら戻ったら新谷さんでもいいのではと思ってしまいます。というか、ラストのラハルは何ですか。あんな女々しいシーンは観たくなかったです。また、マスラオが本当にファンサービスレベルの活躍しかしなかったのも何か残念。

 

 このように、本作は『オルタナ』と同じく、制作陣の力量の違いから何とも言えない作品となってしまっていました。まぁこれは比較対象が全盛期のGAINAXなので致し方がない気がしますが。つまり、鑑賞前の不安「アレに匹敵する映画ができるのか?できないのではないかな」が的中してしまった作品でした。

 

 

 『オルタナ』の感想です。こっちは『フリクリ』である意味がない作品でした。
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