暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2018年夏アニメ感想①【深夜!天才バカボン】

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 過去に4回TVアニメ化されている、赤塚不二夫の代表作にして、日本ギャグマンガの金字塔『天才バカボン』。その5度目のアニメ化作品。原作の時点でかなり危ない下ネタや、常軌を逸したナンセンスなギャグが繰り広げられるスラップスティックな作品でしたが、本作で遂に放送時間が深夜になりました。

 

 しかし、原作が連載されていた頃からだいぶ経ちました。そしてこの期間にTVアニメも数多く制作されてきました。その中には、原作『天才バカボン』とはまた違ったナンセンスというか、頭がおかしいとしか思えない作品(『人造昆虫カブトボーグV×V』とか)や、制作が悪ノリしまくった作品(『ポプテピピック』や『銀魂』)が生み出されました。そして、2015年には同じ赤塚不二夫原作の作品『おそ松くん』を原作とした、『おそ松さん』が放送。その行き過ぎた下ネタとパロディギャグは伝説となり、封印作品すら生み出しました。

 

 このような状況の中で、スラップスティックギャグの代名詞的な漫画である『天才バカボン』がどのようにアニメ化されるのかが気になったため、この3カ月視聴してきました。

 

 しかし、結論としては、ただただ「温い」そして「サムい」作品だったなぁと思います。

 

 本作は、表面上は確かに「ハチャメチャ」です。第1話から先代のパパ、小倉久寛さんが出たり、画面サイズを変えたり、ブラック・ジャックが出てきて、パパを整形して女性にしたり、レレレのおじさんをルンバにしたりします。続く話でも本物の大物役者が出てきたり、再放送を繰り返し、放送禁止用語を連発したり、「戦場のメリークリスマス」がかかったり、突如リアル作画になったり、そうかと思ったら意図的に作画崩壊したり、テレ東プロデューサーが出てきて、全裸を見せたりしています。

 

 このように、やっていることはハチャメチャです。しかし、これらで行われていることは、ほぼ全てがこれより前の作品で行われているのです。多くのパロディが出るのは『おそ松さん』や『ポプテピピック』で実践済みだし、「再放送」も『ポプテピピック』の十八番です。さらに放送禁止用語連発と下ネタは『おそ松さん』や多くの作品で行われていますし、何よりこの手の作品の雄『銀魂』は夕方でこれら全てをやっていましたからね。本作でパパは「子供に見せられませんのだ」と言っていますが、普通に子ども見てますよ。この時点で、本作は『銀魂』に及んでいません。

 

 このようなことから、本作の「危険な」ギャグは全て過去作品の二番煎じに見え、場所によっては滑っていて、寒く感じます。ただ、ギャグがつまらなくても内容がぶっ飛んでいればいいと思いますが、「バカボン」の枠内で程よく収まっているため、ぶっ飛び感もない。つまり、ただの過去作の中途半端な二番煎じアニメになっているのです。

 

 他にも、構図が常に平面的で、見ていて退屈だし、作画も大きく崩れることはないものの、全く動かず、やはり退屈。そしてギャグも微妙。良かったのは声優さんですかね。古田新太さんは言われなければ分からないくらいにハマっていました。

 

 このように、本作は過去の同種のギャグアニメの二番煎じな作品になってしまいました。『天才バカボン』なので「これでいいのだ」で締めたかったのですが、ちょっと言えません。これじゃよくないですね。