暇人の感想日記

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マッコールを批評的に描いた最高の続篇【イコライザー2】感想

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87点

 

 

 世の不正を正し、世界を均衡化(equalize)させる男、ロバート・マッコール。人は彼を、「イコライザー」と呼ぶーーー。

 

 本作は、彼の活躍を描いた2014年の作品『イコライザー』の続篇となります。前作は「ナメてた相手が殺人マシーンでした」ものとして最高の作品でした。前半のマッコールの「訳あり」感溢れる雰囲気、そして彼の力が炸裂する中盤、そしてそこから始まるマッコール無双。彼は日頃、その力で以て、私たちでは解決できない世の不正を正してくれるのです。なので、大変スカッとします。また、マッコールのDIY精神あふれる戦い方も大変様になっていました。その続編ということで、正直、不安はありました。また同じことの繰り返しになるのかもと。続篇というものは、開き直って同じことを繰り返すこともできますが、そうするとマンネリ化し、劣化していきます。同じことをしない場合、別のアプローチから主人公を描き、主人公を深掘りすることもできますが、中途半端な出来になる事もしばしばです。しかし、本作はこの点から言えば、中々に理想的な続篇だったと思います。

 

 前作が順当な『必殺仕事人』ものだったとすれば、本作はそれに加えて、マッコールのキャラクターを批評的に描いた『ダーティハリー2』的な内容でした。

 

 上述したように、ロバート・マッコールは「必殺仕事人」です。凄腕の元CIA工作員で、街の困った人を躊躇いなく助けていますし、同時に悪党を成敗しています。我々はその姿にスカッとする訳です。そんな彼に敵対するのは、彼の「過去」です。彼らはマッコールとは違う道を歩んだ「イコライザー」です。マッコールは街の人々を助けて世界を均衡化させていますが、彼らは殺し屋として仕事をしています。これは視点を変えたマッコール自身だと思います。マッコールだって、やっていることはよくよく考えれば私刑です。彼は主人公だから、何かカッコよく見えますけど。

 

 ただ、マッコールと彼らに違いがあるとすれば、それは自身の信念です。彼らはただ殺しをしていますが、マッコールは自身が罪人だと自覚し、それでも世界の均衡のために腕を振るっています。このマッコールVS自身の過去という構図により、マッコールのキャラクターがより際立ちます。

 

 他にも、前作にもあった抜け目なさは健在。マッコールが読んでいる本、「失われた時を求めて」は本作の内容そのものです。この本が何回か出てくることで、この点が際立ちます。また、台詞の回収も良いですね。マッコールの「何度でも殺したい気分だ」を何回もナイフで切り刻むことで回収したときはさすがな脚本だと思いましたね。

 

 本作に不満があるとすれば、前作にあったDIY戦法が、ちょっと物足りなかった点ですね。前作はホームセンター内の戦闘や、最初の戦いなど、「それを武器に使うか!」な点が多く、楽しく観ていたのですが、本作は割とありふれたものを武器を使っていて、物足りなかったですね。ただ、上述の要素がとても良かったので、プラスマイナスはプラスですね。

 

 このように、本作は前作の良さを極力残しつつ、マッコールのキャラクターをより深く掘り下げた作品で、続篇として申し分ない作品でした。

 

 

前作の感想です。

inosuken.hatenablog.com

 

 

同じ系統の作品です。こちらも最高でした。

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