暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

デイミアン・チャゼルのブレなさ。【ファースト・マン(IMAX2D字幕)】感想

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85点

 

 

 『セッション』で注目され、『ラ・ラ・ランド』で各国の賞を総なめにし、今や最も注目される監督であるデイミアン・チャゼル。彼が3作目(実際は『ラ・ラ・ランド』より前に制作に着手していたそうですが)に発表した作品は、人類で初めて月に着面したニール・アームストロングの話でした。

 

 アメリカがソ連との宇宙開発競争で勝利した出来事であり、全世界的にも有名な出来事であるため、最近流行りの「伝記モノ」として描き、「アメリカ万歳!」な作品にしてもよさそうです。しかし、出来上がった作品はそんな愛国心とは無縁で、ニール・アームストロング個人の物語であり、同時に、完全無欠な「デイミアン・チャゼルの映画」になっていました。個人的に、『ラ・ラ・ランド』より好きです。

 

ラ・ラ・ランド(字幕版)
 

 

 本作を語るうえで重要なのは、役者に異様に近いカメラ。直近で公開された『アリー スター誕生』でも同じ手法が用いられていましたが、こちらは2人だけの世界を演出するためだったと思います。翻って、本作では、主人公のニール・アームストロングの体験を一緒に体験させるために用いられています。日常では手持ちカメラを用いてドキュメンタリーな感じを出したり、宇宙に出てからはアームストロングが見ている風景を観客にも見せたり、事故が起こったときはアームストロングが感じている危機感をそのまま観客に味あわせます。そして最後の月面着陸シーンでは遂にIMAXカメラを用いて、広大な月を見せます。あのシーンは比喩ではなく本当に息を呑みました。月面着陸の後にニュース等で「世界中の人間が共に月に行っていた」と言っていましたが、本作はまさにこれをやっていたと思います。

 

 このカメラに表されているように、本作はアームストロング個人の物語になっています。表面上は「人類初の月面着陸」の偉業を果たした男の話ですが、このような作品にありがちなエモーショナルな内容ではなく、そこは非常に淡々と進みます。しかもアームストロングの動機は娘を失った心の空白を埋めるためという、超個人的なもの。娘を失ったことから逃れるように、アームストロングは研究に没頭していきます。しかし、その過程で彼は他者に対してどんどん心を閉ざしていくのです。それは家族とて例外ではなく、奥さんともほとんど触れあわず、寧ろ画面に映っているときは常に間に何か物が置いてあったり、距離があったりするなど、精神的な距離感が強調されていますし、出発の段階になっても、直前まで息子たちにそのことを伝えようとしませんでした。

 

ファースト・マン 上: 初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生 (河出文庫)

ファースト・マン 上: 初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生 (河出文庫)

 

 

 デイミアン・チャゼルは、インタビューで宇宙船内について「(E・A・ポーの)『早すぎた埋葬』の生きながら棺桶に入れられるイメージだ」と語っているそうです。ここから分かるように、本作は、アームストロングが、亡くなった娘の後を追うように、宇宙船という棺桶に入って月という「死の世界」へ向かうという話なのです。

 

 映画では、この超個人的な目的のために、国を挙げて、多大な犠牲を払います。それは開発の過程で流れたスコット・ヘロンの痛烈な皮肉を込めたラップから分かる通りです。しかもアームストロング個人は家族をどんどん心が離れていく。ラストに至っては、精神的に完全に断絶した奥さんとのか弱い交流だけで終わっています。まるで、もうこの2人は元には戻れないと暗示するかのように。つまり、本作は、狂気に憑りつかれた男が、何かを成し遂げる代わりに、全てを失う話になっているのです。

 

 そしてこの点こそが、本作が「デイミアン・チャゼルの映画」であることの証なのです。チャゼルは、『セッション』でも、『ラ・ラ・ランド』でも、狂気に憑りつかれ、何かを失った代わりに何かを得た「個人」を描いていました。本作では、上述のように、奥さんとの精神的な繋がりを失った代わりに偉業を成し遂げた男を描いています。

 

 世界史上に残る偉業の話を、他人の脚本であるにもかかわらず、ちゃんと「自分の映画」にしてしまうデイミアン・チャゼル。アームストロング以上に、彼の狂気を感じた1作でした。

 

 

同じくカメラが近い映画。

inosuken.hatenablog.com

 

 同じく宇宙を扱った映画。「体感型」である点も同じ。

inosuken.hatenablog.com

 

 

ミステリーじゃなくてサスペンス・アクションだけど面白いよ【蜘蛛の巣を払う女】感想

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78点

 

 

 『ミレニアム』3部作の続篇。時系列的には第4作になります。『ミレニアム』シリーズに全く思い入れが無い私が、何故本作を観ようと思ったのかというと、監督がフェデ・アルバレスだったから。この人は言わずと知れたあの『ドント・ブリーズ』の撮った、才気あふれる若手の監督です。『ドント・ブリーズ』が好きなのもありますが、観ようと思った最大の要因は、これから注目した監督の作品はできるだけ追っていこうと思ったからです。なので、2011年版の『ドラゴン・タトゥーの女』を鑑賞してから観に行きました。ちなみに、スウェーデン版は未見です。

 

 

 古典的なミステリ的内容だった『ドラゴン・タトゥーの女』と比べると、本作はよりジャンル映画っぽくなりました。つまり、バカッぽくなりました。いい意味で。ストーリーはかなり分かりやすく、爆発やバイクでのチェイスシーン、そしてスマホの普及に伴うハッカーの万能感や、ラストの荒唐無稽すぎる展開など、『ドラゴン・タトゥーの女』とは180度違う内容の連発で、そもそもミステリではなくてサスペンス・アクションになっていました。この方向転換に呼応するかのように、動きが無かった『ドラゴン・タトゥーの女』とは対照的に場所がどんどん変わっていきます。

 

 しかし、私はこれはこれで良いと思います。だって面白いし。勢力は大きく3つあるのですが、それらが入り乱れながらも話がこんがらがらず、スッキリ観られるというのは素直に感心したし、ハッカーの万能感もあそこまでやってもらえば逆に清々しいし、ラストの荒唐無稽すぎる展開もそれまでの逆境を考えれば逆転劇となって素直に気分が上がります。また、『ドント・ブリーズ』の監督なだけあって、建物の中のアクションが上手いなぁと思いました。

 

 

 アクション的には上述の通りですが、ストーリー的にはリズベットが自分の過去と向き合う話になっていました。タイトル的には、リズベットが自身の過去を振り払う話なのかと思われますが、実際には違います。冒頭にある、非常に暗示的な描写の通り、本作はリズベットが「蜘蛛の巣にからめとられる」話だと思います。ラスト、カミラは冒頭のリズベットと同じ行動をします。行動は同じでしたが、意味とその結果は対照的だったと思います。このラストのカミラの行動によって、リズベットは消えない呪いをかけられたような気がしました。

 

 以上のように、『ドラゴン・タトゥーの女』とはジャンルが全く違う作品でしたが、私は非常に楽しんで観る事ができました。

過去の陰惨な事件を暴け。【ドラゴン・タトゥーの女(2011年版)】感想

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87点

 

 

 全世界で大ヒットを飛ばした「ミレニアム」シリーズを原作とする本作。同じ原作を基に制作された「ミレニアム」三部作とは独立したシリーズで、監督は『セブン』『ファイト・クラブ』のデヴィッド・フィンチャー。前から観たかったのですが、ズルズルと後に回してしまっていて、今回、『蜘蛛の巣を払う女』の公開に合わせて予習の意味で鑑賞することにしました。

 

 やはり、さすがフィンチャー。非常に面白かったです。内容は昔起こったと思われる少女の失踪事件を解き明かすという王道のミステリ作品で、舞台は現場からほとんど動きません。バラバラだった謎が1つに繋がり、真相が明らかになっていく過程が非常に論理的なため、私がミステリに求めている「謎が解き明かされた時の快感」があり、ミステリとしても十分に満足できました。まぁ、フィンチャーらしく展開が異様に早いため、伏線や謎を忘れないようにすることに大分頭を使いましたが。また、起こる事件も監督の過去作『セブン』を彷彿とさせる要素が多く、宗教がキーになっていたり、猟奇的なシーンも多々あります。

 

 ミステリとしても中々面白い本作ですが、何より良いのは、ミカエルとリズベットのバディ・ムービーである点です。2人が信頼を深めていく過程は観ていてとても面白い。前半1時間は2人に全く接点がなく、バラバラに行動しているのですが、この前半でお互いの、特にリズベットを丁寧に描写することで、彼女が何故、ミカエルに惹かれれいったのかが分かる作りになっています。

 

 さらにこの前半のリズベットパートは作品全体のテーマとも呼応していると思います。前半でリズベットは自身に性的な暴行を働いたゲスな男どもを血祭りにあげていくのですが、本作全体も「虐げられた女性」の話でした。性的に支配されていた女性がそこから逃げ出し、自由になる。今でこそどんどん制作されている女性が活躍する映画の先駆け的な内容だと思います。

 

 他には、ミカエルが最高でしたね。ダニエル・グレイグが演じているから見た目が完全に『007』なのですが、女関係がまぁグズグズ。また、キャラ的には非マッチョな役なので、そのギャップにも笑ってました。ただ、推理担当として、きちんと事件を解決したのは良いですね。

 

 リズベットも素晴らしかったです。見た目はかなり奇抜なのですが、ミカエルに対しては中々に乙女。徐々に心を許していくのも良かったし、ラストの切ない感じも良かったです。

 

 シリーズものならば、2人の魅力は非常に大切。この点で、本作は主演2人に抜群の魅力があります。さらにストーリーも良いし、かなり良い作品だと思います。

ワンアイディアものの傑作【ソウ】感想

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85点

 

 

 ジェームズ・ワンの監督デビュー作。有名な作品ですが、私はグロが苦手なため、長らく敬遠してきました。なので、ラストも知っています。それなのに何故観たのかと言えば、『アクアマン』に備えるため。有名な方なので、監督作を追っていこうと思い、まずはデビュー作である本作から鑑賞しました。

 

 本作は誰がどう観ても低予算であることが分かる映画です。基本は密室から舞台が動きませんし、登場人物も少ないです。しかし、本作はこの「密室から脱出する」というゲーム的内容をそのまま映画にしています。そのため、作中には脱出や、真相解明のためのヒントがそこかしこに散りばめられています。ジグソウの正体についてもかなり注意深く観ていればラストのどんでん返しにも納得がいきます。一瞬映りますからね。また、非常にミス・リードが上手いのもこの映画が上手いと思う点です。ジグソウの正体だって、いきなりバーン!って出てくるから「そういうもんだ」って思ってしまいます。このように、本作は内容もそうですが、ミスリード、ヒントの出し方など、作りも非常にゲーム的な印象を受けます。

 

 これに加えて、密室の脱出ゲーム時の焦燥感の煽り方がとても上手いと思いました。これで余計にハラハラさせられます。

 

 さらに、密室だけでは飽きられると思ったのか、ジグソウの正体を追う刑事のエピソードも盛り込んでいます。ここではちゃんとしたアクションシーンが展開され、映画そのものに動きを加えています。

 

 しかし、本作で最も痺れたのは、ラストで明かされる絶望です。「実はこのゲームは最初から詰んでいた」事実は、これまでの彼らが、「出口のない道を進んでいただけ」に思え、我々もジグソウの掌の上で転がされていただけなことが分かり、上手い具合に騙されました。本当の大どんでん返しはここな気もする。

 

 このように、本作は、低予算が分かる作品ですが、それならばと面白くなる工夫を凝らしまくった作品で、それらがとても上手くいっていると思いました。

【ヴィジット】感想 ※ネタバレあり

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85点

 

 

 それまで大低迷期の中にいたM・ナイト・シャマランが起死回生の手段として世に放った作品。メジャー大作ばかりだったこれまでとは違い、本作は無名俳優を使い、製作費もわずか500万ドルという超低予算映画です。しかし、出来の良さは制作費には比例しないのが映画の不思議なところで、本作は非常に面白い作品でした。個人的には、ベスト・オブ・シャマランです。

 

 本作のジャンルはホラーに該当すると思いますが、その恐怖の煽り方が結構上手いのです。最初はちょっとした「違和感」だったものが徐々に形になって姿を見せていき、それが表出した時はとんでもない事態になっているのです。この「違和感」も普通の人間がやったらそれは普通に違和感になってしまうのですが、それを「老人だから」という理由を使ってカモフラージュしています。正直、ラストのネタは中盤でだいたい見当がついてしまうのですが、それでもそれが判明し、2人にとって本当の恐怖がやってくるシーンでは緊張しっぱなしでした。

 

 ただ、本作が真に素晴らしい点は、ホラーであると同時に、シャマランお得意の「トラウマを背負った者がそれを乗り越える」話である点です。本作でトラウマを抱えているのは3人で、姉弟とその母です。三者三葉のトラウマを抱えており、それを乗り越え、「家族」として再生していく姿を描きます。姉は「鏡」のトラウマを克服し、弟は1番酷い目に遭いながらも、きちんとやるべき時に行動し、それらを知った母親はそれまで抱えていた自身の母への想いを取り戻しました。この家族が再生するシーンでかかる音楽も伏線の張り方が素晴らしく、ちゃんと感動できるポイントとなっています。このように、本作はシャマラン作品の中ではかなり「普通」の良作なんじゃないかと思います。

 

 ラストも素晴らしかったですね。トラウマ的体験をラップに昇華して歌う弟と、その奥で鏡の前で髪をとかす姉。それぞれがトラウマを克服し、次に向かおうとしている素晴らしいシーンでした。めっちゃ笑ったけど。

 

 POVについても、本作そのものが姉が制作した映画なんだと考えれば、手法にも納得がいきます。シャマラン映画にあった尺の配分の可笑しさも短いせいか感じなかったし、楽しめました。

2018年新作アニメベスト10

遅くなった理由

 今回は2018年の新作アニメベスト10の記事です。何故この時期になったのかというと、それは単純に私が時間を確保できなかったから。年末は映画のベストを決めたりとか私用で時間をとられ、秋アニメを年内に全話見れませんでした。それならばと開き直って、1月一杯を使ってまだハードディスクに入っているアニメを消化し、それからベストを決めようと思いました。そして努力の末、秋アニメは消化できました。しかし、やはり消化しきれない2018年のアニメ作品も出てきました。ただ、それも消化しようとすれば、今の冬アニメも終わってしまい、そうなると冬アニメの感想を書かねばならないためまた記事を書けないという悪循環に陥ると考え、結果、「今の段階で視聴が終わっている作品」に限ってランキングすることにしました。

 

 前置きが長くなりましたが、ここから年間ベスト10を発表させていただきます。一応、対象作品は私が2019年1月までに全話視聴した2018年の新作アニメとさせていただきます。発表形態は問いません。ただし、劇場作品につきましては、映画のランキングの方にあげましたので、除外とさせていただきます。また、現在放送中の秋アニメ『風が強く吹いている』『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』は2019年分として換算させていただきます。

 

一応、アニメ邦画のベスト7を貼っておきますね。

 

 発表の方法は、まずは私が2018年に見た作品をクールごとに列挙して、その後にベスト10を発表させていただきます。では、発表させていただきます。

 

※ まだ全話未視聴

★ 全話視聴しているけど、まだ記事をアップしていない。

 

冬アニメ

宇宙よりも遠い場所

ゆるキャン△

ポプテピピック

カードキャプターさくら クリアカード篇』※

銀魂.銀ノ魂篇』

りゅうおうのおしごと!

からかい上手の高木さん

ヴァイオレット・エヴァーガーデン

恋は雨上がりのように

ハクメイとミコチ

ダーリン・イン・ザ・フランキス

 

 ※冬アニメは、感想を書き始めた時期的な問題で、一部作品を除き、作品の感想をアップしておりません。

 

春アニメ

ゲゲゲの鬼太郎 第6期』★

銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅』

ルパン三世 PART5』

多田くんは恋をしない

ヒナまつり

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン

PERSONA5 the Animation』★

ゴールデンカムイ

STEINS;GATE 0

ひそねとまそたん

フルメタル・パニック! Invisible Victory』※

 

夏アニメ

はねバド!

中間管理録トネガワ

BANANA FISH』★

はるかなレシーブ

はたらく細胞

あそびあそばせ

『深夜!天才バカボン

『天狼 Sirius the Jaeger』

『少女☆歌劇レヴュースタァライト』★

ぐらんぶる

 

秋アニメ

青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』

やがて君になる』★

『うちのメイドがウザすぎる!』

『色づく世界の明日から』

『SSSS.GRIDMAN』

『アニマエール!』

『ツルネー風舞高校弓道部ー』★

 

Webアニメ

『DEVILMAN cry baby』

『衛宮さんちの今日のごはん』

 

 以上になります。ここからベスト10を発表します。

 

 

 

10位『からかい上手の高木さん

からかい上手の高木さん Cover song collection

からかい上手の高木さん Cover song collection

 

 

 10位はこれ。見てみると、最初の想像と全く違う作品で、毎回高木さんのかわいさと西片の中学生感あふれるリアクションにニヤニヤしていました。また、こんなミニマムな話をちゃんと見せてしまえる手腕にも感服しました。

 

 

9位『やがて君になる

 「まだ感想を書けていない作品」シリーズ第1作。感想はなるべく早くあげます。心理描写の丁寧さに毎回やられていました。

 

 

8位『あそびあそばせ

inosuken.hatenablog.com

 2018年のバカアニメ大賞作品。見る前のイメージを完全に覆す第1話の構成、そしてそこからノンストップで繰り広げられる下らない(褒めてます)ギャグの数々に毎回笑わせてもらっていました。

 

 

7位『ゲゲゲの鬼太郎(第6期)』

TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』 オリジナル・サウンドトラック
 

  まだ完結していませんが、昨年で西洋妖怪編に一区切りついたので、入れました。『ゲゲゲの鬼太郎』という昔の作品に時事ネタを上手く盛り込み、さらに基本的な内容も現代的にアップデートされています。これまでの『鬼太郎』とは一線を画していながらも、『ゲゲゲの鬼太郎』の根幹は失っていないという理想的なリメイクなので入れました。

 

 

 6位『ゆるキャン△

TVアニメ「ゆるキャン△」オリジナル・サウンドトラック

TVアニメ「ゆるキャン△」オリジナル・サウンドトラック

 

  深夜アニメの定番「女子高生に何かやらせてみた」もの。本作がこれらのようなその他大勢の作品と違っている点は、リンとなでしこの距離が少しずつ縮まっていく様子を丁寧に描写している点。これで本格的なキャンプとビギナー向けキャンプを同時に描くという点でも効率的な作りでした。

 

 

5位『ルパン三世 PART5』

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  それまでの「ルパン三世」を歴史として肯定し、バラバラだったルパン三世像を再定義した画期的作品。だから入れました。

 

 

4位『恋は雨上がりのように

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 原作かアニメへの再構築力の素晴らしさ、あきらと近藤の気持ちが明確に伝わってくる演出など、毎回話の構成の上手さに舌を巻いてました。

 

 

3位『SSSS.GRIDMAN』

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 『電光超人グリッドマン』をアニメとして上手くリメイクした良作。端々に溢れる特撮へのリスペクトもそうですが、最終話の最後で完全にノック・アウトされました。

 

 

 さて、ここからTOP2の発表です。ただ、今年はいきなり例外で申し訳ないのですが、今年はどうしても「これは1位以外ないだろ」と思える作品が2つあったので、同率1位とさせていただきます。 

 

1位『宇宙よりも遠い場所

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 6位と同じく、「女子高生に何かをやらせてみた」ものの傑作。おそらくこれと同じレベルの作品はこれから10年現れないかもしれない。それぐらい群を抜いた作品でした。メイン4人の心理描写の丁寧さ、小道具の見事な使い方、毎回無駄を排したキレにキレまくった演出(全話神回を久しぶりに見ました)など、文句の付け所が無い作品でした。

 

1位『DEVILMAN cry baby』

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 NETFLIX制作のこちらも傑作。永井豪先生の『デビルマン』を現代的に見事にアップデートしていました。ラストのマラソンは涙なしには見れません。見終わった後、しばし茫然としていました。

 

 

2018年新作アニメベスト10 まとめ。

 

①『DEVILMAN cry baby』

①『宇宙よりも遠い場所

③『SSSS.GRIDMAN』

④『恋は雨上がりのように

⑤『ルパン三世 PART5

⑥『ゆるキャン△

⑦『ゲゲゲの鬼太郎(第6期)』

⑧『あそびあそばせ

⑨『やがて君になる

⑩『からかい上手の高木さん

 

 

 以上です。他にも、『衛宮さんちの今日のごはん』『ダーリン・イン・ザ・フランキス』『ヒナまつり』『はねバド!』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』も良かったです。2018年は冬アニメが強すぎましたね。しかし、個人的に、『ゾンビランドサガ』『メガロボクス』『B:The Beginning』をまだ見れていないのが心残りです。

「ロッキー」から「クリード」への真の意味での継承【クリード 炎の宿敵】感想

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85点

 

 

 『ロッキー』シリーズ通算8作目にして、『クリード』シリーズ2作目の本作。前作が予想を大きく超える大傑作だったこともあり、私の本作への期待値は「普通」でした。それは決して期待していないという意味ではなく、「前作を超えることは決してない」という自身への期待値を抑えた結果でした。しかも内容は『ロッキーⅣ 炎の友情』でアポロを殺したドラゴの息子とアドニスが戦うというもの。最初聞いたときは「もう来たのか」という気持ちと、「ちょっと安易なんじゃないのか」という気持ちが起こり、それがさらに期待値を抑制していました。

 

 しかし、実際に鑑賞してみると、その抑制していた期待値を超えてくる作品になっていました。本作は『ロッキーⅣ 炎の友情』の直接の続篇的な作品ですが、それだけに終わりらず、アドニスのさらなる成長とロッキーがこれまで抱えてきた後悔、そして『ロッキー』シリーズでは見えてこなかった側面から物語を捉え直す、という事を描き、最終的には、真の意味で『ロッキー』から『クリード』への継承が行われていた作品でした。

 

 

 『クリード チャンプを継ぐ男』は『ロッキー』を下敷きにしていました。前作の偉大な点は『ロッキー』を踏襲しつつ、ちゃんと現代版へとアップデートしていた点でした。翻って、本作の軸は『ロッキーⅣ』です。ストーリーも大筋は同じです。笑ったのは、トレーニングシーンが『ロッキーⅣ』ばりにド根性ものになっていた点ですね。しかし、本作はそれ以外のシリーズ作品も踏襲し、『ロッキー』が歩んできた足跡をそのまま一気に見せていきます。冒頭でアドニスがチャンピオンになるのは『ロッキーⅡ』ですし、チャンピオンになったアドニスがより強力な相手に脅かされるのは『ロッキーⅢ』を、「父親になる」ドラマとしては『ロッキーⅤ』、『ロッキー ザ・ファイナル』を彷彿とさせます。

 

 

 さらに本作は、これ以外にも、3種類の「父と子」の物語を挿入することで、『ロッキー』シリーズにおいて残ったしこりをきちんと回収しています。ここでいう「父と子」は言うまでもなくロッキー、アドニス、そしてドラゴです。ロッキーは自身が偉大過ぎるせいで息子が離れ、未だに向き合えていません。ドラゴは逆に、息子を復讐のためだけの育てています。そしてそんな2人と共に、「子供に向き合い、父親になろうとする」アドニスの姿が描かれます。そして「しこり」とは、『ロッキーⅣ』において、アポロを見殺しにしてしまったロッキーの後悔です。あの後ロッキーはドラゴを倒しましたが、アポロの後悔は今でも残っています。しかも、この結末によって、ドラゴは復讐の鬼となってしまっています。余談ですが、この構図は『ロッキーⅣ』に出たことで一躍スターになるも、アクション映画衰退後は低迷したドルフ・ラングレンのキャリアと被ります。

 

 これらのしこりは、ラストで見事に回収されます。それまでの積み上げの上手さもあり、非常に感動できるシーンとなっています。あの時ロッキーが投げられなかったタオルを、ドラゴが投げる。これはドラゴがあの時のロッキーを超えたという事だと思いますし、同時に復讐しか考えられなかった男が最後に息子への愛情を取り戻す意味も持っています。ラストで並んで走っている姿が感動をより高めます。

 

 親子として向き合ったドラゴと共に、ロッキーも息子と向き合います。それはスタローンの人生を知っていれば感動的な展開であり、同時に前作で触れられなかった部分に触れることでしこりを払拭したと思います。

 

 そしてアドニスも、アポロの墓に行き、新たに父親になる事を決意します。これを踏まえれば、試合後のスタローンの「お前の時代だ」の台詞は、この『クリード』シリーズを『ロッキー』シリーズの呪縛から完全に解放したように聞こえます。もし第3作が制作されるのならば、『ロッキー』シリーズのフォーマットをなぞらず、完全な『クリード』の物語を作ってもらいたいと思います。出来れば監督はライアン・クーグラーで。

 

 

前作の感想です。大傑作です。

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 ライアン・クーグラー、マイケルBジョーダンのコンビが生んだ傑作。

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