暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

新作映画(2019年)

「ヒーロー」としての責任の自覚【スパイダーマン ファー・フロム・ホーム】感想 ※ネタバレあり

88点 『スパイダーマン ホームカミング』より2年ぶりのMCU版『スパイダーマン』。MCU全体の前作は、シリーズの大団円である『アベンジャーズ/エンドゲーム』。『エンドゲーム』は、広げ切った風呂敷を完璧に畳んでみせた最高の完結篇であったわけで、個…

「役割」を終えたその先へ【トイ・ストーリー4】感想

採点不能 『3』で完璧に完結したと、誰もが思っていた『トイ・ストーリー』シリーズ。そのまさかの続篇。正直、制作発表を聞いたときは当時のピクサーの不調と関連付けて、とうとう「完結作の続篇」という安易かつ絶対にやってはいけない手段に手を出してし…

「生命の起源」から、自分を見つめ直すジュブナイル【海獣の子供】感想

87点 2006年から2011年にかけて「月刊IKKI」にて連載されていた五十嵐大介先生原作の漫画を劇場アニメ化した作品。私は、原作については、存在は知っていたけど読んではいなかったのですが、スタジオ4℃作品なので鑑賞しました。 実は、私が本作を…

「違い」こそ最大の長所【ダンボ(1941年)】感想

77点 3月に公開された、ティム・バートン版『ダンボ』の予習の意味で鑑賞。実写版のほうは結局観なかったのですが、かといって本作を観たことが無駄になったかといえばそんなことはなく、名作とされているだけあってとてもいい作品でしたし、70年以上前…

まっすぐな思いが、人々をつなぐ【バジュランギおじさんと、小さな迷子】感想

75点 観たのは2月の始め。それなのに何故感想を書くのがこんなに遅くなってしまったのかというと、あまり言葉が出てこなかったから。これは感動したというよりも、本作があまりにも「いい話」であり、「良かったね」以外の感想がなかなか出てこなかったの…

ある意味で湯浅監督の到達点【きみと、波にのれたら】感想

87点 昨年、アヌシー国際アニメーション映画祭において、宮崎駿、高畑勲以来、日本人監督として最高賞であるクリスタル賞を獲得した鬼才、湯浅政明。興行的な成功はまだありませんが、制作本数、そして各国の評価に関していえば、アニメーション監督として…

1人の女性の、人生のはじまり【旅のおわり 世界のはじまり】感想

88点 日本人監督として、おそらく世界で最も評価されている監督の1人、黒沢清。これまでホラー、サスペンス、SF、ヒューマン・ドラマなど、実に多彩な作品を作り続けてきた彼が次に放ったのは、ウズベキスタンで自分探しをする女性の話でした。私は黒沢作…

「非凡さ」を手に入れようとした末路【アメリカン・アニマルズ】感想

89点 2004年、ケンタッキー州トランシルヴァニア大学で起こった時価1200万ドルの画集窃盗事件を題材にした作品。私は新宿武蔵野館で『THE GUILTY/ギルティ』を観た時に予告を観て存在を知りました。ただ、最初はそこまで見るつもりはなく、スルー…

「男を手玉に取る女」峰不二子【LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘】感想

78点 『峰不二子という女』より続く『LUPIN THE ⅢRD』シリーズ最新作。今回焦点が当たるのは、ルパンファミリーの紅一点、峰不二子。正直、不二子に焦点を当てた作品なら、同じくアダルト路線を追求した「峰不二子という女」というTVシリーズがあるため、…

究極の『ゴジラ』ファンムービー【ゴジラ キング・オブ・モンスターズ】感想

80点 2014年に公開された『GODZILLA』の続篇にして、そこから始まったモンスター・バースの最新作。本作はゴジラと同じく東宝を代表する怪獣であるモスラ、ラドンが参戦し、ゴジラは最大の宿敵、キングギドラと対峙します。つまり『三大怪獣 地球最大…

無名が可愛すぎて最高です。本当にありがとうございました【甲鉄城のカバネリ 海門決戦】感想

72点 2016年にノイタミナ枠で放送されたオリジナルアニメーション「甲鉄城のカバネリ」の劇場版。監督は荒木哲郎、制作会社はWIT STUDIOと、「進撃の巨人」のスタッフが揃っています。放送当時は「進撃の巨人」のノウハウをそのまま注ぎ込んだダイナミ…

これが、完全燃焼アニメーションだ【プロメア】感想

89点 『天元突破グレンラガン』『キルラキル』を生み出した今石洋之×中島かずき×TRIGGERの最新作。私は上記の2作品は好きで、制作会社のTRIGGERについても、毎クール作品が放送されていればチェックするくらいにはファンです。そんなスタッフが再結集する…

戦争モノ×ゾンビが生んだ悪魔合体作品【オーヴァーロード】感想

78点 実は私、本作に関しては油断してました。映画秘宝を読んで存在は知っていたのですが、公開日までは気を払っていなかったため、公開初週に観る時間があったにも関わらず、鑑賞しなかったのです。なので、2週目で慌てて鑑賞しました。 戦争ものとゾン…

王道は外しながらも、まっとうな青春映画【劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~】感想

80点 武田綾乃先生による同名小説のアニメ化作品。TVアニメは2015年から放送され、現在2シーズンを数えています。映画はこのTVシリーズをまとめた総集編が2本と、外伝作品『リズと青い鳥』が1本あります。私は何だかんだで総集編以外は観ているので…

ヒーローのオリジンとして、家族の物語として素晴らしい【シャザム!】感想

82点 『アクアマン』で興行的にも批評的にも大成功を収め、一気に信頼を回復した感があるDC映画。次に放ったのは、「見た目は大人!中身は子ども!」という、日本の国民的名探偵を彷彿とさせる奇抜なヒーロー、シャザムでした。予告を観る限りはすこぶる愉…

「権力」の恐ろしさ【バイス】感想

93点 2001年の9.11テロ当時、ブッシュ政権において副大統領を務めた男、ディック・チェイニーを取り上げた評伝映画。過去、様々な評伝映画が制作されましたが、それらはどれも大統領や、名は成さなかったにしても知名度はある人物のものでした。し…

「片想い」の恋愛を赤裸々に描く【愛がなんだ】感想

77点 存在を知ったのはwowowぷらすとの2018年ベスト映画の動画にて。そこで誰かが絶賛していて観る気になり、初日に鑑賞してきました。鑑賞後は色々な感情が渦巻いていて、中々感想がまとまらず、結果、書くのがここまで遅くなりました。 巷には恋愛映…

「ポケモンがいる世界」の見事な映像化【名探偵ピカチュウ】感想

77点 2018年に発売された、同名ゲームの映画化作品。私はゲームは全くやっておらず、CMでやっていた大川透さんの声だけがやたらと印象に残っています。そんなボンヤリとした印象しかなかったので、「ハリウッドで映画化!」と聞いても全く期待していま…

「どうしたんだ、原恵一!」と戸惑わずにはいられない【バースデー・ワンダーランド】感想

40点 『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』、『河童のクゥと夏休み』など、これまで傑作を多く世に送り出してきた原恵一監督。非常に強い作家性を持ち、故に『クレヨンしんちゃん』以外はそこまで大規模な公開はなく、興行収入…

まさしく11年の集大成。これまでの全ての作品に感謝します【アベンジャーズ/エンドゲーム(IMAX3D字幕)】感想 ※ネタバレあり

100点 遂にやってきた、MCU11年間の集大成。私は『アイアンマン』1作目から映画館で追いかけている!という長年のファンではなく、むしろ積極的に追い始めたのは2年前からというぺえぺえ。しかし、そんなことはどうでもよく、本作については昨年の『…

「すべてがサイコー!」のその先へ【レゴ(R)ムービー2(日本語吹き替え版)】感想 ※ネタバレあり

86点 「レゴをレゴのままアニメーションにする」という前代未聞の試みと、完成度の高い脚本、そして「レゴ」だからこそ込められる普遍的なメッセージ。前作は、劇中の歌の通り、「全てが最高」な作品でした。 本作はそんな前作『レゴ(R)ムービー』の5年…

全てを受け止め、「解放」されるヒーロー【キャプテン・マーベル】感想

80点 サノスの野望が成就し、宇宙の全生命体の半数が消滅した『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のラスト。誰もが絶望に包まれる中、ニック・フューリーは端末で何者かにメッセージを送っていました。この状況を打破できるとは一体どんなヒーロー…

目を覚ませ。正しいことをしろ。【ブラック・クランズマン】感想

95点 『ドゥ・ザ・ライトシング』、『マルコムX』を監督したスパイク・リーの最新作。内容は「黒人警察官がKKKに潜入捜査する」というウソのようなホントの話。私は彼の作品を観たことがなく、今回鑑賞したのは、まぁぶっちゃけアカデミー賞という話題性で…

メチャクチャだけど、俺は好きだよ【麻雀放浪記2020】感想

53点 ピエール瀧が麻薬所持で逮捕されてしまったため、出演作が続々公開延期になっている中、ノーカットで公開するという大英断をした本作。この姿勢だけでも応援したくなりますし、白石和彌監督の新作なので鑑賞しました。ちなみに原作未読です。 観てみ…

何が「権力」に力を与えるのか?【ちいさな独裁者】感想

78点 ナチス・ドイツの敗戦が濃厚になっていた第二次世界大戦の末期、部隊を脱走した上等兵が、偶然空軍将校の軍服を手にしたことから、独裁者に変貌していくという、ウソのようなホントの話。監督は『RED/レッド』『ダイバージェント』シリーズのロベルト…

イーストウッドが、自分への「落とし前」をつけた映画【運び屋】感想

80点 現在、御歳88歳のクリント・イーストウッド。『グラン・トリノ』で俳優を引退したはずの彼の、まさかの監督・主演最新作。脚本は『グラン・トリノ』と同じく、ニック・シェンク。『グラン・トリノ』で映画人として自分自身に決着をつけてみせた彼が…

美しい映像で紡がれる「そうなるしかない」2人【ビール・ストリートの恋人たち】感想

75点 『ムーンライト』でアカデミー賞の作品賞を獲得したバリー・ジェンキンス監督。彼が次に放った作品は、アメリカの文豪、ジェームズ・ボールドウィン原作の小説でした。恥ずかしながら、私はこの作家さんは全く知らなかったのですが、『ムーンライト』…

『トランスフォーマー』をジュブナイルモノとして上手く作った秀作【バンブルビー】感想

78点 世界中でメガヒットを記録した『トランスフォーマー』シリーズ。興行的には大当たりしているものの、さすがはマイケル・ベイ。戦闘シーンは何をやってるのかさっぱり分からないグチョグチョぶりだし、ストーリーはアレだし、そもそもトランスフォーム…

向き合えば、人は分かりあえる【グリーンブック】感想

87点 第91回アカデミー賞、作品賞を受賞した本作。監督は『メリーに首ったけ』等に代表されるコメディ映画ばかり作っていたピーター・ファレリー。しかも内容は1960年代のアメリカ南部を舞台にし、そこでの差別が主題であるという超真面目なもの。「…

勇気さえあれば、誰だってヒーローになれる【スパイダーマン:スパイダーバース】感想

98点 『くもりときどきミートボール』『LEGO ムービー』と言ったアニメーション映画、実写映画『21ジャンプストリート』シリーズなど、練りに練られた脚本で良質な作品を生み出してきたフィル・ロード&クリストファー・ミラー。彼らが制作した『スパイ…