暇人の感想日記

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メチャクチャだけど、俺は好きだよ【麻雀放浪記2020】感想

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53点

 

 

 ピエール瀧が麻薬所持で逮捕されてしまったため、出演作が続々公開延期になっている中、ノーカットで公開するという大英断をした本作。この姿勢だけでも応援したくなりますし、白石和彌監督の新作なので鑑賞しました。ちなみに原作未読です。

 

 観てみると、完全に勢いだけで作られていて、中身があるようで無い作品でした。ただ、観ることで、ピエール瀧の事件があったにも関わらず公開された理由が分かりましたし、また、公開することで映画の内容的によりタイムリーというか、メタ的な視点で完成された気もします。

 

 

 本作は、主人公の哲が1945年から2020年にタイムスリップすることから始まります。このタイムスリップのタイミングは、伊武雅刀のナレーションにより、舞台説明がされてすぐ。場所を説明されたすぐ後に哲は「ここはどこだ…」とか言ってるわけです。完全に笑わせにきてると思いましたね。

 

 本作の大筋は、この哲が1945年に帰るという点だけです。それだけでこの映画は出来ています。確かに、哲の時代(=1945年)と2020年を同じく「終戦」で括ったりしたり、2020年のディストピアぶりは今の政権がやっていることの延長に見えなくもないし、それっぽい設定、展開もあります。しかし、それらが何か物語上で機能しているかと言えばそんなことはなく、ただの要素で終わっています。

 

 また、肝心の麻雀についても、面白味はあまり感じられません。役満ばっかり出しまくってますし、緊張感の欠片もないです。正直、「麻雀」が観たければ、TVアニメですが、「闘牌伝説アカギ」の中学生篇でも見てた方が時間を有意義に使えます。

 

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 では、残った「元の時代に戻る」点はどうかというと、かなり無茶苦茶。1945年に帰る方法も九蓮宝燈を揃えれば雷が落ちて帰れるという、「遊☆戯☆王」レベルのトンデモ理論。しかもそれは強敵とじゃないと発動しない模様。なので、哲は麻雀五輪に参加することとなります(麻雀五輪をやる理由もかなり適当)。そしてそこまでのプロセスもかなりのもので、哲がタイムスリップして時代のギャップに驚くまでは良いのですが、そこから物語は、哲がふんどし麻雀アイドルとして国民的人気を得る、哲が麻雀アプリの廃人になる、あげく賭博麻雀で逮捕されるという超展開の数々を迎えます。

 

 ただ、逮捕されてから哲が謝罪会見をして麻雀五輪に出るという展開には、ピエール瀧のことがあったにも関わらず公開された理由が分かるものになっており、不祥事があると何かと自粛したがるメディア界に挑戦しているような気がしました。それを考えれば、本作にベッキーが出ているのも納得です。

 

 麻雀五輪も、前述したように麻雀の迫力やスリルは「アカギ」に遠く及ばないわけですが、対決の構図がAI対昭和という、2つの「戦後」を経た先に出てきた存在同士の戦いになっているのは面白いと思いました。まぁこれも、だからなんだって感じですが。

 

 このように、本作は終始勢いで作られていて、中身はあって無きようなもの。作品の評価が荒れるのも分かります。しかし、私はそこそこ楽しめました。というのも、コンディションが良かったのです。私は本作を観たときは仕事でかなり疲れており、脳ミソの機能が落ちていました。そんなボケーッとした頭なので、荒唐無稽、適当であればあるほど、何も考えず楽しめたのです。なので、本作は頭が疲れている人にお薦めです。真面目に観なくていいです。

 

 

同じく白石監督の傑作。

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 同じく白石監督作品。こちらも好きです。

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