暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2021年冬アニメ感想⑥【SK∞ エスケーエイト】

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☆☆☆☆(4.2/5)
 
 
 ボンズ制作、内海統子監督、大河内一楼脚本によるオリジナルアニメ。この座組を見ただけで期待値はマックスでしたが、題材がスケボー。監督自身インタビューで仰っていたのですが、確かにスケボーを題材にしたアニメはこれまで無かったなと思ったので、この点でも興味があって視聴しました。
 
 内海監督は、これまでずっとブロマンスを描いてきました。初監督作の「Free!」からその姿勢は一貫していて、もはや作家性と言ってもいいレベルだと思います。本作でもこの姿勢はもちろん貫かれています。暦とランガの関係は過去の内海作品で見てきた友情のそれなのです。「Free!」を例に出しますけど、あれは1期に関しては遥と凛の話がメインになっていて、圧倒的才能を持ち、「俺はフリーしか泳がない」と言っていた遥が、自分を追いかける凜との勝負によって「皆と泳ぐ」楽しさに覚醒する話でした。本作も基本的にはこれと同じで、圧倒的な才能を持っているランガが暦と出会い、スケボーを教えてもらい、失っていた「一緒に走る」楽しさを思い起こした話でした。ただ、ちょっと違う点があるというか、面白かったのが、この2人の間にあった「才能」の描き方と、ラスボスの愛抱夢の存在でした。
 
 まず、暦とランガの間にある才能ですが、これ、2人の中を引き裂くものとしても描かれているんですよね。それが顕在化するのが7話で、あそこまで主人公の才能の無さに焦点を当てた作品も珍しいと思います。これは脚本を書いた大河内さんの力が大きいのかなと思っています。彼は「コードギアス」とか「Devilman Cry baby」のように、既にある既存のジャンルとか原作に批評的な視点を加えたというか、一捻りした展開を作ることに長けている方で、彼の視点があったからこそ、これまでの内海監督の作品とは少し違った視点を持った作品になったのだと思います。まぁこの視点も、最終的に「スケート楽しいじゃん」と「ランガと滑りたい」というお馴染みの奴で解決するんですけど。

 

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 次に、愛抱夢について。彼と菊池の関係性は、暦とランガの関係性と対照的に描かれています。愛抱夢はその並外れた実力と生い立ちから、自分と対等な誰かの愛を求めていて、故にランガに執着します(そしてランガは全く意に介さず、暦のことばっかり考えてる)。で、菊池は愛抱夢を何とかしたいと思っている。話の軸はこの4人の歪極まりない四角関係がメインなのです。そして歪な愛を求めた愛抱夢は暦とランガの友情パワーの前に敗北するという、とにかく関係性とそこから生じる友情が全てを解決していきます。これは内海監督が貫いているブロマンスものとして最高の展開です。
 
 スケボーの描写も良かったですね。暦とランガが練習している姿はおそらくYoutubeとかにある動画を参考にして作ったであろうシーンばかりで、スケボーを全くやらない私でもカッコいいなと思えました。しかし、それとは対照的に、ビーフにおいては描写が荒唐無稽で、こちらは別ベクトルで素晴らしかったです。五十嵐卓哉さんの演出・コンテによるダイナミックな滑りもそうですし、加賀美高浩さんのアクションも良かった。というか、私は本作のビーフで感じたのは「遊戯王」感で、「スケボー」と言っておきながらその実ほとんどスケボーじゃなくてただのスケボー使ったバトルアニメだよってところとか、明らかな反則使ってるのに勝負に勝ったりとか、やたらと何かを賭けたがるとか、スケボー乗るのにそのファッションにする意味ある?な奇抜なファッションとかです。そして、それを吹っ飛ばすくらい、これを大真面目でやっているところにも「遊戯王」感を感じます。ここまで振り切れると視聴者としても大真面目で見てしまうので、これはこれで大ありです。
 
 全体的には満足なのですが、後半の展開にはちょっと思うところがありました。具体的には総集編以降で、作画が崩れることが若干多くなりましたし、何よりあれだけ丁寧に進めていた話を大急ぎで畳んだ感があって、とにかく勿体なかった。上述の「才能」の葛藤も、何だかありきたりなところにボンヤリと着地してしまったし。全体としては、8話までは最高だったのですけど、9話以降はイマイチ乗り切れない点がありましたね。
 

 

内海監督作品。

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 弓道。別に荒唐無稽ではない。

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