60点
【短文感想】
要はタイムリープものを使って、恋愛とモラトリアムを描いた作品なんだと思います。主人公のナイルズはタイムリープに囚われ、もう諦めの境地にいて、彼はそこで「どう楽しむか」を追求する日々を送り、独りでいることに慣れきっているわけです。そこにやって来たのがサラ。独りに慣れきっていたナイルズは、サラと過ごすことで、「同じ毎日の繰り返しでも、他者がいればこんなに楽しい」と実感するわけです。2人だけで楽しい期間は、明確にこれモラトリアムであり、ロマンスの真っ最中なんです。
ただ、このモラトリアムも、サラが脱出を本格的に試みることで終わりを迎えます。ここでのナイルズの態度が、割と「恋人」として宙ぶらりんなモラトリアム状態でいることをよしとする彼氏みたいになってて面白い。面白いのは、この「脱出」のきっかけがサラの意外な側面が見えたことという点(このミスリードも上手い)。もう「元通りの関係」ではいられないとなった途端に「日常」から進もうとする。「終わらない日常」から抜け出し、2人で人生を歩んでいく覚悟を決めるという展開になります。
つまりは本作は、タイムリープという設定を使って王道のロマコメをやってみましたという映画で、実際こうして観るとかなり良くできてるんです。まぁただ、私自身がロマコメそこまで好きじゃない(嫌いではない)ってのと、本作で語られていることに関しては、「もうこういうメッセージ、見飽きたなあ」って思っちゃったせいかのれなかったっていうだけでね。