暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

日常系殺し屋映画【ベイビーわるきゅーれ】感想

ベイビーわるきゅーれ

 
77点
 
 
 映画ファンの間で、大きな話題を呼んでいる作品。監督は今期待の若手、阪元裕吾さん。阪元監督の作品は以前から観たいと思っていたのですが、如何せん公開規模が小さいのと、私の予定が合わないのもあり、なかなか手が出せないでいました。しかし、評判を呼んだことで公開規模が拡大し、ようやく観るチャンスが巡ってきたので、鑑賞した次第です。
 
 これは否定的な意味ではないのですが、本作、非常にアニメ的な作品だなと思いました。「元女子高生が殺し屋」という設定からしてそうなんですけど、全体的なゆる~いノリもそう。基本的に、「けいおん!」を始めとした「日常モノ」の系譜に連なる、ちさととまひろのゆるい日常と、そこから瞬時に繰り出されるガチンコアクションのギャップが面白い作品です。日常パートは「殺し屋の感覚」で日常を送ることで生まれるギャップを笑いにしているオフビートコメディ?で、これが結構笑えるんです(要は「フルメタル・パニック!」)。しかもしている会話が「あの店長ウザい」とか「バイトの先輩がウザイ」とかで、学生の頃よく言ってたなぁってやつばっかで、加えて演じる高石さんと井澤さんの演技で、これが妙なリアリティというか、説得力があるんです。しかも、日常以外にも、殺し屋業界内のネタも面白くて、何か業者としているやり取りが、普段私たちが社会でしているようなやり取り(もっとココ注意してくださいよ、毎回勘弁してくださいよ、とか)ばっかりで、ここもゆるく、ギャグ的ではあるんですけど、妙な説得力があります。
 で、これでアクションが下手くそだったら残念なんですけど、本作はその辺が完璧で、ゆるい日常からガチなアクションの空気になる緩急の変化のつけ方が素晴らしい。アクションに入ってからは、これまでの動きが嘘のような、圧倒的なスピード感で繰り出され、ゆるい日常ののっそのっそとした動きの対比もあって、「あぁこの2人やっぱりプロなんだ」と謎に納得してしまいます。これは完全に私見なんですけど、アクション映画にしろ漫画にしろ、こういう静から動への緩急が重要だと考えていて、私はそこにカッコよさを感じるタイプなんですけど、本作はそれが完璧にできていて、そこもポイント高い。ここも含めて非常にアニメっぽいんですけど。
 
 斯様に本作は、「元女子高生が殺し屋」、女性2人が成長したりしなかったり、みたいな、極めてアニメっぽい設定と非常に説得力をを以て描き出すことに注力し、成功している作品だなと思いました。構成に工夫はあるものの、脚本的にもゆるく、内容も女性2人の友情の話で、ベタではあります。だから、世紀の大傑作アクション!ってわけではないですけど、ちさととまひろの2人の話をもっと見ていたい、と思ってしまった時点で私は本作の虜であって、多くの人にそう思わせた時点で本作は大成功してるんだと思います。ぶっちゃけ、1話30分の深夜ドラマ化とかしても良いと思う。
 

 

殺し屋映画。

inosuken.hatenablog.com

 

日常系?作品。

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