暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

「原作の映画化」としては上手く行ってるんじゃないですか?【夏への扉-キミのいる未来へ-】感想

夏への扉 ―キミのいる未来へ―

 
57点
 
 
 ロバート・A・ハインライン原作のSF小説の古典「夏への扉」の映画化作品。監督は三木孝浩さん。ハインラインの古典を日本でリメイクする。これだけ聞くと完全に地雷案件なんですけど、監督は三木孝浩さん。一応、彼の実力は承知しているつもりだったので、どのようなリメイクになるのか、怖いもの見たさもあり鑑賞しました。
 
 まず言っておくと、「夏への扉」の実写化としては、意外と上手く出来ている、ということです。物語の骨子はそのままに、ラストを三木監督が数多く手がけている恋愛映画的な内容に落とし込んでおり、なるほどなと思いました。また、舞台を日本に移しているのですが、その変換も上手くいっています。感心したのが冒頭で、いきなりTV画面が映り、「三億円事件の犯人が捕まった」という架空のニュースが入る点。ここから、本作の世界が我々が今いる世界とは別の世界線の話なのだということが分かり、話の内容が一気に呑み込みやすくなりました。話も原作をそのままなぞっており、違和感はありません。
 
 原作との大きな違いは、藤木直人演じるPEETです。劇中、彼は主人公についてまわり、バディものの様相を呈していきます。このPEETの存在は結構よく、未来の世界の説明もしてくれますし、ストーリーの中にコミカルな要素を加えてくれます。更に、原作にはなかった力技も駆使してくれるため、映画的な見せ場もある程度作ってくれます。
 また、本作は原作からの現代的なアップデートもある程度行っていて、最大の問題である主人公ロリコン問題に関しては、作品全体を恋愛映画に振り、清原果耶という、現代最高の若手女優の1人をキャスティング。年齢を高校生に設定し、その上で最後は彼女の自由意思に任せています。これで大分問題が中和されていたと思います(まぁ、「高校生・清原果耶がオタク男性を甲斐甲斐しく世話してくれる」というシチュエーションが結構親仁の妄想感あるけど)。
 
 とまぁ、ここまでは一応褒めたつもりなんですけど、問題が多い映画でもあるんです。原作を読んでいれば、私のように「原作からの映画化」という点で楽しむこともできたと思いますが、未読の方からすれば、内容は「ドラえもん」とは「シュタインズ・ゲート」みたいなもんだし、しかも時間軸は結構単純なので、物足りないかと思います。また、原作が持っていた問題点について、特に女性観がヤバいんですけど、そこがあまり改善されてない。つまりは奈緒周りですね。何ていうか、今時こんな「ザ・悪女」なキャラ、描いても仕方ないだろうという。何だよ、冒頭の「セックスの後です」みたいなあのダサいショットは。悪女描写もテンプレ通り越してて笑っちまったぞ。原作が勧善懲悪の世界なので仕方ないのかもしれませんが、ロリコン問題を改善しているんだから、この辺も改善しようよって言う。ここがすごく気になった。
 

 

タイムトラベルもの。

inosuken.hatenablog.com

 

これもタイムトラベル。

inosuken.hatenablog.com