暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

「大人」な映画【ジェントルメン】感想

ジェントルメン

 
72点
 
 
 実はガイ・リッチーの作品を観るのは2作目。最初に観たのは『スナッチ』・・・なら良かったんですけど、『シャーロック・ホームズ』。確かBlu-rayだったかな。そんな感じなので、ガイ・リッチー作品を初めて映画館で観た人間の感想です。
 
 観始めて思ったのは、「これがガイ・リッチーか」ということでした。ヒュー・グラント演じるゲスい私立探偵フレッチャーの捜査を基にした語りで進み、時系列は「現在」と「過去」、そして時折、「創作」が入り込む非常にトリッキーな構成。しかもフレッチャーはこれを映画化しようと言い出しており、映画の撮影方法についても構想を話しており、非常にメタ的な内容でもあります。まぁ、『カンバセーション・・・盗聴』を「退屈な映画」と言う人間に、良い映画が撮れるとは思えませんが。そしてこのトリッキーな語り口が、作品全体に軽妙なノリを生んでいました。
 
 本作で注目したのが、「大人」と「青年」でした。本作の登場人物は基本的にいい年したオッサンなんですけど、そのオッサンを引っ掻き回す存在として、若者が出てくるんですよね。ミッキーを始めとする大人連中はそういう若者を「大人」な対応で対処します。コリン・ファレル演じるコーチはチンピラの更生をしています。タイトルの「ジェントルメン」と合わせて考えると、本作はこういう「大人」の話なのかなと思いました。にしても、語り口は先述の通りトリッキーで、ヤンチャな印象を受けますが。

 

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 また、ガイ・リッチーの楽曲使いの上手さも堪能しました。よく言われている事ではあるんですけど、音楽を使うことで画面の中の緊張感を高めるのが本当に上手いなと思いました。音楽絡みではないのですが、画面の緊張感の緩急と言う点では、中盤、ミッキーがブチ切れる(という創作)の、緊張が高まって一気に爆発する下りは最高。ここにも、「本当は切れるところだが、きちんと抑えてやったぜ」的な「大人」な対応が伺えます。とはいえ、終盤で一気にブチかますのですが。
 
 少し気になった点としては、上述のトリッキーな語り口です。フレッチャーの回想から、時折現在へ戻るという構成は確かに面白味はありましたが、それ以上の役割がなく、中盤以降からは回りくどいなと思いながら観ていました。『アイ、トーニャ』の方がもう少し上手くやってたような気もする。でも、面白かったですよ。
 

 

トリッキーな語り口映画。

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ギャング映画。

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