暇人の感想日記

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2021年夏アニメ感想①【小林さんちのメイドラゴンS】

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☆☆☆☆(4.2/5)
 
 
 2017年に放送された「小林さんちのメイドラゴン」の続篇。制作はもちろん、京都アニメーション。前作の監督である武本さんは、「シリーズ監督」としてクレジットされています。前作は好きだったので、続篇である本作も視聴した次第です。
 
 本作では、作品全体のテーマである「異種間コミュニケーション」をより掘り下げていました。小林さんとトール、カンナと才川、滝谷とファフニール、ルコアと翔太君という、組み合わせの関係性をより深く描き、少しずつ両者の距離を縮めていく様子を描きます。本作では新キャラであるイルルが出てくるのですが、彼女も小林さんに諭され心を開き、タケトや駄菓子屋での勤務を経て、異種間コミュニケーションを深めていきます。前作で構築した関係性をさらに深化させようという作りは、続篇として正統派なものです。原作のクール教信者さんは「旦那が何を言っているか分からない件」でも、夫婦と、友人たちのコミュニケーションを描いてきたので、この辺に同じ精神を感じます。
 
 本作を見ていて面白かったのは、前作以上に、トール達の世界についての描写が増えたことです。前作では半ばギャグ的に珍妙な植物やアイテムが出てきたり、混沌勢や調和勢などの派閥も、障り程度にしか触れられませんでした。前作に関しては、原作未読な身としては「ドラゴンが人間界に毒される日常系」と捉えていたために、数々の設定は話の背景でしかなかったのかなと思っていました。そしてこれによって、「心地よい異種間コミュニケーション」がとれていたな、と思っておりました。ですが、本作ではこの辺の事情が明らかにされ、トール達混沌勢が如何にして人間と接してきたかが感情と共に語られていきます。これによって、前作から描かれてきたトール達と小林さんら人間との関わりにより深みが出て、テーマがハッキリとした印象です。基本的に、テーマの深化というのは良いんですけど、ただ、これによって、全編通してシリアスな内容になってしまっていて、前作にあったような、「基本コミカルな日常回」が少なくなっちゃったのが少しだけ残念。前作は3話と11話がめちゃくちゃ好きだったので、ああいうトーンの話をもっと見たかったなと。
 また、「異種間コミュニケーション」として面白かったのは、エルマの存在です。エルマは、もともと人間に友好的な調和勢なためか、トールという、他の派閥のドラゴンとのコミュニケーションが描かれています。派閥が違うということは殺し合いに発展しかねないドラゴンたち側の交流をも描いていました。ちなみに、このトールとのガチバトルは凄まじく、このご時世なのにドラゴンをCGではなく手描きで描いていて、それでいて躍動感とスピード感のアクションを展開しており、京アニの底力を見せつけられた気持ちになりました。
 
 アニメーション的には、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」とはまた違った、ポップで可愛らしい作画はそのまま。また、上述のバトルを始め、2話におけるトールとイルルのガチバトルとか、ド派手なアクションから、日常の芝居まで、非常に丁寧な動きを見せてくれます。ここには京アニの健在ぶりを見ることができて心底ホッとしました。演出については、監督の変更もあり、より感情が前面に出るようになった気がします。抽象的ですけど。
 
 結論として、京アニの健在ぶりを確認できた作品でした。3期待ってます。
 

 

京アニ作品を2つ貼っときます。

inosuken.hatenablog.com

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