暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

対等に認め合うことはとても大切【ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋】感想

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78点

 

 

 実は本作、新年1発目の外国映画です。1月3日に観ました。感想を書くのがだいぶ遅れたのは私の怠慢です。存在を知ったのは町山智浩さん経由。そういえばロマコメはあまり観ないなと思ったし、正月にそんなに重い映画観ても仕方がないので鑑賞した次第です。

 

 2020年(アメリカでの公開は2019年みたいですが)、ポリコレ、#MeTooが盛んな今、ロマコメという正反対な要素がてんこ盛りなジャンルの作品を公開する。ということならば、思い至るのが現代的にアップデートされた現代版「ロマコメ」です。それは本作の予告とかポスターでよく分かります。だってセス・ローゲンシャーリーズ・セロンですよ。完全に『プリティ・ウーマン』の逆ですよ。これはつまり、男にとっての妄想が具現化したということなのか、そういうことなのか?と思いながら鑑賞してみると、さすがはアメリカ。単純な「男女逆転シンデレラストーリー」で終わらず、『プリティ・ウーマン』からかなり進歩した内容で、正しく2020年版のロマコメ映画でした。

 

プリティ・ウーマン 特別版 [DVD]

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  • 発売日: 2006/04/19
  • メディア: DVD
 

 

 本作で特徴的なのは、主演の2人とも、自立している存在だということです。ロマコメの場合、どちらかが立場上優位に立っていて、その優位な方が下位の方を「引き上げる」形が一般的です。何度も例にあげますが、『プリティ・ウーマン』や『マイ・フェア・レディ』はその典型みたいな作品です。しかし本作では、「下位」にあたるセス・ローゲン演じるフレッドも、記者として一応成功はしています。問題なのは癇癪持ちってだけ。その癇癪のせいで会社をクビになって、シャーリーズ・セロン演じるシャーロット国務長官の下で働き始めます。

 

 そして、この自立した人間2人が「パートナー」として互いを認め合うまでを描きます。ここで重要なのは、フレッドは非常に偏狭で、(主に容姿のコンプレックスで)屈折していて、不寛容な人間だということ。ちょっとでも自分と違う意見を持っていたりすれば、長年の友人ですら「お前とは絶交だ!」と言ったります。これは今の世界で頻繁に起こっている事です。本作では、そうではなく、その「違い」すらも受け入れて付き合うことが大切なのだと説きます。相手の事情を最大限に理解してやることが大切なのです。

 

 もちろんロマコメとしても身分が高い側(本作の場合はシャーロット側)にお付きのアドバイザーがいたり、フレッド側にアドバイスをくれるノリの軽い友人がいたりというお約束な配置があったり、笑えるシーンも多い。つまり、本作は下敷きとして、古典的なロマコメがあるのです。後はシャーリーズ・セロンが凄く美人で、『ゲースロ』とか『ウィンター・ソルジャー』を観ている姿が可愛いのが印象的でした。古典的なロマコメを下ネタとドラッグと共に描いた快作で、新年に観る映画としては、素晴らしく丁度良い作品でした。

 

 

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