☆☆☆(3.2/5)
アゾンインターナショナルとacusによるメディアミックス企画である、同名タイトルのアニメ化作品。制作は言わずと知れたシャフト。監督はガイナックスでの仕事が印象深い佐伯昭志さん。シャフト作品としては、実に15年振りの監督作です。とりあえずシャフトの作品は見るようにしていますし、通勤の電車の吊り広告でよく見たので存在は知っていたので視聴を決めました。
本作のあらすじはこんな感じです。公式サイトの文章を引用します。
近未来の地球。人類は謎の巨大生命体「ヒュージ」の出現で破滅の危機にあった。全世界が対ヒュージという一事に団結し、科学と魔法の力「マギ」を結集した決戦兵器「CHARM(チャーム)」の開発に成功。CHARMは10代の女性に高いシンクロを示すことが多く、CHARMを扱う女性は「リリィ」と呼ばれ英雄視されていく。ヒュージに対抗するため、リリィ養成機関「ガーデン」が世界各地に設立され、拠点として人々を守り、導く存在となっていった。
これはそんなガーデンでの、立派なリリィを目指して儚くも美しく戦う、少女たちの物語である*1
これを読んだだけだと、結構ハードな内容かと思われるかもしれません。実際、「人造リリィ」とか、反リリィ派の存在とか、ハード方向に振れるときもあるし、全力で振れることもできたと思うんです。しかし、本作で描かれていることは徹底して「百合」。リリィ達の百合百合しい関係性を描くことに全力を注いでいます。ヒュージや外的な機関は、彼女らの絆やドラマを構築するためだけに存在しており、物語の主眼は、どこまでも「百合」なのです。
そして、本作でフォーカスされているのはもちろん、主役である梨璃と夢結。ビジュアル的には完全に「まどマギ」のまどかとほむらです。前半3話で「元カノ」である美鈴とひとまずの区切りをつけさせ、2人の絆が深まっていく過程とか人造リリィの名前を2人の名前からとるとか梨璃の復活とか色々あった後に最終的に夢結の救済になるというものです。物語全てが彼女らのためにあるという、ある意味で超セカイ系作品。しかし、この思い切りやよしで、1話は設定説明ばっかりで辟易していた私でしたが、3話で私は完全に吹っ切れ、「百合アニメ」として見始めてからは非常に楽しく見ることができました。
シャフトという会社は、よくよく考えてみれば、というか考えなくても、「百合アニメ」と言われるものをたくさん作ってきたわけです。しかしそこでは、百合という要素は1つの要素であり、物語の中から偶発的に生まれてくる、あるいはそう読み解ける、若しくはシャフトが意図的にやりまくっている(だいたいこれ)ものでした。
翻って、本作は、まず「百合」が主題なんですよね。「百合」が全てであり、それ以外は百合を構築するためだけにある。世界は百合のために存在するという、ある意味究極の百合アニメであることは上述の通りです。そんな作品を20年代最初にシャフトが作った、という事実はどこか運命めいたものを感じました。
他にも、アクション面はかなり頑張ってて面白かったとか、皆さん仰っている通り5話は出色の出来だったとか他のカップリングも良かったよとか美点はあります。面白かったです(小並)。
劇場アニメ。
シャフト最新アニメ作品。