☆☆☆★(星3.6)
2011年に放送され、その出来の良さから社会現象にまでなった「魔法少女まどか☆マギカ」。本作はその人気から制作されたスマートフォンRPG「マギアレコード」のアニメ化作品になります。私も放送当時見ていましたし、先にあげた記事で、2011年代のベスト作品に選ぶくらいには好きです。しかし、本作の原作となったゲームは全くやっておらず、本作を視聴したのは「まどマギの派生作品だから」という理由からです。
視聴してみると、序盤こそ「まどマギ」の要素を借りてそれを極端に薄めた同人作品みたいだなと思っていたのですけど、終盤の展開から、「まどマギ」とは違う視点で魔法少女達の救済、そして「まどマギ」からの脱構築を描こうとしていた作品だと気づき、自分の中で評価が上がった作品でした。
本作の基となった「魔法少女まどか☆マギカ」に関しては説明不要でしょう。願いを叶える引き換えに魔法少女となって魔女と戦う、以上の過酷な運命を背負わされた魔法少女達を描いた作品です。物語は最終的にはまどかの願いによって、全ての魔法少女がキュウベえのシステムから解放され、救済される物語でした。そしてそれは従来の魔法少女ものの脱構築・再批評としての側面を持っていたし、「少女から大人になる」ことが世界への絶望を知ったからというのも重要。だからこそまどかは最後に「願い」を「絶望」にさせない「願い」をし、魔法少女を永久に救いました。
本作はこのようなポストモダン的な再解釈を伴った「魔法少女まどか☆マギカ」という作品を、さらに脱構築し、良くも悪くも「普通の」アニメ作品にしていました。本作で行われる「救済」は要するに「別のシステムを作る」という「まどマギ」と同じもの。ただ、「まどマギ」はまどかの「願い」によってそれがなされたのに対し、本作では「マギウスの翼」なる組織が出てきて彼女らが新しいシステムを作ります。「まどマギ」が完璧すぎるというのがありますけど、結構「普通」な感じになったなと思います。
まぁそれは良いです。私が注目したのは少女たちの「願い」についてでした。「まどマギ」では少女たちの願いは成就するものの、話が進むにつれてどんどんそこから離れていきました。そしてそれが絶望になり、さやかは魔女になりました。だから最終話で魔法少女ちゃんとやっているの見て泣いちゃったよ。翻って本作では、「願いから離れる」ことに対する抗いが描かれていると思ったのです。それを一番感じたのは八千代のエピソードで、彼女は業界で皆のために「生き残る」願いをしましたが、彼女とチームを組んだ少女はどんどん離れていきます。ここでも願いと相反しているのです。しかし、いろははそれに抗い、「一緒にいる」と言います。これはつまり「運命」からの抗いであり、この点は「まどマギ」と同じだなと思いました。
このように、本作は「まどマギ」的な側面は多く持ってはいますけど、「まどマギ」を脱構築して、見やすい「普通の」アニメにしていました。普通に面白いので、2期は見ようと思います。
JAシーザー=「ウテナ」=「幾原邦彦」という中々強引なつながりで。