☆☆☆★ (☆3.7/5)※今回から星つけてみました。参考までに。
一応、星のルールについて加筆しましたので、気になるならば。
城平京先生の小説シリーズを原作とするアニメ化作品。漫画版は少年マガジンRで清原紘先生の作画で連載されています。私は本作に関しては「存在は知っていたけど読んだことはなかった」作品の1つであり、ミステリは嫌いではないので、今回のアニメ化を機に視聴してみた次第です。
私は本作のことを所謂普通のミステリ作品だと思って見始めました。要は事件が起こって、それを探偵である主演2人が解決する、みたいな。少しだけ違う点があるとすれば、ちょっとくらいは超常的な要素が入ってくるかな、くらいにしか考えていませんでした。しかし視聴してみて驚かされました。本作の「推理」は我々が想像するような「名探偵コナン」的な、論理学における、前提から1つの結論を導き出す「推理」ではなく、事実をもとにして、まだ知られていない事柄を推測するという、読んで字のごとくの「推しはかる」ものだったからです。
本作ではこの「推理」によって怪異と人間達との間を調停する岩永琴子と桜川九郎の活躍を描きます。正直に言えば最初の2話は全く面白くなかったです。これは見始める前にあった思い込みから来るギャップが原因だと思うのですが、やってることが私が考えていた推理ではなくて推測であり、2話では説得だったからです。
本格的に面白く感じてきたのは3話の鋼人七瀬篇からでした。思えば、これだけで10話くらいあったわけですが、長いとは思いませんでしたね。あそこから、「推理する琴子」と、「その推理に基づき未来を決定する九郎」という役割が明確になりました。加えて、本作全体における「敵」の存在である立花(立ち位置的にはモリアーティ教授。若しくは「金田一少年の事件簿」における高遠遙一)が出てきたりして、本作の核である「怪異と人間の間の揉め事処理屋」的な内容がハッキリしてきたからです。
肝心の「推理」自体も目的が「ネット上に溢れた都市伝説から生まれた怪物を如何にして無力にするか」というもので、課題が明らかになった時には解決が絶望的でした。しかし、それに対する対処法としてしっかりと納得できるものを用意していて、それが「虚構」を新たな「虚構」で塗り替えるという本作の肝がしっかりと出ていたものだったのは素晴らしいなと感じました。
本作の軸は「人間と怪異の調停」です。それを行うのが怪異側によって「神」になった少女と人間でありながらその身に怪異を宿している青年というのは、さながら「ゲゲゲの鬼太郎」を彷彿とさせます。あの作品も鬼太郎は妖怪が起こした事件を解決し、半妖のねずみ男が出てきます。特に九郎なんて、その身に怪異を宿しているから恋人に振られたという点には、ねずみ男や「犬夜叉」の犬夜叉みたいな「半妖であるが故の孤独」要素があります。そしてそれ故に、元カノとも縁切って、それを許容できる琴子と一緒に生きていくというラストには納得と共に、その孤独に少し切なくなりました。まぁ面白かったってことですね。
同じく変則的なミステリ。