暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2020年秋アニメ感想⑨【おそ松さん(3期)】

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☆☆☆★(3.8/5)
 
 
 2015年から放送されている「おそ松さん」の第3シリーズ。私は1期よりの付き合いで、伝説となった1話に仰天したのも良い思い出です。1期は不条理ギャグアニメとしてかなり行き過ぎた(褒めてます)内容でしたが、中にはホロリとさせるような話もあり、「赤塚不二夫のアニメ化」として、意外としっかりしているのではないかと思えました。続く2期も不条理ぶりは多少鳴りを潜めましたが、トンデモなことに変わりはなく、楽しんで見ることができました。
 
 このシリーズがここまで面白くなった要因としては、隙があった六つ子にキャラ付けをしたとかと同じくらい、やはり監督である藤田陽一さんの力が大きいと思われます。藤田監督と言えば、「やり過ぎたアニメ」の代表格である「銀魂」の2代目監督であり、「銀魂」でも数多くのやりたい放題を行い、数多くの伝説を残してきました。彼の作家性と「おそ松くん」に代表されるような赤塚不二夫先生の不条理ギャグの路線がしっかりと噛み合った結果、このようなぶっ飛び作品が生み出されたのだと思います。

 

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 さて、そんな2シリーズと映画を通して放送された3期ですが、正直言って、過去2作と比べるとパワーダウンは否めませんでした。しっかりと過去作のような劇中劇やクズエピソード、各キャラに絞ったキャラ回はやってくれます。しかし、どうにもそれが過去作から続くルーチンでしかないように感じられるのです。つまり、過去2作にはあった(と思われる)「面白いことを全力でやってやろう」という意識がそこまで作品から感じられず、寧ろ「制作陣、シリーズに少し疲れてる?」と思わざるを得ない感じになっているのです。過去2作では画面の中にエネルギーが充満している感じがあって、勢いというか、アニメーションの演出的にもパワフルなものが多かったんですけどね。
 
 思い返すと、この「ルーチン」ともいえる感じが出ていると思ったのが1話だった気がします。1期にしても2期にしても、1話は「所信表明」でした。1期は「皆に受け入れられる」ためにあらゆるところから設定をパクりまくり、最終的に「いつもの俺たちでいいや」となりました。結果として封印されてしまいましたが。で、2期は「ちゃんとする」ことを目的とし、やっぱりあらゆる設定を盛りまくり、結論として「やっぱ今の俺たちでいいや」となりました。そして3期です。3期は今のポリティカル・コレクトネスとかジェンダー平等に照らし合わされ、「おそ松さん」が断罪される話でしたけど、最終的に「いつもの俺たちで行くよ」というものでした。ただ、あの1話にあったのは、過去2作にあった色々な設定を盛り込みまくり、それをガチのアニメーションでやりきるという藤田監督の技が光っていたのに対し、3期の1話は基本的な「おそ松さん」の1エピソードのフォーマットをそのまま行っただけな感じがあります。これが、3期全体にあった「ルーチン感」でした。

 

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 本作の特徴としては新キャラのAI、おむすびがいるんですけど、あの2体は最終的には六つ子にほぼほぼ絡まずに終わってしまったのも気になりました。最初こそは何か裏がありそうな感じで、この謎をシリーズ通して引っ張るのかなと思っていてのですけどね。2体のツッコミも最初は興味深くて、「おそ松さん」の中では当たり前と思われていたこと(シェ―の意義とか、ハタ坊の旗とか)に批評的な視点を加えるための存在なのかなと思っていたのですけど、それも大してなされず、A1に出て優勝することを目的とし、すっかり作中のキャラの1人になってしまいました。絶対制作陣持て余したよね。
 
 とまぁこのように、ルーチン的になってしまい、パワーダウンは否めない3期でしたけど、面白かったのは事実です。つーか、これも私の印象論でしかないので、4期があれば見ますよ。
 

 2期1話。

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赤塚不二夫の代表的作品のリメイク。こっちは本当にダメ。

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