暇人の感想日記

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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の表面的な真似事【スペース・スウィーパーズ】感想

映画「スペース・スウィーパーズ」、韓国初の宇宙SFは成功=“面白さは…?”

 

55点

 

 韓国が制作した、初の宇宙SF映画。配信はNETFLIXで、出資は香港の投資会社だそうですが、監督は『私のオオカミ少年』などのチョ・ソンヒさん。ここ最近の韓国映画のレベルの高さ、そして娯楽性の高さを目の当たりにしているので、韓国映画界が遂に宇宙SFに手を出す。しかも内容は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』みたいなもの、ということで、実は結構本気で期待していました。だからこそ、実際に観てみて、大変ガッカリしました。まさか、2021年の今、こんな大味な大作を見せられるとは、と。

 

 先にも書きましたが、本作がやりたいことが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』であることは明白です。宇宙のゴミを掃除することで日々何とか生きている、過去に何かありげなダメ野郎ども4人が、ディストピアとなっている宇宙を根本からひっくり返す痛快な物語です。しかし本作は基本的な設定の安っぽさ&説明不足感も問題ですが、何よりメインであるキャラの見せ方が致命的にダメな作りになっているのです。この手の作品はここがキモなのに、それが観客に伝わり辛いのは致命的だと思います。

 

私のオオカミ少年 (字幕版)

私のオオカミ少年 (字幕版)

  • 発売日: 2013/12/02
  • メディア: Prime Video
 

 

 まず、本作は、始まっていきなりメイン4人がチームを作っているのです。そしてダメな感じを前面に出し、台詞でもキムが「寄せ集め」と言っています。なので、この4人がダメな寄せ集めチームであることはすぐに「分かる」のです。ただ、そこには実感がない。チーム結成前段階のキャラクターの説明がすっぽりと抜け落ちているのです。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ではチーム結成前にしっかりとキャラ描写を行い、その上でなし崩し的にチームを結成させていました。だからこそ、キャラに愛着も湧いたし、行動にも理解ができたのです。しかし、本作にはこれが無く、既にチームは出来上がっているため、彼ら彼女らがどの程度信頼しているのかとか、何故彼らは失意のうちにダメチームを組んでいるのかとか、そもそもどうやって出会ったのか、全く分からないんですよね。で、世界の命運を握る幼女を拾ってこれまたダメ感丸出しの方法で交渉を進めていくも情が移ってしまい・・・というベタな話が進んでいきます。とりあえず、こういう話は、各キャラの背景などをちゃんと説明しきった後、続編でやるべきだと思うんですよね。

 

 一応、4人には結構壮絶な過去があったりするのですけど、それが分かるのが後半なんです。しかもキム・テリ演じるチャン船長は本作のラスボスを暗殺しようとしていたという。前半では全く匂わせていなかったよね、これ。この辺で見せた過去が前半で匂わせるレベルでも出てくれば、彼ら彼女らへの見方もだいぶ変わったと思います。要は見せ方が下手くそ。これらの「描写不足」により、本筋である「ダメな奴らが一矢報いる」映画としても微妙なものになってしまっています。

 

 そして、後半になると、メイン4人は前半が嘘のようなチーム・プレーを連発し、少女を守り抜きます。前半のダメっぷりとは全然違うのと、敵が中々な強敵だったりして、この辺はとても面白い。しかし、前半にこのチームプレーができるくらいの布石をきちんと張っておくべきだと思います。特にこれといった理由もなく有能になるからね。唯一あったのは序盤ですけど、あれは勝利号で突撃しただけだしねぇ。

 

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(字幕版)

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(字幕版)

  • 発売日: 2014/12/24
  • メディア: Prime Video
 

 

 他にも諸々突っ込みどころはあるんですけど、とにかく題材は良いのです。ただ、上述の描写不足や、敵の思想がやり尽くされたもので全く新鮮味がない&行動理念がよく分からないとか、とにかく「表面的」なんですよ、本作は。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』っぽいものを作ろうとして、その表面的な要素のみを抽出して作った映画って感じです。こんな中途半端な出来にするなら、もう脚本も出会いから描くってので同じにした方が良かったんじゃないの?あ、ただ、キム・テリは最高にカッコよかったです。

 

 

 ディストピアの風景がほぼこれだった。

inosuken.hatenablog.com

 

 宇宙SFということで。

inosuken.hatenablog.com