暇人の感想日記

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ラブ・ストーリーは突然に【アイネクライネナハトムジーク】感想

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80点

 

 

 伊坂幸太郎先生原作、今泉力哉監督による恋愛映画。私は伊坂幸太郎先生の作品に関しては、学生時代に少しだけハマったのですけど、今はあまり読んでいません。一番最近読んだのは「死神の浮力」です。そんなわけで本作の原作に関しては未読。本作を観ようと思った理由も、監督が『愛がなんだ』の今泉力哉さんだったから。以前から他の感想で書いているように、同時代で活躍している監督の作品は可能な限り追っていきたいと思っているので、鑑賞しました。

 

 伊坂幸太郎先生の作品はストーリーはパズルのピースをはめ込むように伏線が張られ、回収されていくものです。そしてその話の内容は中々のファンタジーだと思っていて、キャラクターがどこか二次元的だったり、物事が上手くいきすぎだったりします。それが読みやすく、ちょうどいい感じなのだと思います。

 

 そして本作では、その伊坂先生が持つファンタジー的な世界、言うなれば優しい世界が、今泉監督の作品世界と妙にマッチしています。劇中でも10年以上も姿を変えずに同じ場所で歌っている人間とか、学生2人を救った「この子のご両親をご存知ですか?」とか、「そんな奴いるかい!」や「そんな上手くいくかい!」と思えることが違和感なく観られるのです。そして映画自体も伊坂先生の作品のような、伏線を細かく張って、それを回収するという形式をきちんと踏襲していて、「伊坂幸太郎原作作品」として非常に出来がいいなと思いました。

 

 話の内容自体も凄く良い、というよりも素敵な話で、群像劇の体裁をとっており、それに伊坂先生原作お得意の伏線回収が加わって、いくつもの「出会い」の話になっていました。もうこれは小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」そのままで、あの日あの時あの場所で君に会えなかったら、今の自分はないし、こんな人生も送れなかったし、こんな気持ちにもならなかった。人生における出会いはそんなもので、恋愛だけではなく、単純に人との出会いもそんな偶然によって出来ているんだよなと思わせられました。あの曲自体は甘ったるいラブ・ソングだなと思っていたのですが、それをこんなに真剣にやられてしまうと、素敵な話として思えません。後は三浦春馬を見直しました。実はボンクラの役の方が似合うのではないか、彼は。

 

 

今泉監督作品。

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 こっちは出会いから。

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