暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2021年春アニメ感想②【SSSS.DYNAZENON】

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☆☆☆☆(4.4/5)
 
 
 「SSSS.GRIDMAN」から続く、「GRIDMAN UNIVERSE」シリーズの1作。元ネタは「電光超人グリッドマン」に登場するダイナドラゴン。前回は「電光超人グリッドマン」を見事にアニメ化してみせた作品でしたが、本作は趣向を変えて合体ロボットもの。「SSSS.GRIDMAN」とは、「合体」という点で差別化が図られていた作りになっていたなと思います。
 
 雨宮哲監督もインタビューで語っていた通り、本作の主題は「仲間」になるかと思います。前作にあたる「SSSS.GRIDMAN」はあくまでも「グリッドマン」という超人とアカネの物語で、グリッドマンの正体が明らかになると並行して、アカネの内面を掘り下げていく内容になっていたと思います。そこから翻って本作は、対照的に、合体ロボットものということで、複数のキャラに焦点を当てられるようにして、群像劇のような内容となっています。要はこれまで全く接点のなかった男女5人がダイナゼノンに導かれて出会い、仲間となり、成長し、個人にとって最善の選択をしていく物語になっているのです。この点はEDからも明らかですし、「SSSS.GRIDMAN」でも時折見られた、視点が微妙にずれる画作りが多かった前半から、各キャラが自分のトラウマや後悔に折り合いをつけて「仲間」として「一緒」になるシーンが多くなってゆく後半のような画面作りからも分かると思います。
 「SSSS.GRIDMAN」はアカネという存在を閉じこもった世界から救い出す話だったんですけど、本作はそこからさらに一歩進んで、「悩みを1人で抱えている個人が仲間を得て、共に成長していく」物語であるという違いも面白いなと思います。アカネは閉じこもっていましたが、本作のキャラは悩みは抱えながら、現実を呑み込み、「上手くやってはいる」わけです。しかし、そこから仲間を得て、最善の選択をしていく。これは、「自分の殻から出る」という点では一緒なんですけど、オチの部分で「SSSS.GRIDMAN」は結局アカネ1人の物語になってしまった点と比べると、本作のこの「個人の繋がり」を描いた点は、続篇として、テーマ的にも順当なものだなと思いました。その分、前作のようなメタ的な展開は無くなってしまいましたが、まぁあれは「グリッドマン」という題材だからこその展開だったので、本作のような王道のロボットものではこれでいいのでしょう。
 
 「特撮とアニメの融合」という、「SSSS.GRIDMAN」で達成した点は本作でも踏襲。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でも見られた、OP映像(サビのあたりがめっちゃそれっぽい)ミニチュアのビル破壊描写や爆破演出、ダイナゼノンの「合体ロボットっぽい動き」という特撮的な映像作りに加え、超合体竜王カイゼルグリッドナイトの合体バンク、オーバーパースが決まりまくった決めシーンというアニメ的なケレン味も完備。「SSSS.GRIDMAN」に培ったものをより洗練させている感じがあります。とりあえず、次作が決まっているそうなので、楽しみに待ちたいと思います。
 

 

シリーズ前作。

inosuken.hatenablog.com

 

トリガー作品。

inosuken.hatenablog.com