暇人の感想日記

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最高のエンタメ作品。アクアマンを讃えよ!!【アクアマン】感想

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95点

 

 

 「長い、暗い、つまらない」の三拍子が揃い、ライバルのMCUとは天と地ほどの差を空けられてしまっていたDCEU。2年前にようやく『ジャスティス・リーグ』が公開されたものの、このDCEUの総決算的作品がまさかのDCEU最低の興行成績を上げてしまい、遂に進退窮まった感があります。そんな崖っぷちなDCが制作したのが、本作『アクアマン』です。私は、DCEU作品には『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生(以後、BVS)』で愛想を尽かし、それ以後は『ワンダーウーマン』以外は観ていません。なので、当然アクアマンに興味もあるはずなく、最初は全く観る気がありませんでした。

 

 しかし、アメリカ本国で公開されてみれば、予想もしない空前の大ヒットを飛ばし、世界全体の興行収入はあの『ダークナイト』を超えたそう。しかも評判も上々で、映画秘宝ではあれほどDCEUをこき下ろしていた柳下毅一郎氏が大絶賛している。ここまで条件が揃えば、私は当然手のひらを返し、ついでなので監督のジェームズ・ワンの作品をいくつか観た上で鑑賞してきました。

 

 

 結論から書いてしまうと、前評判から来る期待値をはるかに超える傑作で、現状、今年のベストと断言してもいい作品でした。

 

 本作が過去のDCEU作品と違う点は、とにかく観客を楽しませるエンターテイメント作品に徹していた点だと思います。過去のDCEU作品は、『BVS』に代表されるようにいい年したおっさん達が互いの渋面を突き合わせ、「正義とは何だ・・・」という、「いや、知らねぇよ!」と言いたくなる問答を繰り返していました。しかし、本作のアクアマンは違います。終始ノリと勢いで行動し、「俺はどっちの味方をすればいいんだ・・・」と深く悩んだりせず、「正義?そんなものはよく分からんが、とりあえずアレだろ?あの悪い奴らをぶっ飛ばせばいいんだろ?」と某ひとつなぎの大秘宝を探す麦わら帽子のゴム人間のような単純脳です。だからこそ面白いし、何よりキャラが魅力的に映ります。

 

 そしてこの「エンターテイメント性」はストーリー展開にも表れています。基本は『バーフバリ』2部作のような王道の貴種流離譚なのですが、ストーリーが進むにつれて、『スター・ウォーズ』のような華麗なドッグファイトを見せたり、『インディー・ジョーンズ』のような宝探しアドベンチャーになったりします。こんな展開が次々に来るので、全く退屈しません。

 

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 しかも、全体もそうですが、個々のシーンも素晴らしくて、特にアクションですね。作中に出てくるアクションは冒頭のアトランナ女王(ニコール・キッドマン)とアトランティス兵の室内戦や、原子力潜水艦の中の肉弾戦、そしてオーム王(パトリック・ウィルソン)とのグラディエーター・マッチなど、毎回シチュエーションが違い、バラエティに富んでいます。中でも白眉はシチリアでのアクションでしょう。ジェームズ・ワンが『狼の死刑宣告』で見せた見事すぎるカメラワーク(というより、本作は全体的にカメラワークが最高)と、それによる人物の位置関係の交通整理能力が遺憾なく発揮されています。

 

 さらに、IMAX3Dで観たので、映像のスペクタクルも素晴らしかったです。アクションシーンはいちいち大迫力でしたし、何より画面から雄大さが伝わってきたのが最高でした。目の前にドーンと海や砂漠といった超巨大な自然が映っており、しかもIMAXカメラがほぼ全編に亘って使われているので、映像の鮮烈さもバッチリです。これだけで、本作が持つ雄大な世界観が堪能できます。

 

 また、細かい点では、過去の話が長くないのも好印象でした。『ワンダーウーマン』では(多分)30分くらいかけてやっていた少年期を10分くらいで終わらせ、後は要所要所で回想して進めていく。このテキパキとした語り口のおかげで、凄く観やすかったです。

 

 

 このように感動しっぱなしですが、本作で一番感動したのは『バーフバリ』にも似た精神を持つ、あの台詞です。「王は国だけ。でも、英雄(ヒーロー)は皆を救う」これによって、この貴種流離譚の物語が「アクアマン」というヒーローのオリジンにもなったのだと思いました。

 

 まぁ設定上、アトランティス人と人間の混血であるアーサー・カリーが2つの世界をつなぐ架け橋になるという結末は昨今、世界中で起こっている排外主義的な動きに対するアンチ・テーゼだし、多様性の表れだとも思いますが、そんな小難しいこと考えずにただ楽しめばいいのです。本作は、最高のエンターテイメント作品なのですから。

 

 

同じく、貴種流離譚の「王の物語」。バーフバリ!

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DCEUの中では高い評価を得た作品。私も楽しめましたよ。

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