暇人の感想日記

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「実写版ガルパン」は伊達じゃない!【T-34 レジェンド・オブ・ウォー ダイナミック完全版】感想

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87点

 

 

 昨年公開された『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』に未公開の映像を付け足してボリュームアップして公開された本作。私は昨年公開された劇場公開版は観ていません。それでも私が本作を鑑賞した理由は、映画秘宝にあります。今年の1月に発売された映画秘宝の「2019年のベスト10&トホホ」号にて、本作がベスト10に入っていたのです。まぁ映画秘宝なのでこのチョイスも納得と言えばそうなんですけど、ベストに入るくらいの作品ですし、評判も良いですしということで、ダイナミック版の公開を機に鑑賞してきた次第です。

 

 本作を観て真っ先に連想するのは、2012年に放送され大ヒットを記録し、2015年の劇場版も深夜アニメ初の劇場アニメとしては異例ともいえる興行成績をたたき出した、アニメシリーズ「ガールズ&パンツァー(以降、「ガルパン」)」です。実際、本作の監督も日本のあらゆるインタビューで「ガルパン」について言及されたそうです。私はTVアニメしか見ていないのですけど、あの作品も戦車の造形をリアルに描写し、様々なバリエーションの戦車戦を見せてくれました。

 

ガールズ&パンツァー 劇場版

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 本作はこの「ガルパン」と同じような戦車戦を実写で見せてくれるのです。そのシチュエーションはバラエティに富み、冒頭の戦車の特性を知り尽くしているが故の逃走劇から、遮蔽物やトリックを上手く使って奇襲をかけるオーソドックスなものから市街戦、ラストの橋の上での一騎討ちまであります。そしてそれをスロー・モーションやCGといったケレン味溢れる演出の数々や、また、砲身を敵に合わせるまでの時間的なスリリングさや戦術の読み合いがキモとなる頭脳戦といったオーソドックスな演出で見せてくれます。後は砲弾が直撃したときの衝撃をしっかりと描いていたのも新鮮でした。

 

 本作の舞台は第二次大戦末期。ストーリーはハッキリと3部構成になっています。主人公が捕虜になるまでの1部、脱走し、逃走劇になる2部、そして市街戦から最終決戦までの3部です。それぞれの部で明確に目的があり、見せ場もしっかり用意されているのでとても観やすい。特に痛快なのが2部の脱出篇で、舐め切っているドイツ軍に対して反骨精神で仲間を集めて準備をし、見事に脱出するくだりは観ていてとても面白かった。

 

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 戦車映画として面白い本作ですけど、私がとにかく観ていて気になったのが適役のイェーガーです。コイツは本作における最大の適役なのですけど、全く憎めない。というか、かなり同情的に見てしまえるキャラでした。その理由は簡単で、コイツ、ずっと主人公に片想いしているのです。それは主人公が無敵だと思っていた自分を負かした男だからというのが大きいのですけど、負かされてからずっと主人公にちょっかいをかけまくるのです。しかし、当の主人公は全く気付かず、ヒロインに夢中という負けフラグビンビン状態。それが如実に表れたのが2部で主人公とヒロインと共に卓を囲んだシーン。イェーガーは主人公と「名前が同じ」と言ってめっちゃアプローチをかけまくるのですが、主人公はガン無視してヒロインの方ばかり見ているというイェーガーの片想いぶりを最も強く感じ取ることができるシーンでした。

 

 私はイェーガーの事が気になって仕方がなかったので、ラストの決着がついた後交わした握手で大変感動できました。イェーガーは自分が認めた男の手で葬り去られた。それだけが、彼にとって救いだったのかもしれないと思えたからです。ちょっと気持ちも通じたよね。

 

 以上のように、私にとって本作は、中々楽しめる作品でした。基本的にイェーガーが気になって仕方がなかったんですけど、戦車戦をエンタメとして見せたという点では、良作だと思います。

 

 

 形を変えた「マン映画」

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 同じく「友情の映画」

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