暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

【ワンダーウーマン】感想

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73点

 

 DCEU最新作。これまでとは違い、観客からも批評家からも評価が高い模様です。これまで大してDCEU作品は観てこなかったのですが、この評判が気になり、鑑賞しました。

 まず書きたいのは、ガル・ガドットが素晴らしすぎたということです。彼女そのものが完全にワンダーウーマンですし、映っているだけで画面が映えるんですね。特に中盤の初陣は凄かった。怯んでいる男どもを差し置いて、どんどん進んで道を切り開くその姿はまさにアマゾネス。映画は言いたいことはいくつかあるのですが彼女があまりにも素晴らしいので、その欠点を完璧に補っています。

 映画は冒頭、未来のダイアナが「あの頃の私はまだ何も知らなかった」というモノローグから過去に遡って始まります。しかし、ここからいきなり少女時代に戻ったときは「大河か!」と突っ込みたくなりました。本作はこういう何も知らない箱入り娘が、外の世界に行くことで世界の不条理さを知り、それを乗り越えてヒーローになる話でした。ヒーローものの第1弾は、そのヒーローが何故戦うのか、を明確にする話だと思っているので、ここが出来ていたのは良かったです。

 ダイアナは女だけの楽園セミッシラで育ち、外の世界を全く知りません。そこにある時、イギリス軍のスパイであるスティーブと出会い、「人々の争いの根源である」アレスを倒し、世界を平和にする使命を果たすため、外の世界に旅立つのです。

 一方、外の世界は第一次大戦真っただ中。舞台が戦時中というのも大きな意味を持っていると思います。第一次大戦は歴史上初の世界大戦であり、大量殺戮兵器が発明され、膨大な数の犠牲者を出した、人類の大きな過ちの1つです。そして、戦争というものは、絶対的な正しさなどないということは周知の事実です。観客である我々もそんなことはもちろん知っています。しかし、この箱入り娘はそんなこと全く意に介さず、「アレスを倒す」の一点張り。人間は守るべき存在であり、悪事を働くとしたら、アレスのせい、と思っているわけです。しかし現実はそうではないです。戦争は人間が自主的に始めたことです。「守るべき対象が実は争いの元だった」ダイアナは終盤にこの事実と向き合わざるを得なくなります。そして、人類への愛を持ち、「ワンダーウーマン」というヒーローになるのです。

 この最後の答えが、これまでの描写の積み重ねである点も良かったですね。確かに、ダイアナは外に出たせいで、醜いものを見たし、経験もしました。ですが、一方で、そこで、愛する人と出会い、信頼する仲間もできました。物事は一面ではありません。人間が典型的です。立場が変われば、人間性も変わる。そして、立場が弱い人や、強い人もいる。それらを見てきたから、彼女はそれらの人々を守るヒーローになれたのだろうと思います。

 このように、「主人公が成長し、真に戦いの意味を見出す」オリジンとしては、今作は面白かったです。

 ただ、冒頭にも書いたとおり、言いたいこともあります。まず、冒頭のくだり、あれはもう少し短くできたような気もします。というか、少女時代ほぼいらんような…。別にあれがストーリーに絡んでくるわけでもないし。また、終盤の戦闘。何で暗闇なんですかね。見にくいです。DCの呪いか。次作があるなら、ぜひ彼女のゴッドキラーをDC制作陣という「神」に使っていただきたいです。