暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

ハサミに隠れた優しさ【シザーハンズ】感想

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95点

 

 ティム・バートンの名作映画。人里離れた古城で孤独に暮らしていたエドワード・シザーハンズの物語。観たのは今年の3月と随分前なのですが、何だかんだとあって書くのを先送りにしていました。本作を観ようと思ったのは、思えばティム・バートンを私は観たことがなかったと思い、1本くらい見ておこうと考えたためです。とにかく泣きましたね。素晴らしかった。

 

 本作の主人公エドワード・シザーハンズ。DVDのジャケットが全てを説明しています。ハサミの上に蝶が乗っているのです。つまり、彼は手がハサミなだけで、本当は優しい心を持っているのです。

 

 彼の手はハサミ。だから他者と触れ合おうとしても傷つけてしまう。なので、彼はそれが怖くて人とコミュニケーションを取れないのです。所謂コミュ障です。また、外見も不気味。ゴシック調の服で、街のカラフルさとは対照的です。当然のように言葉も上手くない。だから、純粋な心を持っているのにもかかわらず、誤解されやすいのです。彼は「人間として」不完全なのです。

 

 これは小さい頃のティム・バートンそのままだそうです。彼はいつも暗い部屋の中で籠って、他人とは上手くコミュニケーションを取れずに過ごしてきまし、街の人間は全て敵だと思っていたそう。劇中でエドワードはハサミを使って自己表現をしますが、バートン自身も映像を作って自己表現をしていたそうです。人間としての不完全さもバートン自身の当時の意識なのでしょうね。

 

 これ、分かる人には凄くよく分かりますよ。自分は人間として不十分だとか、コミュニケーションが下手とか。そんな人間からすると、エドワードには感情移入しまくりなんです。私はキムの写真を見てた時から泣いてました。だからこそ、ラストは感動的なんですよね。キムが自分からエドワードを受け入れたことに。そして、他人を傷つけてしまうエドワードが、初めて他人を抱擁できたことに。あれから、街には雪が降るようになりました。エドワードとキムにとって、あの一瞬の雪の中は、今も永遠に続いているんだなぁと思うと、やっぱ泣けるわ。