暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

浮き上がるイーサン・ハントの信念【ミッション・インポッシブル/ローグネイション】感想

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80点

 

 実は私はこのシリーズをちゃんと観たことがなく、本作がシリーズ初鑑賞です(オリジナルの『スパイ大作戦』はCSでやっていたのを数話見た程度)。現在公開中の『ミッション・インポッシブル/フォールアウト』の準備として鑑賞しました。何故この5作目を初鑑賞に選んだかというと、「映画秘宝」の監督インタビューを読み、次作が本作の続篇的な作品になると知ったためです。シリーズ全体の評判を見ていると、あまり連続性は無さそうだった為、それなら5作目からでもいいだろうと思いました。

 

 感想として、非常に楽しんで観ることができました。冒頭の「飛行機に掴まる」に代表されるような、CGに頼らないアクション・シーンの数々は観ていて色々な意味でハラハラしますし、何より純粋にエンターテイメント作品としてとても面白い作品でした。

 

 私がエンタメ作品に何を求めるかといえば色々ありますが、その中の1つは、「逆転劇」です。絶体絶命の窮地から敵を出し抜き、最後には圧倒的に優位に立って勝つ。これにはカタルシスも生まれ、観ていて爽快感を覚えます。本作はこれをやっているんですよね。

 

 冒頭、罠に嵌められたイーサン・ハント。彼は敵であるシンジゲートだけではなく、仲間であるはずのCIAにも追われる羽目に。普通に考えれば絶体絶命ですが、イーサンはそのような状況下でも信頼できる仲間と力を合わせ、この窮地を乗り越えるのです。これだけで気分が上がる設定です。しかもラストの展開が冒頭の意趣返しになっており、それがこれまでの苦難の積み重ねから、中々の爽快感を生み出します。

 

 また、劇中の対立構造も、MI6のはぐれ者とIMFのはぐれ者という、言わば「ローグネイション」どうしの対決なのも面白かったです。

 

 そして、この対立によって、イーサン・ハントというキャラクターが少し浮き上がってきた気がします。本作の敵であるレーンは、イギリス政府から見捨てられたはぐれ者です。これは劇中のイーサン・ハントと被ります。しかし、これ以降、彼らは別々の道を歩みます。レーンはテロを、イーサンはあくまでの世界を救おうとするのです。つまり、本作において、レーンはイーサンのダークサイドであり、この構造によって、イーサンが持つ信念が浮き彫りになったと思うのです。

 

 これに更なる掘り下げを与えるのが本作のヒロイン、イルザ。彼女は組織にいいように使われている人間で、このキャラによっても、イーサンの信念を浮き彫りにさせていると思います。こう考えていくと、本作はイーサンのキャラ批評映画としても面白いのかもしれませんね。まぁ、私はこれしか観てないので、何とも言えないのですが。

 

 以上から、本作は純粋にエンターテイメント映画として面白く、同時にイーサン・ハントのキャラ批評映画なのかなぁとも思いました。まぁこれはシリーズを観ていかないと分からないでしょうし、暇なときにでも観ていこうかなぁ。