暇人の感想日記

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秀逸なリメイク作品【銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲】感想

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78点

 

 『銀河英雄伝説』劇場版第3弾にして、OVA版では最終作。内容はOVA版の1話と2話を元に、外伝の内容などを加味したもので、リメイクに近いと思います。ですが、昨今アニメ界で流行りの既存の映像を切り張りし、新規カットを加えて新たに作り直すものではなく、全編新作です。しかも素晴らしいのは、これ1本でちゃんと独立した作品として成立している点です。

 本作は上述の通り、OVAシリーズの1話と2話のリメイクです。しかし、上映時間は90分。2話合計しても約48分くらいですから、単純計算で約40分本編が足されていると考えられます。OVAでは会戦しか描かれなかったため、本作では、そこに至るまでの過程を丁寧に膨らませて語り、のちに起こる悲劇の度合いを十分に高めています。

 帝国陣営はラインハルトがフリードリヒ4世に戦慄したり出征までの宮廷内の駆け引きなどが描かれ、同盟側では主にヤン、ラップ、ジェシカの三角関係が描かれます。中でも白眉は序盤の3人のシークエンス。台詞を一切使わず、あの3人の関係と気持ちを完璧に表現した演出には脱帽です。しかし、故にラップの最期は虚しさが増します。「もしあの時、早く援軍に駆け付けていれば」1話を見た時以上にそう思わせられます。

 この点から考えると、本作は理想的なリメイクと言えると思います。これ1本で完結していますし、何より既に見た人間も楽しめるようにできています。キャラの関係がOVAよりも丁寧に描かれているので、より感情移入がしやすくなるのです。

 作画が凄いとかもう書かなくてもいいよねってくらいの安定の作画力。メカの細かさは異常。とにかく、1回見た人、初めて見る人両方にお勧めできる秀作でした。