暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2019年冬アニメ感想⑤【荒野のコトブキ飛行隊】

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 水島努監督の最新作。正直、『ガルパン』の最終章もある中で、TVシリーズなどやっていていいのだろうかと思ってしまいますが、新作を作るとなれば仕方がない。監督の作品はとりあえず見るようにしているので、視聴しました。

 

 見始める前は、組み合わせから、『ガールズ&パンツァー』のレシプロ戦闘機版を狙っているのかと思いました。しかし、見てみると、ほとんど全ての要素が「あっさりして」いて、正直、「可もなく不可もなく」な普通という印象の作品でした。

 

 

 本作の「あっさりな点」として、まず1つ目はキャラクターを挙げることができます。本作のメインキャラは、レシプロ戦闘機を操る「コトブキ飛行隊」の面々。彼女たちのデザインは今の売れ線をやや外しているキャラクター。キリエとチカは口煩くいつもギャーギャー喚いており、エンマはお嬢様風ながらもねちっこく毒舌家。ケイトは所謂クールな無口キャラで、レオナは生真面目な隊長、そしてザラは「昔色々あった」系のお姉さんキャラです。他にも、有能な上司であるルゥルゥなど、非常に個性豊かです。女性キャラが全員有能で個性豊かな反面、男は基本的には無能に描かれています(一部例外あり)。

 

 しかし、これらのキャラの印象は、この枠の中から一歩も外に出ません。一応、キャラ回はあるにはあるのですが、上記のキャラを説明するだけに終始していて、そこまで深掘りはされません。まぁそれでもある程度の好感を抱かせるというのはさすがですけど。

 

 また、本作の楽しい点としては、こうしたキャラ達の掛け合いがあると思います。この会話は、見やすいように整理されているとはいえ、各々のキャラが好き放題話しているものです。この点は他のアニメとはちょっと違う点だと思いました。

 

 

 キャラの会話は面白いものの、キャラクターはあっさりしている。では、ストーリーや世界観にその分の労力を割くのかといえばそうでもなく、ストーリーもあっさりしています。一応、「世界の穴」とか、西部劇のような舞台に日本の戦闘機が飛んでいるという面白さはあります。しかし、話に明確な目的が特に無く、中盤に出てきたイサオがラスボスになり、彼の野望を阻止することで物語は終わりを迎えます。一応、自分の独裁体制を敷きたいイサオを、自由を求めるコトブキ飛行隊が倒す、というのは構図としてあるとは思いますけど、にしても描写不足は否めません。加えて、設定などで見せるわけでもなく、「世界の穴」、ユーハングについても、「何故、異世界にレシプロ戦闘機があるのか?」という説明にしかなっていません。ここら辺も何かあっさりしています。

 

 さらに、作画の面でもあっさりしています。手描きと3DCGを組み合わせたもので、最初は困惑しました。これによって、キャラの動きは多彩になったと思いますが、それ以上の効果をあまり感じませんでした。作画の消費を抑えたかっただけではないのかな。あ、でもジョニーのガン=カタは良かった。

 

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 このように、とにかくあっさりな感じの本作ですが、1つだけあっさりではない点があります。レシプロ戦闘機です。私は詳しくはないのですが、どうやらアニメで出てきた戦法は、全て現実でも出来るものだとか。また、戦闘のシチュエーションも多彩であり、特に最後の市街戦は迫力もあり、大変面白かったです。さらに本作は、そこの音も凝っていて、イヤホンやヘッドホンを使ってみれば、その凝り具合がより分かります。ただ、その空戦も基本的には命のやり取りをしている感じはあまり無いので、どこか緊張感は弛緩している感はあります。

 

 このように、レシプロ戦闘機以外はとにかくあっさりしていた本作。でも、私には戦闘機の戦闘シーンと、コトブキ飛行隊のキャラがやや魅力的に思えたので、最後まで見ることができました。