86点
今年から、タマフルのガチャで当たった映画については、自分の時間とお金と興味が許す限りでは観に行くことにしました。そんなことを決めた矢先当たった本作の続篇である『王の凱旋』。当たった当初はインド映画を甘く見ていたこともあり、スルーしようと思っていました。ですが、職場の同僚が『王の凱旋』を会う度に薦めてくるし、調べてみると、去年から観たかった『勝手にふるえてろ』と『王の凱旋』がいい感じに梯子できることが判明したため、『王の凱旋』の鑑賞を決意。その準備として本作のDVDをレンタル。「さぁ、観るぞ」と気合を入れてケースを開けたらそこにあった名前は『バレー・オブ・バイオレンス』。一瞬「何かに化かされているのでは?」と思いましたが、気を取り直してDVDをレンタルし直し鑑賞しました。
本作は、話としては昔からある貴種流離譚もの。そしてそれをベースにして古今東西のあらゆる名作(『スター・ウォーズ』『ベン・ハー』『ロード・オブ・ザ・ロング』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『十戒』等)の要素をブチ込んでいます。しかも、展開はコテコテ。普通の村人に育てられた主人公が未知の世界に憧れて旅立ち、そこでヒロインと出会う。そして自らの王国の民は悪の為政者によって苦しめられていた・・・。正直、誰もが少なくとも1度は観たことがある話が展開されます。しかも、戦のシーンでは、「やりすぎでは」ともとれるぶっ飛び戦法が繰り広げられます。
しかし、本作はそれでも非常に面白いのです。これは、上記の「コテコテの展開と描写」を、開き直って素直にちゃんとカッコよく、そしてアツく描いているためだと思います。「牛を素手で止める男」なんて久しぶりに見ましたよ。
ここまでだと、よくある大味作品のように聞こえますが、細部は結構計算されていると思いました。例えば、非常に皮肉の効いた「黄金像を建てるシーン」や、戦闘のシーンが一々工夫されていたりします。また、インド映画の特徴であるミュージカルシーンですが、用途がキャラの心情説明とか、展開を進めるためとか、かなりミュージカル本来の使い方をしていたと思いました。
このように、本作はコテコテで、ともすれば半笑いで見られるかもしれない内容を、素直に「カッコよく、アツく」描き、なおかつ「ちゃんと作る」ことで、未だかつてないくらい、映画の快楽を味わえる作品となっていました。確かに粗もあります。ブツ切り編集とか、CGが少しチープだとか、少し映画全体の構成のバランスが歪かなとか。でもね。そんなの関係ないんですよ。だって面白いから。バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!
後篇の感想です。こちらも本作越えの傑作です。