62点
本来ならばもっと早くに公開されていたにもかかわらず、ワインスタインのレイプ告発や新型コロナウイルスにより、2度にわたり公開が延期され、ようやっと公開された本作。エジソンと言えば発明王として有名なわけですが、企業家としても有名です。本作は企業家としてのエジソンに焦点を当て、ウェスティングハウス&ニコラ・テスラとの電流戦争(カレント・ウォー)を描きます。
本作はめちゃくちゃ泥臭い作品で、互いにやっていることがネガティブキャンペーンの応酬なんですよね。エジソンはウェスティングハウスの交流が如何に危険なのかを吹聴するし、ウェスティングハウスはエジソンの直流が電気椅子に使われていることを仕返しとばかりに吹聴。互いの品位を貶める泥沼合戦を繰り広げます。
そうして1つ1つ自身の発明を使う地域を広げていくのは観ていて面白かったですし、エジソンも自分の発明が自分の本意ではないところに使われていることに若干思い悩んだりしたのは良かったです。才能や発明が資本の論理に則って売買され、最終的にエジソンが生み出したものが電気椅子で、その刑執行がウェスティングハウスとテスラが受注した「電気」と並行して描かれてるのは何か虚しかった。
けど、本作は全体的に通り一遍な描き方がされていた気がして、ちょっと味気なかった印象もありました。エジソンの天才ぶりはベネディクト・カンバーバッチが演じているので完璧だったんですけど、苦悩の仕方とか、奥さんへの愛情表現の下手さとか、テンプレな印象を受けたんですよね。ウェスティングは超良い人だったんだけどね。
ただ、良かったのはエジソンが発明した「キネマトグラフ」として映してみせたラスト。我々は今、エジソンが発明し、現代まで残った「アイディア」を観ているんだなって思えて。あそこで現在とあの時代がつながった気がして、ちょっとテンションが上がりました。鑑賞したのがだいぶ前なので、今回は簡単な感想になります。