暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2020年春アニメ感想⑤【天晴爛漫!】

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☆☆★(2.7/5)
 
 
 P.A.WORKS制作、シリーズ構成と監督を橋本昌和さんが務めたオリジナル作品。題材はまさかのアメリカ大陸横断レース。PVを見ればアメリカ大陸横断レースを「チキチキマシン猛レース」よろしくのスーパーカー対決として見らそうで、それはそれで面白そうだなと思ったこと、P.A.WORKSのオリジナル作品は当たり外れはあるものの、面白い作品もあるので、視聴しました。
 
 私が本作に関して言いたいことは、「カーレースをしろ」です。カーレースが主題のアニメだと謳っていたにもかかわらず、本作は肝心要のカーレースをほとんどしない。1~5話はカーレース前のキャラ紹介で、これはこれで良いです。しかし、実際にレースが始まると、すぐに邪魔が入って中断され、やっと再開したと思ったらまた中断されるの繰り返し。しかも最後の方は「ギルを倒す」が目的になってしまって、話の軸もブレブレという始末。

 

 

 一応、レースはやっていないわけではないのですが、それもそんなに面白くない。こういうレースって、誰がどこにいてどれくらいの距離があって、それを如何にして縮めるかという駆け引きが重要だと思うのですけど、本作に関してはそれが全く出来てない。そもそもキャラの車の名前すら満足に判別できないし、順位表示も英語なので分かりにくい。さらにはコースの説明もほとんどないので、どれほどの難易度なのかも不明。だから全くハラハラしない。しかも駆け引きもほとんどないです。他の参加者も「いたの?」ってレベルで存在感が薄くてすぐに退場するし。
 
 後、思ったよりビックリドッキリメカ的なものがなかったのも問題点。個人的には、3話で天晴がやったみたいに奇抜な手でスペック差を埋めていくトリッキーなレースが見られると思っていたのですが、そこが全く無い。さらに、天晴は自分の車を「こいつは進化する」と言っていましたけど、全然「進化」した感じが無い、というよりスタッフ皆この発言忘れてただろと思わざるを得ないのも問題でした。
 
 このように本作は、私が期待していたことをことごとくやってくれない、もしくはやっても中途半端なのです。で、何をしていたのかと言うと、「ホトトの敵討ち」とか「小雨のトラウマの克服」とか「人の心の機微が分からない天晴の成長」とか「ギルを倒す」という西部劇。これらのうちどれかが面白ければ良かったのですけど、見事なまでに中途半端なんですよね。

 

TVアニメ『天晴爛漫! 』OP主題歌「I got it!」

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 何故このようになったのかと言うと、本作は混ぜてはいけないものを混ぜてしまったからに尽きると思います。カーレースと西部劇と侍、後は人類の進歩?という噛み合わない要素を混ぜてしまい、スタッフがそれらを全くまとめ切れていない。だからそれぞれのドラマをやろうとすると一旦レースを止めるしかない。でも、そのドラマも通りいっぺんの描き方しかしない。だからどれもが中途半端なのだと思います。
 
 一応考察しておくと、本作の重要な要素としては、「古きものと新しいもの」があると思います。主人公2人にしても、明治の時代に「月に行く」と豪語し、時代の先を行く発明家天晴と、明治後期になってもまだ「侍」である小雨という対照的なものですし、カーレースも、そこに車と蒸気機関車という「古きものと新しいもの」が重ねられています。また、そもそも時代背景にしても明治後期という時代が変わった後ですし、アメリカも西部開拓時代が終わった後です。本作にはこのように、時代の移り変わりを感じさせる要素が揃っています。
 
 このような要素から思ったことは、本作は「時代の進歩」を描こうとしていたのかもしれないということ。だからエジソンが出てきた。そしてその時代の進歩を暴力でねじ伏せようとするのがギル。そのギルも、サウザンドスリー達の昔の流儀である暴力ではなく、新しい時代の「法」で裁かれます。なるほど、これは中々面白いテーマです。出来ていればね。この要素に関してもやっぱり中途半端で、ギルを倒すのはサウザンドスリーの2人で、それに明快なロジックが無く、あれだけ強かったギルに対して、「何となく勝ちました」以上の描写が無い。で、天晴達も列車を止めるわけですが、それも「とりあえず用意しときました」って感じしか無いんですよね。

 

天晴爛漫! 第1巻 [Blu-ray]

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 そしてこの話は終わったとばかりに最終話のBパートでレースは再開されて、天晴達が優勝して終わり。いや、その過程こそ見せろよ!で、しかもその後にまた「やりたいこと云々」という新しい要素がぶっ込まれてきて、特に目標もない小雨がちょっと迷って天晴と一緒にアメリカに残って終わりっていう。いやお前、道場はいいんかい!跡取りがいなくなったらヤバいのでは?「死んでると思われてるし、問題ない」とか言ってるけど、EDでちゃんと手紙出してるし何なんだよと。戻れよ。
 
 このように不満ばっかりなのですけど、唯一良い点がありました。それはキャラです。本作のキャラはそれなりに魅力的で、彼ら彼女らの掛け合いと、それによって信頼とか魅力が生まれるという作りは良く、だから最後まで見ることができました。なので9話は結構お気に入りだったりします。でもそれ以外は中途半端が過ぎ、トータルとしては面白くない作品でした。残念。