80点
この世界には、「スーパーヒーロー」がいる。アメリカにはスーパーマンが、ゴッサムシティにはバットマンが、日本にはウルトラマンが、そしてインドには、パッドマンがいる。本作は、インドで生理用ナプキンを発明し、インド中の女性を救った男、「パッドマン」ことラクシュミの活躍を描きます。
本作は基本的には偉人伝です。女性の生理が「穢れ」として扱われ、尚且つ貧しいがために生理用品も買えない妻を救うためにラクシュミが奔走するというもの。ストーリーそのものはベタベタです。ただ、そこはさすがインド映画で、その本筋を非常にテンポよく見せ、さらにメロドラマの要素も盛り込んで大幅に脚色し、そこにさらに現代的なメッセージも盛り込むというエンタメ要素全部盛りの作品として我々に出してきました。
本作が観やすいのはテンポもさることながら、基本的に主人公が前向きだから。序盤で試行錯誤を繰り返すのですが、何度失敗しても諦めずに前に進んでいく姿には見ていて応援したくなるし、何よりそれらをコメディ調で描いている点も良いです。しかもナプキンの発明もラクシュミが論理的に考え、行動した結果が成功に繋がっているため、説得力が凄いです。しかもこれをどん底に落としている状態で行っているため、成功し、世界に認められた時のカタルシスは異常です。
ただ、本作のラクシュミが真に素晴らしく、「スーパーヒーロー」である点は、その発明を徹底して「他者」のために使っている点。特許も取らず、インドで苦しんでいる女性のために使っているのです。だから最後の演説も感動的です。それまで苦しんでいた女性を正当に評価した内容だったと思うからです。
「大いなる力には大いなる責任が伴う」これは『スパイダーマン』の言葉です。力を自分のためではなく、他者のために使う。これこそが、スーパーヒーローの条件であり、それ故にラクシュミは「パッドマン」という「ヒーロー」なのだと思います。
王を称えよ!バーフバリ!同じくインド映画という事で。
世界には、アベンジャーズがいる。という事で感想です。