ONE原作のWebマンガを、「アイシールド21」の村田雄介先生が作画した人気マンガ「ワンパンマン」。本作は、2015年に放送され、そのクオリティの高さから大人気を得たTVアニメの続編となります。私も前作は好きだったので、今回視聴した次第です。
ただ、正直に言えば、そこまで過度の期待はしていませんでした。それは皆さん同じだと思うのですが、理由は簡単で、制作会社、スタッフが大幅に入れ替わったから。前作が人気を博したのはその圧倒的なアクションであり、制作会社とスタッフがほぼ入れ替わってしまっては、その魅力が維持されているとは考えづらかったのです。冬アニメの「ブギーポップは笑わない」に1期のスタッフがそのまま移籍していたので、まぁおさえられなかったのでしょうね。
TVアニメ 「 ブギーポップは笑わない 」 オリジナルサウンドトラック
- アーティスト: 牛尾憲輔
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2019/03/27
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
このように、期待値を下げて視聴した本作ですが、その期待値コントロールが上手くいったのか、結構楽しく見ることができました。
まずはアクションについて。これについては、仕方がないのですが、やはりレベルは落ちています。前作は作画も迫力ある演出も良かったのですが、カメラワークも凄くて、引いたり寄ったり、縦横無尽に動き回りしてダイナミックなアクションを展開させていました。
しかし、本作ではそのような演出はあまり見られず、アクションをカットを割ったりして省エネを図ったりしており、比較的単調なアクションが多くなってしまっています。ただ、かなり頑張ってはいて、中にはおっと思うところも無いではなかったのですが、それでも大きく後退している点は否めません。
また、本作は連続したストーリーを展開した内容になっています。1期は前半は週刊少年ジャンプのバトルもののパロディ的な内容で、どんな強大な敵が出てきてもサイタマがワンパンで倒してしまうことがギャグになっていました。
「主人公が考えられないくらい最強である」という点はこうしたギャグものならば許されていたと思います。しかし、今回では比較的シリアスなストーリーを展開させてしまい(まぁこれは作品の長期化という性質上、仕方のないこととは思う)、それにより主人公であるはずのサイタマの出番がかなり少なくなってしまっているのです。よく「最強キャラは動かしづらい」と言われますが、本作では主人公に対してそれが起こってしまっているのです。
ただ、これには良い側面もあって、脇役の活躍をより多く描けるようになっているのです。これによって、1期では顔見せ程度だったキャラの活躍も見れたりして、これはこれで良い。
そして、2期で最もフィーチャーされたのがガロウ。彼は怪人に憧れ、「怪人になる」ことを夢に見ているという、サイタマや周りの人間とは正反対の男。「怪人がヒーロー以上である」ことを証明するためにヒーロー狩りを行います。本作はこのヒーロー狩りと怪人協会の台頭が2本柱です。怪人が凶悪さを見せ始めたときに「怪人になる」ことを夢見る男が出てくるというのは面白く、ヒーロー協会の腐った体制も明らかになってきたので、ガロウの存在が既存の概念を揺るがす展開になるかと思ったのですが、そんなことはなかったですね。こういう相対化はヒーローのクズぶりとか、善意ある怪人を描いてこそ説得力を持ちますが、本作にはそういう描写はなく、ガロウの考えに共感しづらいです。強いて共感できると言えばガロウが受けた同調圧力やいじめです。
ただ、これはこれでサイタマと対比されているような気がしないでもないので、キングが言ったように、「最高のヒーロー」を目指すサイタマの姿勢がより強調されるように見えてきます。
尺の都合上、色々と半端に終わった本作ですが、3期があれば、「サイタマがどんなヒーローになるのか」とか、ガロウの結末とか、怪人協会とか、諸々の決着がつくと思うので、次あったら見ますよ。ただその時はスタッフを1期に戻してほしいな・・・なんてのは今のスタッフに失礼だな。
同じONE原作作品。こっちはスタッフは大きくは変わらず、むしろ前作よりもクオリティの高いアクションを見せてくれました。
こっちもアクション。こちらも素晴らしかった。