2016年に第1シーズンが放送された『モブサイコ100』の続編。私は原作は読んでいませんが、第1期は大変面白く見ていたし、2期にあたってスタッフの大幅な変更も無かったので、続編の本作も楽しみにしていました。
見てみると、本作は第1期で描いたことをさらに深化させ、モブの精神的な成長をしっかりと描いたもので、「前作の積み上げをさらに発展させる」という意味ならば、理想的な続編だったと思います。
モブサイコ100 Blu-ray BOX (初回仕様版/3枚組)
- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- 発売日: 2018/12/19
- メディア: Blu-ray
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原作の構造は、基本的には原作者ONEのもう1つの代表作『ワンパンマン』と同じ。主人公は見た目は完全に「モブキャラ」のそれなのにも関わらず、他を圧倒するほどの力を有しているというもの。所謂「俺TUEEE」や、「舐めてた相手が超強かった」ものであるとも言えますが、どちらかと言えば『ワンパンマン』と同じく、作風はややコメディ寄り。ただ、『ワンパンマン』と違う点があるとすれば、それは「強い力があることは、イコールで幸せなのか?」という問いかけをしている点でした。主人公である影山茂夫(通称モブ)は強大な力を持ちながらも、それに頼ろうとせず、自分を成長させようとします。そのために肉体改造部に入ったりして、交遊関係を広めていっていました。
今回の第2期では、そこをさらに掘り下げた内容になっています。そのために、霊幻からの自立を描きましたし、2人の男と相対しました。それは中ボスの最上啓司と、ラスボスの鈴木統一郎です。彼らはそれぞれがモブの裏返しです。最上は「人の縁に恵まれなかったモブ」であり、鈴木は「力に奢ってしまったモブ」なのです。本作では、この自身の2つのダークサイドと向き合い、打ち克つことでモブというキャラクターの成長を見せていきます。ここで強調されるのは、「どんなに力を持っていても、それを使う者の心が正しくなければならない」事であり、そして同時に、それらを育むのは、「その人間の周囲との関わり方なのだ」ということです(最上は人の縁に恵まれなかったし、鈴木は人を見下し、交流を持とうとしなかった)。
これは、1つのヒーロー論としても素晴らしいものだと思っています。昨今公開されているMCU作品等に代表されるアメコミ映画のヒーローは、力だけではなく、そこに自分なりの正義の心があるからヒーローになれるのだし、「仮面ライダー」だって改造人間ながら、正義の心を持っているからこそヒーロー足り得ているのです。本作におけるモブは、これらのヒーローと同じだと思います。
また、本作を語る上で欠かせないのがボンズがガチでやっているアクションシーン。超能力バトルがメインなので多彩なアクションが展開され、そのどれもが圧巻のクオリティなのです。
例えば、第1話のような枚数を使いまくったアクションシーンや、5話で見せた縦横無尽に動き回るカメラを用いた劇場版レベルのダイナミックな戦闘、かと思えば島崎戦で見せた背景を次々に変え、5話とは違って体術を存分に使い、それを多彩なカメラワークで追ったアクション等、本作そのものがアニメーションにおけるアクションの見本市のように多様なアクションを見せてくれます。島崎戦に関しては『劇場版ドラゴンボール超 ブロリー』レベルだと思っています。
このように本作は、1つの「主人公論」としても素晴らしく、さらに眼福極まりないアクションを見せてくれるという、満足度がめちゃくちゃ高い作品でした。
超絶バトルを見せてくれる映画。『ドラゴンボール』最高傑作でしょう。
同じくボンズ制作の作品。こっちは最後以外は良かったです。