暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2021年新作映画ベスト10

 2021年ももう終わり。ということで、毎年恒例、新作映画の年間ベスト10を発表したいと思います。今年観た新作映画は105本(映画館&配信)でした。この中から、私が「好きだ」と言える映画10本をランキング形式で発表していきたいと思います。では、行ってみよう。

 

10位『劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト

 「再生産」から「始まり」へ。

 「映画館で映画を観る」ことは特別な体験であることは映画ファンならば知っていると思いますが、本作はそのさらに上をいきます。本作は「映画」であることを作品そのものが自覚し、「舞台少女の卒業」というレヴューを「観客が観る」ことで初めて作品が完成されるという、今まで味わったことのない奇妙な、しかし「映画館でしかできない」体験をさせてくれた作品でした。また、日本の劇場アニメ(しかもTVアニメの劇場版)で、あそこまでシネスコ画面を効果的に使ったレイアウトを見ることは中々ないと思います。

 

9位『17歳の瞳に映る世界』

 望まない妊娠をした女子高生と、彼女の友人が、中絶をするためにニューヨークを目指すロードムービー。その旅模様を言葉少なめに、役者の些細な表情と繊細な映像で綴ります。非常に映画的な内容ですが、その中身は女性が世界で受けている抑圧を強烈に画面に映し出しています。主人公のオータムは、常に鬱屈とした表情をしており、それがこの世界で女性が受けている抑圧を表しているような気がしていました。

 

8位『最後の決闘裁判』

 リドリー・スコットが、自身が監督してきたような「男と男の決闘」にメスを入れた傑作。あの手の映画で、如何に女性の意見が無視されてきたかを克明に描き、中世より現代に続く男性社会の中における女性の苦しみを浮かび上がらせます。そしてそれは同時に、『羅生門』を始めとした語り口にもメスを入れ、映画史を振り返る行為にも繋がると思います。

 

7位『DUNE/デューン 砂の惑星

 「映画館で映画を観る」ことがこれほど素晴らしい体験になるのか、ということを再認識させてくれた作品。IMAXで観ることで、本作のSF世界に没入することは、至福の体験でした。「映像」を撮るドゥニ・ヴィルヌーヴの本領発揮といったところです。

 

6位『この茫漠たる荒野で』

inosuken.hatenablog.com

 可能ならば、これは映画館で観たかった。現代の分断と南北戦争の分断を重ね、その中でもニュースという真実で以て世界を繋ぎとめようとする主人公の姿勢に胸をうたれた。西部劇としても面白いし、異文化との相互理解の話としても面白い作品でした。ラストの〆方も品が良くて好き。

 

5位『街の上で』

 今泉力哉監督作。全ての時間が至福であり、「もっとこの時間に浸っていたい」と感じた1作。出てくる登場人物全てが愛おしく、「観ている間の幸福度」という点では今年1かも。

 

4位『プロミシング・ヤング・ウーマン』

 この世界全てを告発する、挑発の映画。画面はポップで、エンタメとして描いてはいるけれども、それすらも罠。観終わった後、全ての意味が分かり、我々(特に男性)は呆然とするよりかはないと思います。「世界観を変える」という点では、今年1。

 

3位『ドライブ・マイ・カー』

 濱口竜介監督作品。『街の上で』とは違った意味合いで、映画の時間に浸っていたいと思う作品。原作に加え、「ワーニャ伯父さん」「ゴドーを待ちながら」の要素を増幅させ、濱口監督らしい、「コミュニケーション」の映画にしていました。これも観ている間の幸福度が高い1作。

 

2位『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党集結』

inosuken.hatenablog.com

 「映画に浸っていたい」という幸福度ではなく、こちらはエンタメとして最高の1本。登場人物全てが少し馬鹿で最高としか言えない。ジェームズ・ガンのトロマ魂が炸裂した悪趣味極まりない画面や演出もノリにのっていて、「最高」としか言えない作品でした。

 

1位『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

inosuken.hatenablog.com

 「今年の1位は?」と聞かれたら、間違いなく本作を挙げる。庵野秀明という監督の新たなる旅立ちを謳った作品。「エヴァ」という呪縛から、庵野監督自身はもちろん、我々ファンすらも解き放った傑作です。私の旅も、1つ終わりを迎えたのです。

 

 他に、ベスト10に最後まで入れるかどうか悩んだのは、『アメリカン・ユートピア』、『ファーザー』、『あのこは貴族』、『花束みたいな恋をした』、『すばらしき世界』、『CALAMITY』は入れるかどうか迷いました。

 

最後に。

 こうして見てみると、今年は「映画館で映画を観る」ことの重要性を実感した年だったのかなと思いました。選出した作品は、本当に「映画館で観て良かった」と思えた作品ばっかりなので。ただ、今年は配信の映画は全く観られなかったので、2022年はもっと配信も観たいと思っています。感想書けてない作品は早く書きます。それでは。