暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2021年夏アニメ感想④【かげきしょうじょ!!】

かげきしょうじょ!!
 
☆☆☆☆★(4.6/5)
 
 斉木久美子先生原作、白泉社の「MELODY」にて絶賛連載中の同名タイトルをアニメ化した作品。タイトルに「!」が2つ付いていますが、これは本作の前進となる「かげきしょうじょ!!」が連載されていたジャンプ改が休刊になってしまい、今のMELODYで連載が再スタートしたためです。原作は未読です。とりあえず、最初に情報を見た時は「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」的な作品なのかなという印象を持ち、見てみるか、という軽い気持ちで視聴しました。そしたら「レヴュースタァライト」とは全く違う「ガラスの仮面」的な作品で、今期No.1作品になってしまったのですから驚きですよ。
 
 本作のメインキャラ(100期生)は7人。入学式から始まり、そこから各キャラ回をやってキャラを深掘りしていきます。そして最後に「ロミオとジュリエット」のオーディンションを経て、最終話になります。この構成がとても上手い。視聴者に各キャラがどのような思いで紅華音楽学校に入学してきたのかを分からせ(同時に「推し」を作り出す)、その上で初めて「役を得る」オーディンションという試練を受けさせる。これでまず、視聴者には「推しに合格してもらいたい」と思わせることができているわけです。で、結果発表に対する各々の感情(成功や挫折)もより一層感じ取れるわけです。この「感情移入のさせ方」が凄く上手かった。
 また、本作でよかった点は、努力している彼女らを、突き放したりしない点。彼女らの努力は実らない時もあるし、苦しむときもあるのですが、そんなとき、常に誰かが寄り添ってくれるのです。そして、彼女らの努力を絶対に否定しない。寧ろ、「あなたの努力は、ちゃんと誰かが見ているよ」と、さりげなく言ってくれるのです。この優しい視点が素晴らしかったですし、何より安心して見れた。どのエピソードも良くて、だいたい泣いてた。
 
 本作は愛の視点で見ると、一本筋がくっきり見えてくるかな、と思っている作品で、愛は過去の経験から男性恐怖症で、紅華音楽学校に入っても孤独に、目標もなく生きていこうとしていました。マイナスな言い方をすれば、「避難」の場所だったわけで。そんな彼女が、さらさと出会い、目標を見つけ、終盤のオーディションに挑みます。結果発表は入学式の時と対になるように感情が描写されていて、愛の心境の変化がよく分かるようになっています。彼女にとって、さらさは親友であると同時に、スーパーダーリンだと思っていて、ここでも、「理解者がいる」ことの尊さが描かれています。後、別件なんですけど、キモヲタ君が出てきたときの、我々の偏見を上手く利用した演出にはやられたなと思った。彼の「好き」も、ステレオタイプ的なところに落とし込まない点も、現代の漫画だなと思った。
 
 作り的にも、宝塚を模した「音楽学校」という設定に誠実に向き合って作り込んでいて、声優さんの歌唱力をフルに使ったED、池田理代子先生の許諾をとって「ベルばら」を思いっきり出したり、「演技の演技」のレベルの高さとか、とにかくアニメで音と動きがある、という点を存分に活かしているなと思いました。原作の購入を真剣に検討中。
 

 

設定的に似てるなと思った作品。内容は全然違うけど。

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