暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2021年夏アニメ感想③【平穏世代の韋駄天達】

 
☆☆★(2.8/5)
 
 元々は天原さんが商業デビューする前にウェブサイト「新都社」にて発表していた作品を、クール教信者さんを作画に迎え、内容を再構成してヤングアニマルで連載している、という、中々複雑な経緯を持つ作品。私が見ようと思ったのは、制作がMAPPAだったから。また、クール教信者といえば、「小林さんちのメイドラゴン」や「旦那が何を言っているか分からない件」など、好きな作品を輩出している方であることも理由の1つです。
 
 クール教信者といえば、「小林さんちのメイドラゴン」のような異世界コミュニケーション、「旦那が何を言っているか分からない件」のような、「他者」とのコミュニケーションによって心地よい空間を作り出す作品が印象的な方ですが、本作は真逆で、魔物と韋駄天の殺し合いがメインで、前半は韋駄天による魔物の駆逐行為、後半は、逆境に立たされた魔物たちの逆転劇が、かなりの悪趣味グロ描写満載で描かれます(1話の性的暴行シーンはドン引きした)。さらに、全体的に倫理観がぶっ壊れている内容で、性交渉を繁殖のため&性処理のためとしたり、韋駄天側も国全土に監視体制を敷いていたりしています。そこには「コミュニケーション」という心地よい空間はなく、キャラデザとは真逆の、殺伐とした空気に満ちています。私は勝手に本作を、「平穏世代(=平和ボケした)韋駄天達のゆるゆるの日常が描かれるのかなぁ」とか適当なことを考えながら見始めたので、いきなりゴリゴリのアクションと、上述のような内容が始まったのには驚きました。
 
 殺伐とした雰囲気自体は悪くは無いのですが、どこか表面的なのが気になった作品でした。これは多分、イースリィとミク以外に主体性のあるキャラが少ないってのがあるのかなと思います。ハヤトは「強くなりたい」という脳筋キャラであるけれども、劇中ではイースリィの計画に乗って戦っただけだし、ポーラはいる意味がよく分からんレベルだったし、プロンティアとかリンは最強ではあるけれども、ハヤトと同じ感じでイースリィの計画に乗ってただけだし。魔族側も、ピサラとミク以外は、韋駄天側と同じ感じで、キャラが薄い。そんな彼らが、ただただ「宿敵だから」という理由で殺し合いをするというだけの話なので、ハッキリ言って面白味が薄い。1話の性的暴行シーンと、韋駄天は別に人間を助けない、的な発言、被害に遭うのがシスターという点から、神は人間を救わない、的な話に行くのかなとも思いました。それなら、この殺伐とした雰囲気にも合っていますし。ただ、そのへんはあまり深掘りされず、まさかの原作ストック枯渇に伴うブツ切りエンド。ちょっとどうなんだろ思いましたよ。アニオリでもいいから落とし前はきっちりつけてくれ。後、性暴力を割とこう、サラッと流しているのもアレな感じがする。
 
 ストーリーには不満が強い作品なのですが、その他の面は結構いい点があり、アクションですよね。あれはさすがMAPPAだなと思った次第です。また、本編以外では、OPとEDがとても良かった。OPは凄くカッコよく、EDはとてもかわいい。OPとEDを1度も飛ばさなかったのは今期では本作だけでした。2期あったら一応見ますけど、いつになるんだろ。