暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

「完全」と「不完全」の話【ミッチェル家とマシンの叛乱】感想

ミッチェル家とマシンの反乱

 
82点
 
 
 フィル・ロードクリストファー・ミラーの天才コンビのプロデュースによるオリジナルアニメーション映画。このコンビには裏切られた事が無いので、鑑賞しました。
 
 本作は「完璧」と「不完全」の映画だと思います。本作の主人公一家は、「完璧」を目指そうとしているのですが、どこかチグハグ。キャラデザとか着ている服もチグハグ。比較対象として「完璧」なお隣さんがいるのですが、あちらが意図的に「完璧」であるため、よりチグハグさが際立ちます。「不完全」という点で興味深いのは、ケイティが映画作家を目指し、自身の動画をせっせと作っている点。そして、映画自体が物凄く「動画っぽい」んですよね。編集の仕方とか、意図的にYoutubeとかで公開されている動画に寄せているシーンも多く、作品全体が「ちゃんとした」映画ではなく、そのへんにあるミーム動画っぽさを備えているのです。そこにテンポの良いギャグも入ってくるので、より「下らなさ」が強調されます。
 
 「完全」と「不完全」のテーマは本作の構図にも表れています。チグハグ一家が向き合うのが、「完全」であるAI、PALという点です。動機も「自分を蔑ろにした」というもので、要は嫉妬なんですけど、このPALが目指す世界は、「完全」なものです。しかし、それをチグハグなミッチェル家が、打ち砕く。まぁミッチェル家はビジュアル的にチグハグなだけで、最後にはチグハグだった心も一致し、ある意味「完全な」家族になるわけですが。私はこの辺に、「個人があるがまま、そこにいて良いのだ」的な多様性のテーマを見た気がしました。
 
 ただ、親父はダメだろと思います。いくら娘を想っているとはいえ、PCとかスマホを壊すのはやりすぎ(これが結果的に家族を救うきっかけになるとはいえ)。しかも大して反省してないし。ケイティがいくら許しても、これは看過できなかったな。