暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2021年冬アニメ感想⑧【ホリミヤ】

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☆☆☆★(3.8/5)
 
 
 「堀さんと宮村くん」を原作とした「ホリミヤ」のアニメ化作品。実写で映画化、ドラマ化も同時にされており、多角的なメディア展開がなされています。私は本来的にはこの手のジャンルは専門外というか、基本見ないのですけど、監督が石浜真史さんだったこともあり、「まぁ見てやるか」程度の気持ちで見始めました。そしたら一風変わった感じの青春アニメで、大変満足して見ました。
 
 本作の中心は宮村です。序盤で孤独だった宮村が堀さんと出会い、周囲の人と交流を持ち、友人を獲得し、学校生活を楽しむ姿を描きます。この宮村から分かることは、「人間関係を結ぶこと」の大切さだと思うのです。本作には、「見た目」という要素が大きく関わってきます。宮村は根暗な「見た目」故に孤立しており、その宮村から見た石川君や堀さんは、所謂「イケてる」グループとして認識されていました。しかし、宮村の中身を見て、本当の意味で宮村を「知って」くれた堀さんを突破口にして石川君や吉川さん、生徒会の面々などと交流を深めていきます。前半は、こうして宮村が交流関係を構築していく様と堀さんとの仲を深めていく様が並行して描かれます。面白いのが、後半でも宮村が自分をいじめていた奴を赦すという展開があるんですよね。ここにも、他者を別の側面から見て、もう一度関係を結ぶという点が描かれています(まぁ俺だったら絶対に赦さんが)。
 後半からは固まってきた人間関係の中で各キャラクターが掘り下げられていきます。その姿は私のようなアラサーには大変まぶしく、また少しだけ懐かしくなる光景でした。というのも、ここで描かれているのは何てことない日常生活の中で時折フッと沸くちょっとした感情の動きとかなんですよね。それは恋愛感情だったり、宮村の過去のいじめとか暗い経験から来る黒い感情だったりするんですけど、それらをしっかりとつかんで描いてみせているのですね。本作は青春モノでありながら学校行事がほぼ描かれないという特異な点があるのですが、その代わりにこういった繊細な心の機微をしっかりとらえていて、それ故に、我々もどんな形であれ通過した「学生時代」というかけがえのない時間を思い出させるのです。
 
 こういった「日常」を宮村が手に入れられたのは、堀さんのおかげでした。堀さんは宮村を外見で判断せず、関係の構築に踏み込んでくれました。最終話でも宮村が言及していましたが、もし、何かのかけ違いで堀さんが声をかけてくれなかったら、もし、誰か1人でも欠けていたら、宮村はあの日常を手に入れることはできなかったと思います。そうしたら、ifの世界のように、そして過去の宮村のように、「無色な、何も無い高校生活」になってしまっていたと思います。人間関係を獲得したからこそ、宮村はかけがえのない時間を過ごせたのです。
 
 これは現実でも割りと言えることで、友人なり会社とか学校の先輩なりの人と関係を結んで、それによって人生というのは充実していくものなのです。そしてそのためには人と関わらなければならない。偏見や見た目を乗り越えて、関係を結べば、新しい世界が開けたりするものなのです。この点をちゃんと描いている本作は、なかなか良い青春ラブコメだと思います。唯一不満があるとしたら、卒業後の進路をちゃんと見せてくれなかったこと。彼ら彼女らが好きになっていただけに、卒業後、将来は何をしているのか、までを示してほしかったなと。そこだけが残念。
 

 

とりあえず青春&学園ものをば。

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