暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2021年冬アニメ感想⑦【Re;ゼロから始める異世界生活 2nd season(第2クール)】

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☆☆☆★(3.6/5)
 
 
 昨年の夏に放送された、「Re;ゼロから始める異世界生活2nd season」の第2クールとなります。第1クールではスバルの内面を掘り下げてゆき、自暴自棄になりかけていたスバルが「他者を信頼する」ことで目的を達成する決意をするまでを描いていました。
 
 本作では、スバルではなく、エミリアの内面を掘り下げてゆきます。これまで、割と謎だったエミリアの過去が、彼女の封印を解くことで明らかになり、第1クールにてスバルがやったような、過去と向き合い、前に進むまでを描きます。そしてそれと並行して、同じく割と謎だったロズワールの思惑と、ベアトリスの過去も明らかになります。要はこの2nd seasonというのは、各キャラクターの内面を徹底的に掘り下げてゆく話だったのです。そのため、話の規模は非常に小規模。舞台は第1クール冒頭を除けばアーラム村とロズワール邸に固定されています。
 
 これは第1クールとは対照的です。第1クールはスバルが異世界に来てから白鯨、そしてベテルギウスとの決戦までを描いていました。そこではストーリーが進むにつれて世界のシステムや都が明らかになってゆき、世界が広がってゆくダイナミズムがありました。しかし、第2クールは違います。舞台は固定され、代わりにキャラを徹底的に掘り下げてゆくという、非常にミニマムな中で物語に厚みが加えられてゆくのです。

 

Re:ゼロから始める異世界生活 1 (MF文庫J)

Re:ゼロから始める異世界生活 1 (MF文庫J)

 

 

 そしてこの点こそが、本作の最大の特徴なのかもしれません。普通、異世界転生モノでは、「世界の謎」を紐解いてゆくという展開が主流です。確かにキャラクターの掘り下げは行われますが、本作ほど深くは行いません。本作は、「ループもの」という「同じシチュエーションを何回も行える」という設定を最大限に活かし、数多くのIFストーリーを作り上げ、キャラの多彩な側面を描き出し、キャラクターを深く描いてゆきます。これは「タイムループもの」としても特異で、基本的には過去改変の術として扱われるこのループ能力を、「現状打破の手段」として用いているからこそできることだとも言えます。つまりこの「2nd season」は、「タイムループによって各キャラの内面をこれでもかと掘り下げる」という本作の最大の特長が如実に表れた作品だったと言えます。
 
 ただ、それ故に問題があるのも確かでした。これは第1クールを含めての問題なのですが、とにかく話が動かない。第1クールから通算して、20話くらいまではスバルが立ち直ったりロズワールの過去が明らかになったりエミリアが前向きになったりがよく言えば丁寧に描かれていくのですが、それ故に物語がずっと似たようなことをしているため、停滞感が凄い。第1期ではこの溜めからのカタルシスが綺麗に、短期間に決まってくれたのでエンタメとして面白かったのですが、本作では溜めがあまりにも長いため、視聴完了までに大分時間がかかってしまいました。ただ、これは既に人気を確立してるが故のスタンスとも捉えられますし、これからのことを考えるならば必要な下りでしょうし、人気がある今のうちにやっておくという選択はありだと思います。
 
 そしてもう1つは、とにかく話が入り組み過ぎということ。話の大雑把な方向性としては各キャラの過去を掘り下げ、スバルとエミリアが一大勢力を築き上げるまでの物語だと理解したのですけど、その過程において、どんどん謎が積み上げられていって、私はそれを処理できなかったんですよね。だから、ロズワールが何を企んでいるのか最後の方までよく分からなかったし、そのためにスバルや他のキャラが何を目的にして動いているのかがよく分からないまま見ていました。そのため、私の話の理解としては、「何かロズワールが企んでるっぽいからそれをスバルが何とかして食い止めようとしている」くらいの薄ボンヤリとした感じでした。
 
 何故このような感じになったのかと考えてみると、1つは私の理解力の不足があると思うのですが、もう1つは本作の特長であるループ能力があるのかなと。1つの事柄を解決するために何度もIFルートを見せられ、そしてその度に謎が深まってゆくという作りは、キャラや設定の説明、深掘りとしては良いのかもしれませんけど、どんどん話が複雑になってゆき、目的が曖昧になっていった印象を受けました。これは上述の本作の特長と表裏一体であるため、悪い意味でも本作の特長が出てしまったのかなと思いました。
 

 

第1クール。

inosuken.hatenablog.com

 

 ループものその2。

inosuken.hatenablog.com