暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2020年秋アニメ感想②【体操ザムライ】

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☆☆☆☆(4.2/5)
 
 
 当初ノーマークだった作品。TL上で話題になっていたので、ネットフリックスにて視聴しました。制作はMAPPAで、監督は本作が初となる清水久敏さん。オリジナルアニメーションであり、キービジュアル見てもそこまで期待できそうな内容ではないなと思ったので、視聴リストから外したのですが、視聴してみると、非常に丁寧に作られている作品で、今期の中でもかなり面白い作品でした。
 
 1話を見た時の印象は「凄く変なアニメだな」でした。全盛期を過ぎた体操選手・城太郎が引退を撤回するまでの話なのですが、妙に話のトーンが緩くて、しかも江戸村で自称「ニンジャ」のイギリス人・レオナルドが出てきて共同生活をするというもの。このあまりに突飛な展開から、始めは「サムライフラメンコ」枠かと思っていました。あれも超変な作品だったからね。しかし、話が進むにつれ、城太郎の人間として、選手としての成長や、レオナルド、鉄男の心情を丁寧に描き、同時に玲のジュブナイルものとしてもしっかりと作っているという、「ちゃんとした」ヒューマン・コメディでした。

 

 

 感心したのが作中の体操シーン。これまでMAPPAが培ってきた作画力と3DCGの力をフルに発揮させていて、画的に違和感のないものしていましたし、同時に、着地の間の取り方とか、競技中の時間の使い方とかが、本物の体操を見ているような気にさせられます。これは私が素人だからというのもあると思うのですけどね。
 
 ただ、これらはアニメーションであり、「技の優劣」まではアニメーションにすることは難しいと思います(着地失敗とかはできると思うけど)。それを実況とかキャラの解説で上手い・下手を印象付けるというのが王道ですけど、本作で感心したのが、技の練習や課程をしっかりと描き、それによって技の上手さや優劣を印象付けていることです。城太郎を例に出すと、彼はまずこれまでの自分が如何に周りの人間が見えていなかったに気付き、そして天草の指導をしっかりと受け、「技を丁寧にする」ことを目標にしてトレーニングしている姿をしっかり映しているんですね。だから技にも説得力が生まれるし、「しっかりトレーニングしてきた」城太郎が足元にも及ばない鉄男がどれほど上手いのかが分かるようになっています。これには感心しました。一番良かったのは10話で、鉄男から城太郎へ観客の意識が向かっていく様を描いているものでした。
 
 全体的なストーリーも、才能と挫折、怯えを描いているもので、レオナルドと玲が互いを助け合う関係性(レオは玲と友達になり、玲はレオを精神的に救う)だったことも良かったなぁと思います。唯一不満点があるとしたら、尺の問題。ある程度まではしっかりと描けているのですが、やはり11話では作中で出てきた全てが網羅できておらず、ブツ切り感があるんですよね。もう1クールあれば、もっといろいろなものが描けたと思うんだよね。