暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2020年夏アニメ感想④【Re;ゼロから始める異世界生活 2nd Season(第1クール)】

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☆☆☆★(3.6/5)

 

 

 今期は、①4月に放送開始されたものの延期して夏に仕切り直して放送された作品と、②4月放送予定だったものの7月に放送開始そのものが延期された作品の2種類があるため、①に関しては「春アニメ」として、②に関しては「夏アニメ」としてカウントします。

 

 MF文庫Jから発行されている大人気シリーズの第2期。第1期は2016年に放送され、その面白さから大ヒット。現在のMF文庫Jを代表する作品になりました。制作は1期から引き続いてWHITE FOX。以前より「はたらく魔王さま!」や「少女終末旅行」など良作を生み出してきた会社です。私は1期から見ており、原作は買っていないのですけど、そりゃ続きは気になっていたので今回視聴した次第です。
 
 「リゼロ」という作品の最大の特徴は、スバルさんの「死に戻り」の能力です。これは要するにタイムリープ能力で、スバルさんが死亡すると発動し、「セーブポイント」まで戻るというもの。これはゲームっぽいといえばそうですし、それこそアドベンチャーゲームにおけるifルートやBADエンドルートの作りをそのまま作劇に利用したとも言えます。
 本作のスバルさんは若干運動神経がいいだけでその他は「死に戻り」以外の能力がない凡人です。そんな彼が、「死に戻り」を繰り返し、数多ある世界で失敗を繰り返し(BADエンド)、そこから学び、強敵を倒していく、というのが本シリーズの基本的な作りです。これは2016年くらいには流行っていた所謂「異世界転生」ものと言われるジャンルとは全く別の語り口でした。あの手の作品は、現実世界ではうだつが上がらなかったものの、異世界に転生したら大活躍。主人公が無双するかヒロイン相手にマウンティングするかして事件を大体解決してしまいますけど、スバルさんは違います。第1期の白鯨戦で顕著なのですが、最終的にスバルさんは多くの人から尊敬を得ます。しかし、その過程で何回も死に、恥をさらし、騙されました。そしてそこから学んだことで白鯨とベテルギウスを打ち倒したのです。こういった「最初から強い」のではなく、過去に何回も失敗したことから得た経験から強くなる、という作劇が「真逆」であると思う理由です。そしてだからこそ、スバルさんを全く甘やかしていないのも好印象でした。
 
 さて、ここから第2シリーズの話に入りますが、第2シリーズで私が良かったと思った点は2つです。1つは、スバルさんの過去が明らかになったこと。もう1つは第1シリーズから顕著だった「スバルの命は投げ捨てるもの」という考えを諭してくれる内容だったからです。
 1つ目ですが、これは第1シリーズからあった不満でした。スバルさんは口では「何もしてこなかった」と語りましたが、具体的に描かれているわけではありませんでした。だから、「話単位でのスバルの成長」は見ることは出来ても、シリーズ通しての「スバルの成長」をあまり実感することができませんでした。しかし、本作はそこをしっかりと描いてくれました。それが第5話で、スバルさんの過去を具体的に描いてくれ、第1シリーズの物語が遡って深みが増したと思います。後、引きこもりの心情がなかなかリアルでした。そしてそれが、第2シリーズ全体のテーマにも繋がっていきます。それが2つ目です。
 
 5話で明らかになったスバルさんの過去によって、彼が自分の価値を低く見積もっていることが分かり、それ故に半ば自暴自棄になって「死に戻り」を駆使していることが浮き彫りになりました。それは自己犠牲と言えば聞こえはいいですが、要するに「自分等どうなってもいい」という周囲の人間の気持ちなど全く無視した、独りよがりの考えです。これを諭すのが、第2シリーズのテーマです。これは第1シリーズのスバルさんの覚悟を引っくり返すことであるし、「独りよがりの考えを諭す」という点では「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」の展開を彷彿とさせます。こういう展開は流行りなのかな。だからこそ、最終話ではオットーがスバルさんをぶん殴って協力させろと凄んだわけですね。スバルさんに必要なのは、「抱え込むこと」ではなくて、「協力を仰ぐこと」なのです。これは、本作ではレムがいなくなったことで頼れる存在がいなくなった点が大きいわけですが。
 
 話自体は途中で終わっているため、このくらいしか感想を書けませんけど、ここからスバルさんがどう盛り返すのか。そして、ロズワールの狙いは何なのか、どうなるかは楽しみですね。