暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2019年秋アニメ感想②【ぼくたちは勉強ができない!(2期)】

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 春に放送された「ぼくたちは勉強ができない」の続篇。情弱なので事実上の分割2クールだとは知りませんでした。前作の感想で「2期もあったら見るかね」と書いたし、キャラは嫌いではないので視聴しました。

 

 本作に対する、私のラブコメとしての感想は前作の感想で書きましたので、そっちを読んでいただくとして、2期はかなり驚いた点があるので、そこについて思うところを書きます。

 

 それは、アニオリ(?)で特定のヒロインとのルートENDをやってしまったという点。現在も連載中の作品をアニオリで完結させるということはままありますが、ここまでやった作品は近年無いのではないでしょうか。ラブコメで最も注目されるのはどのヒロインが勝つ(=主人公と結ばれる)であり、基本的にどのヒロインと結ばれても大論争が巻き起こります(「いちご100%」、「ニセコイ」など)。原作者がやってもこれなので、アニオリでやってしまえば荒れるのは必至。だからか、原作が未完のラブコメアニメはだいたい「俺たちの青春はこれからだ!」みたいな感じで終わります。本作はこのタブーを犯してしまっているのでは、と思います。

 

 ただ、私はこの試みは面白いと思いました。というのも、こうしたことで、1つのラブコメ作品が一種ギャルゲーのように、媒体毎に個別のルートを作り出したと思うからです。そしてそれがファンに対する1つの救済にもなっています。これは原作が未完なのでまだ確定的なことは書けませんが、もしうるかが負けヒロインになってしまった場合、うるかファンは悲しみにくれ、作品が荒れる要因になるでしょう。しかし、こうして「TVアニメルート」を用意すればもう1つの「正史」を作ることができ、うるかファンを救済することができます。この点で、あのラストは面白い試みだなと思いました。

 

 ただ、あのラストにしたことで起こった弊害もあると思っていて。それは他の2人をややないがしろにしてしまったということです。本作は文化祭から一気に卒業、進学まで飛び、ラブコメとしての結末は「うるかが選ばれた」ことがぼんやりと示され、他の2人が成幸への恋心をどのようにして踏ん切りをつけたのか、がまるで描かれません。特に理珠は2期になってもそこまでラブコメ的な活躍をしてないのもあって、ちょっと味気ない印象を受けます。一応、うるかは超奥手だったから、ようやく自分から行動を起こしたってことで話をまとめたかったのかな。

 

 もう1つの可能性として、「原作の結末を過程をすっ飛ばして見せた」というのもあるとは思いますが、これに関しても上述の点をカバーすることはできないと思います。というか、無駄にネタバレしただけな気もします。

 

 また、話の内容も、1期からのテーマ、「出来ることでなく、やりたいことに向かって頑張る」をちゃんとやっていたかなと思います。全話通してのハイライトは文乃と父親の和解だと思うのですが、あそこには本作のこのテーマが凝縮されていたように思います。そして、唯一「やりたいこと」がなかった成幸が自分の夢を見つけるというラストも一貫性があるなと思いました。

 

 以上のように、強引ながらも話をまとめましたし、それ自体は面白いと思います。ただ、強引ゆえに思うところがあったのも事実な作品でした。3期はあるのかな?無いのかな。