暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2019年夏アニメ感想⑤【荒ぶる季節の乙女どもよ】

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 別冊少年マガジンにて、2017年1月号から2019年10月号まで連載された漫画のアニメ化作品。原作は岡田磨里、画は絵本奈央。アニメ化にあたり脚本は漫画から引き続き岡田磨里が務めています。制作会社は「RELEASE THE SRYCE」などのLay-duce.監督は「花咲くいろは」でも岡田磨里とタッグを組んだ安藤真裕。私は原作は未読で、安藤監督と岡田磨里に惹かれ視聴しました。

 

 本作は表面上はこれまで岡田磨里が手掛けてきた作品と同じく、ちょっと拗らせ気味の少年少女たちの青春ストーリーです。しかし、その中身で決定的に違う点は、アニメではあまり取り上げられることのない「性」が前面に押し出されている点。昨今の深夜アニメ作品には、たとえラブコメであっても性の匂いがほとんどせず、非常に透明なキャラばかりです。それを究極的なまでに高めたのが京アニだと思っているのですが、その他の作品でも、視聴者サービスとしてのHシーンはあれど、そこに性欲といった生臭さはありません。

 

 

 翻って本作では、アニメが意図的に避けてきた「性」を押し出しています。(主に曾根崎先輩のやっかみから)「純潔」を絶対の信条としてきた文芸部の女子5人が初めて「性」を意識して、翻弄され、新しい感情や、全く知らなかった自分を発見するまでを描きます。ここでは男の存在は彼女らの成長を促すため、そして彼女らの反応を引き出すための触媒のような存在で、他のアニメと比べるとややテンプレ的なキャラが多い気がします。一番ヤバいのが杉本で、男の無意識下のどうしようもない面を一手に引き受けていました。彼らの存在によって、女子、若しくは女性の「男に対する反応」を描いたのだと思います。思いますというのは、私は男であり、女友達も少ないので、この辺の苦労はニュースやブログで想像するしかないからです。ごめんね。この意味で本作は、「青春」というよりも、同じく岡田磨里脚本の「放蕩息子」のような、「思春期ストーリー」であると思います。

 

 ラストはこれまで純潔を貫いてきた彼女たちが、真っ白な校舎にぐしゃぐしゃにペンキを塗りたくるという、「穢れ」であったはずの性を肯定したもので、私は清々しさを感じました。しかもそこには男の姿は存在しない。完璧な女の園であるというね。この意味でも本作は、「女の子」の話であると思います。

 

 まだ自分たちが知らないことを知り、それに翻弄され、新たな感情を知る。これは紛れもない思春期の話だと思います。そして、ここまで女子高生の思春期を前面に押し出し、「女の子」を描くことのできる岡田磨里さんは、アニメ業界の中では非常に重要な存在だと思いました。最後に、ラストのアレはえすいばつってことでいいんだよね?やりすぎだぞ、マリー(笑)。

 

 

岡田磨里脚本作品。

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 岡田磨里、まさかの監督作。

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