暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

超絶アクションシーンの連続。中国アニメもここまで来た!【羅小黒戦記】感想

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96点

 

 

 中国産アクションアニメ。MTJJ木頭先生が原作で、同時に本作の監督も務めています。公開してしばらくは私は存在すら知らず、初めて知ったのは例によって名アニメーター、井上俊之さんの絶賛ツイートでした。そこから高評価の声が続々と聞こえてきてがぜん興味が湧き、池袋HUMAXシネマにて、3週間前からチケットを購入して鑑賞してきました。

 

 本作は、妖精のシャオヘイと人類のムゲン、2人が共に行動し、理解し合い、絆を深め合っていくロード・ムービーです。そしてそこに、現代的なメッセージも内包されています。それは言うなれば、「人間と妖精の共存」で、シャオヘイとムゲンの2人に託されています。中身は言ってしまえば「ゲゲゲの鬼太郎」のような話で、「元々妖精が住んでいた土地に人間が土地開発を進め、そのせいで妖精の住む場所がなくなってしまった」というもの。中国は開発がどんどん進んでいる国で、環境汚染もひどいという点を考えれば、映画のこの点にはタイムリーなものを感じます。そして同時に、日本でも同じような話が山ほどある点を考えれば、「どこの国も根本的には変わらないんだなぁ」と思わせられます。そしてこの点をさらに深掘りしていくと、現在の分断が進む世界や、中国がやっているようなことに対するアンチ・テーゼ的な点も見えてきます。

 

ゲゲゲの鬼太郎(1) (コミッククリエイトコミック)

ゲゲゲの鬼太郎(1) (コミッククリエイトコミック)

 

 

 そしてこのメッセージの提示の仕方も上手いなと思いました。まだ子どもであるシャオヘイの視点を使っているのです。彼の視点は、基本的に観客の視点であり、観客はシャオヘイと共にこの世界について知っていきます。だからこそ、作品のメッセージをきちんと受け取ることができるのです。

 

 本作は、森の中で休んでいたシャオヘイが、(おそらく)人間による森林伐採で目覚め、猛スピードで森の中を駆けるシーンから始まります。ここで観客は、アクションに感嘆すると共に、シャオヘイが人間を憎む気持ちを理解できてしまうのです。そして同じく人間のせいで土地を追われたフー・シーと出会い、ようやく仲間ができた、と思ったらムゲンが来るのです。この時点ではシャオヘイにとって、そして観客にとってはムゲンは完全に「敵」であり、このマイナスからのスタート地点故に、ストーリーが進むにつれて彼を理解することで印象がひっくり返るのが面白いし、人間と直に触れ合うことで、「人間にも良い奴はいる」と知ります。そして同時に、最初に感情移入させたことで、「人間憎し」の主張にも共感できる作りになっているのです。つまり本作は、極めて自然なストーリー運びで、相互理解と、勧善懲悪ではない敵対関係を描いているのです。

 

ドラゴンボール超 ブロリー [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
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 そしてもう1つ特筆すべきなのが、キャラの魅力です。主人公のシャオヘイは所謂ツンデレショタであり、所作が一々可愛いんですよね。そしてもう1人の主人公であるムゲン。最強で天然でイケメンという文字通りチートキャラで、普段は反応が薄いのですが、バトルになると有無を言わせぬ強さで敵を一蹴したり、かと思ったら天然を発揮するなど、カッコよさと笑い、圧倒的存在感を出しています。私は彼にやられてしまいました。

 

 そして何と言っても、アクションシーンです。日本アニメのいいとこどりで、観ているだけで気持ちのいいものなのです。まず、純粋なアクションとしてクオリティが高く、キャラの動きが躍動感あふれるものになっており、ハイスピードなバトルが次々に展開されます。私が連想したのは「NARUTO」と『ドラゴンボール超 ブロリー』です。キャラが縦横無尽に動き回るスピード感溢れるバトルを、カメラワークと迫力あるエフェクト、そして気持ちよく再現された体術を以て描いているのです。また、勢いだけではなく、一瞬のタメも多用しており、1つ1つが洗練されていて、快楽です。公式が動画を挙げているのでリンクを貼っておきますね。

 


《羅小黑戰記》電影版 無限登場 THE LEGEND OF HEI

 

 このリンク動画の内容ですら序の口でしかなく、本編ではこれを超えるアクションが矢継ぎ早に繰り出されます。それこそ、『ドラゴンボール超 ブロリー』クラスものものあります。これを観ているだけで気持ちよく、快楽の中に浸ることができます。

 

 また、もう1つ特筆すべき点として、能力バトルものとしての面白さがあります。「HUNTER×HUNTER」のようにルールがあり、キャラはそれに則って、きちんと戦っているのです。しかも能力者は後半になるにつれて『ジョン・ウィック』における殺し屋張りにどんどん出てくるため、世界観がより奥行きのあるものとして観れたと思います。

 

 以上のように、本作は、凄まじいアクションに目が行きがちですが、細かな演出やギャグ、そして全体のストーリーもかなり良くできている作品でした。劇場で是非観てほしい作品です。

 

 

同じくアクションがすさまじいクオリティの作品。

inosuken.hatenablog.com

 

 同じくアクションが半端ない作品。ちなみにTVアニメです。

inosuken.hatenablog.com