暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

2019年夏アニメ感想①【からかい上手の高木さん2】

f:id:inosuken:20190926221243j:plain



 

 からかい上手の高木さんと、健全な男子中学生西片の、からかい勝負という名のイチャつきぶりを眺めるという、幸せな気分にしかなれないアニメが帰ってきました。私は原作は未読なのですが、昨年放送された1期は、当時荒んでいた私の心を癒してくれた作品であり、大変気に入っていました。そんな作品の続篇ということで、そりゃ視聴決定ですよ。

 

 今思えば、昨年の1期は、非常にオーソドックスな内容だったのかなと思います。私は原作を読んでいない分際なのですが、本作の軸は高木さんと西片のからかい勝負という名のイチャコラにあるわけです。高木さんという絶対的な美少女が(好意込みの)からかいを西片に行い、それを中学生男子特有のリアクションで受ける。この構図を楽しむのが、本作だと思います。後はまぁ、それっぽい頭脳戦はありますが、それは高木さんがどれだけ西片より上手なのかを示す事にしかなっていません。1期は、この点をしっかりと見せていたと思います。

 

 

 翻ってこの2期は、より2人の関係を深める方に話の軸を持ってきています。それは、全12話かけて、高木さんと西片の距離を(物理的、少しだけ精神的に)ゼロセンチメートルにするという内容です。

 

 そう考えると、本作には「距離」にまつわる話が多いことに気付きます。まずは第1話の最初のエピソード、「教科書」では、教科書を忘れた西片が、高木さんの提案で机を並べて教科書を見せてもらいます。ここで机を並べた時、2人の距離が物理的に縮まるのです。そして、その後の話でも、2人を並んで捉えたカットが多いです。そしてそれらはほとんどに微妙な距離があります。この2人の距離は様々なもので表されます。例えば、第9話の「メール」では、離れていても何となくやり取りする2人の姿が映されます。

 

 そしてそれらの距離は、一瞬だけ変化を見せます。それが7話の林間学校と、8話の「宝くじ」、9話の「お悩み」です。7話では、「一緒に踊った2人は結ばれる」というキャンプファイアーで、互いを意識しながらも結局は踊れなかった2人が描かれます。この少し開いた「距離」の後に、2人で星を見るというイベントが発生するのです。そこでは、2人の距離は縮まり、まさに「ゼロセンチメートル」です。そして8話「お悩み」では悩みを抱えている高木さんに対し、西片がちょっとした優しさを見せ、ちょっとだけ高木さんを意識してみせます。しかし、ここで重要なのが、2人の距離は以前のままだということです。そこに来て9話の「宝探し」では、2人でイヤホンを聞くというこれまた別の意味での「ゼロセンチメートル」が描かれます。

 

 

 正直、あそこまでやられれば、「もうくっつけよ・・・」と思わずにはいられませんが、この2人の関係性は、中々変化しません。具体的に言えば、高木さんのアプローチを西片が照れからかわしているのですが。

 

 この2人の関係が最も強く出ている点が、「手を握る」ということです。劇中、何回か高木さんは西片に手を握ろうとさせます。それは第1話の「水切り」から始まっています。あのエピソードで、西片は事故的に高木さんの手を握りました。そしてそれから何度も高木さんは西片に手を握らせようとからかいます。しかし、西片は照れから自ら握ろうとはせず、握っても勝負の一環としてです。この「手を握れるけど、握ろうとしない」という点は、くっつきそうで中々くっつかない2人を象徴しているようです。

 

 そうして、付かず離れずを繰り返してきた2人の関係が前進するのが最終話「夏祭り」です。最初こそ2人で祭りを楽しんでいましたが、最後に西片は高木さんを見失い、完全に「離れて」しまいます。そして、西片は遂に自分から能動的に高木さんを探しに行くのです。そうして再び巡り合った2人は、遂に、本当の意味で「手を繋ぎ」ます。ここで、本作が1話の「事故的に手を繋ぐ」から最終話の「自分から手を繋ぐ」に至るまでの、2人の手の距離がゼロセンチメートルになるまでの話だったことが分かるのです。

 

 高木さんはもちろんですが、西片や、もちろんサブキャラクターも魅力的で、スタッフの愛と気合が伝わってくる作品でした。作品の魅力を存分に出したという点で、本作は非常に魅力的なアニメだったと思います。

 

 

1話だけですが、前作の感想です。

inosuken.hatenablog.com