暇人の感想日記

映画、アニメ、本などの感想をつらつらと書くブログです。更新は不定期です。

複数のジャンルを含んだ海洋アクション映画【ジョーズ】感想

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 スティーブン・スピルバーグが生み出した傑作サメ映画。上映当時はあまりにショッキングな内容だったため、本来なら「顎」の意味である「JAWS」がサメの代名詞になってしまったり、モデルのホオジロザメそのもののイメージすら塗り替えてしまいました。そんな名作である本作ですが、例によって私は観たことがなく、いつか観ようと思っていました。そして今回、遂に午前十時の映画祭で上映されるということで、喜び勇んで鑑賞しました。

 

 本作は様々なジャンルに分けることができます。「人間がサメに襲われる」というパニック映画として、「サメが襲ってくる」というスリラー映画として、そして3人の男達がサメと戦うアクション映画として、色んなジャンルで観ることができます。

 

 このように、ジャンルは多用ですが、構成は大きく2部構成になっています。「正体不明の何か」に人々が襲われる1部、「3人の男達」がジョーズと対峙する2部です。

 

 第1部は、パニック映画、スリラー映画にジャンル分けされます。まだ全貌を現していないジョーズが人々を1人、また1人と血祭りにあげていく様を恐怖感たっぷりに描いていきます。この恐怖の煽り方が本当に上手いのです。『激突!』の大型トラックよろしく有名な「姿を見せない」演出や、超有名なBGMはもちろんとても効果的に使われていますが、それ以外でも、中盤での、襲われる子どもの描写の積み重ねや、緊張感を持ったまま行うミスリードで観客の不安感を積み上げ、一気に炸裂させるという組み立てはベタなのですが本当に可哀想だし、スリラーとして素晴らしいものでした。

 

 

 これと並行して描かれるのがブロディ(ロイ・シャイダー)の物語。彼は過去のトラウマから水が怖いという、「何でこの地域の署長やってんだ」と思わずにはいられない存在です。また、彼は所謂「去勢された男」感がある存在でもあり、地元の警察署長ですが、地元の政治家に逆らえず、ジョーズの襲撃を許してしまいます。本作は、このブロディがクイント(ロバート・ショウ)、フーパー(リチャード・ドレイファス)と共にジョーズに立ち向かい、男性性というか、トラウマを乗り越える話なのです。

 

 意を決したブロディがジョーズと対峙するのを描いたのが、本作の第2部に当たります。この2部は完全に男達の海洋アクションものになっており、激闘を繰り広げる様は観ていて単純に燃えます。

 

 こうして考えると、本作はスリラーものとパニックものの前半、そして海洋アクションの後半とを通し、1人の男の成長すら描いてみせた文句なしのエンタメ作品であると捉えることができます。28歳でこれを撮ったスピルバーグ、やはり天才か・・・。

 

 

同じくスピルバーグの作品。こちらもやっぱ傑作だったよ。

inosuken.hatenablog.com

 

 パニック映画という事で。

inosuken.hatenablog.com